マイクロチップ装着でもペット火葬できる?死亡後の手続きは必要?

「マイクロチップを装着しているペットも火葬できるの?」「死亡後の手続きは?」と心配になる飼い主様も多いはず。

通常、火葬時には金属類やプラスチック類は一緒に燃やせないので、マイクロチップを入れたままで良いのか気になりますよね。

結論から言えば、マイクロチップを装着していてもペット火葬はできますし、遺骨に影響が出ることもほとんどありません。

このページでは、なぜ火葬できるかの解説や死亡後の手続き、マイクロチップ装着のメリットや助成金についても解説いたします。

マイクロチップ装着済みのペットちゃんの飼い主様も、装着を検討中の飼い主様も、ぜひ当ページを参考にしてください。

このページでわかること

マイクロチップを装着しているペットは火葬できるの?

マイクロチップ装着でもペット火葬できる?死亡後の手続きは必要?

マイクロチップは金属と生体適合ガラスでできています。

そのため、火葬に影響が出ないか心配になる方がいるかもしれません。

しかし、実際には火葬時にペットちゃんの遺体や遺骨に影響が出ることはほとんどないようです。

マイクロチップを装着しているペットちゃんも火葬できる

マイクロチップは直径1~2mm、長さ8~12mm程度の非常に小さなものです。

犬や猫の場合では、マイクロチップは首の後ろやや左側の皮下に装着するのが一般的です。

火葬では、遺体の表面から焼かれていくため、マイクロチップは早々に剥落してしまいます。

そのため、マイクロチップが遺骨に焦げつくようなことは起こりにくいと考えられます。

実際に、ペット火葬の現場ではマイクロチップが黒く焼け焦げた状態で遺骨の近くに落ちていることが多いそうです。

もし心配なら、ペット火葬業者やペット霊園にマイクロチップの装着を伝えて、火葬に問題がないか確認してください。

火葬時に影響が出る可能性があるのはどんな時?

火葬時に遺骨への影響はほとんどないとお伝えしましたが、影響が出る可能性もゼロではありません。

以下に、影響が出るかもしれない例をご紹介します。

●体内でマイクロチップが破損しているケース

事故などの影響で、ペットちゃんの体内でマイクロチップが破損している場合、中の金属が火葬時に溶け出すかもしれません。

火葬炉内は800~1,000℃ほどの高温になりますが、金属部分を覆うガラスはおよそ1,200~1,400℃ほどで融解するため、火葬炉の中で溶けてしまうことは珍しいと言えます。

しかし、ガラス部分が破損している場合は、中の金属にまで火が及びます。

金属の種類によって融解温度は異なるので一概には言えませんが、金属が溶けた場合は遺骨にも影響が出る可能性があります。

●ペットちゃんが肥満体型のケース

肥満体型の場合、自燃(遺体の脂肪分に火が付き激しく燃え上がる現象)が起きやすく火葬炉内が過熱状態になるそうです。

あまりに高温になった場合は、マイクロチップのガラスや金属が溶けることで、遺骨への影響が出ることも考えられます。

また、通常よりも火葬炉内が高温になることで、遺体が燃焼されすぎて、遺骨がきれいに残せない可能性があります。

動物の例ではありませんが、アメリカでは超肥満遺体の火葬を行った際に、炉が過熱し火事にまでなった事例が報告されています。※1

※1 参考サイト 

「脂ぎった超肥満遺体の火葬で炉が過熱 火葬場が火事に(米)」excite.ニュース

マイクロチップを装着しているペットが亡くなったらすること

この章では、マイクロチップを装着したペットちゃんが亡くなった場合の手続きについて解説します。

環境省のマイクロチップ情報登録で死亡の届出をする

マイクロチップを装着している犬や猫が亡くなった場合は、環境省のマイクロチップ情報登録で死亡の届出を行ってください。

手続きには「マイクロチップ識別番号」と「暗証記号」が必要になります。

この手続きは、ペットちゃんが亡くなった日から30日以内にしなくてはいけません。

環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイト内から死亡申請ができる他、書面での申請も可能です。

なお、登録情報の変更や死亡の届出に手数料はかかりません。

「マイクロチップ識別番号」はマイクロチップを装着する際に発行される登録証明書で確認。

大切に保管しておきましょう。

※参考サイト

「犬と猫のマイクロチップ情報登録 犬や猫の飼い主の手続一覧」環境省

犬の場合は、自治体や保健所へ「死亡届」を提出する

飼い犬が亡くなった場合は狂犬病予防法に基づき、飼育届を提出した自治体や保健所への「死亡届」の提出が必須です。

一部の自治体に限られますが、マイクロチップ情報登録で死亡の届出を行えば、死亡届の提出が不要になる自治体もあります。

これは、マイクロチップ情報登録で行った死亡の届出の情報が自治体にも通知されるためです。

お住まいの地域の自治体が対応しているかは、自治体のホームページなどから確認できます。

ペットちゃんの死亡後30日以内に提出しなければ、20万円以下の罰金刑が科されることがあるので要注意

犬・猫以外でマイクロチップを装着しているペットちゃんの場合

犬や猫以外でも、例えばウサギやカメなど、一定以上の体の大きさがあるペットちゃんならマイクロチップが装着可能です。

もし飼っているペットちゃんが亡くなった場合は、マイクロチップ情報の登録をしている団体で死亡申請を行ってください。

手続きの仕方は、団体ごとに異なるため、問い合わせをして確認してください。

・犬や猫は「犬と猫のマイクロチップ情報登録」制度により、環境大臣が指定した登録機関で情報登録される

・それ以外のペットちゃんたちは、民間機関が管理するマイクロチップ情報登録事業を利用することができる

その他、ペットちゃんの死亡後にしなくてはいけない安置や供養の方法、保険の手続きなどに関しては下記コラムをご参照ください。

そもそもマイクロチップとは?マイクロチップ登録制度を解説

以下に環境省が発表しているマイクロチップの説明を引用します。

マイクロチップは、直径2mm、長さ12mm程度の円筒形で、外側に生体適合ガラスを使用した電子標識器具です。 最近では、直径1.4mm×長さ8.2mm程度のものが主流になりつつあります。

環境省ホームページ https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip_qa.html

このマイクロチップを犬・猫の場合は首の後ろあたりに注射で埋め込みます。

マイクロチップには15桁の数字(ISO規格の個体識別番号)が記録されていて、専用のリーダー(読取器)で読み取れます。


この識別番号をデータベースに照合すると、所有者情報などがわかるようになっているのです。

個人情報保護のため、情報にアクセスできるのは自治体と警察に限られています。

マイクロチップ登録制度を解説

動物の愛護及び管理に関する法律に基づき「犬と猫のマイクロチップ登録制度」は、令和4年6月1日から開始されました。

行方不明になった犬や猫を飼い主の元へ戻しやすくするため、また飼い主の責任ある適正飼育を推進するのが目的です。

この制度で、ブリーダーやペットショップなどで販売される犬や猫には、マイクロチップの装着が義務化されました。

犬猫等販売業者から犬や猫を購入した場合は、マイクロチップ登録証明書も譲渡されます。

登録証明書に記載されたマイクロチップ識別番号から、飼い主は環境省のサイト内で所有者情報を自分の情報に変更します。

制度開始以前から飼っている場合や、愛護団体や知人から譲り受けた場合は義務ではありませんが装着が推奨されています。

ペットちゃんにマイクロチップを装着するメリットは何?

保護団体や知人から入手したり、制度開始以前から飼っていたりする犬や猫の場合、マイクロチップの装着は義務ではありません。

しかしマイクロチップは「行方不明になっても見つかりやすい」「ペット保険料が割引になることがある」などメリットも多いです。

装着におけるペットちゃんの体への負担は少なく、日本では副作用やショック症状などについての報告もありません。

最後まで責任を持ってペットちゃんのお世話をするためにも、この機会に装着を検討してみてはいかがでしょうか。

この章ではマイクロチップを装着するメリットについてご紹介します。

マイクロチップを装着する5つのメリット

●行方不明になった場合にも見つかる可能性が高くなる

迷子や災害、盗難、事故などで、ペットちゃんが行方不明になってしまうことがあります。

そんな時、マイクロチップを装着していれば、保護された際すぐに身元確認が取れるので、飼い主様の元へ帰ってきやすくなります。

迷子札は取れたり、汚れて連絡先が読めなくなることもありますが、マイクロチップならその心配もありません。

●飼育放棄の抑制につながる

無責任な飼い主によるペットの飼育放棄が問題視されていますが、マイクロチップ装着が広まれば飼育放棄の抑制にもつながります。

●保険料が割引になるペット保険がある

マイクロチップを装着しているペットの保険料が割引になる制度を実施している保険会社があります。

ペット保険へ加入している、または加入を検討中の飼い主様は、ペット保険会社へ問い合わせてみてください。

●犬に鑑札を付けなくて良い

登録した際に発行される鑑札は、飼い犬に着けておかなくてはいけないものです。

しかし、マイクロチップを装着していれば、マイクロチップが鑑札とみなされるので鑑札を着ける必要がありません。

●市区町村への犬の登録申請手続きが不要になる

マイクロチップ装着時に犬の情報を登録すると市区町村にも通知が届き、飼い主様が市区町村へ登録申請する必要がなくなります。(※現在、対応しているのは一部の自治体のみです)

マイクロチップ装着の補助・助成事業を行う自治体もある

マイクロチップの装着は、動物病院などで獣医師または愛玩動物看護師が行います。

装着費用の相場は動物病院によっても異なりますが、数千円~1万円程度のようです。

マイクロチップ装着の費用は?補助金が出る自治体もあります

自治体によっては、マイクロチップ装着費用に関する補助や助成事業を実施しているところがあります。

例えば、京都市の場合(2024年現在)は年間1500頭を対象に、マイクロチップ装着の施術を無料で受けることができます。

自治体ごとに、補助や助成の詳細は異なりますのでお住まいの自治体に問い合わせてみてください。

また、マイクロチップは装着費用の他に、情報登録をする際や所有者情報変更の際には手数料がかかります。

オンラインでの登録手続きでは400円、書面での手続きの場合は1,400~1,600円(払い込み手数料分で変動)です。

住所変更や死亡の届出には手数料はかかりません。

※参考サイト

「マイクロチップ装着費用に関する補助・助成事業を実施している自治体」環境省

「マイクロチップ装着の助成制度について」京都市

まとめ

マイクロチップは、インジェクターと呼ばれる注射器のような医療器具を用いてペットちゃんの皮下に埋め込みます。

飼い主様にとっては痛そうで可哀そうに思えますが、実際には注射程度の一瞬の痛みのようです。

日本ではマイクロチップの装着でペットちゃんの健康被害が及んだ報告はなく、死亡後には火葬も問題なく行えます。

何より、仮に飼い主様とペットちゃんが離ればなれになっても、再び会える可能性が高くなるのは大変喜ばしいことです。

日本は地震や土砂崩れ、洪水などの災害も多いため、マイクロチップを装着していることで得られる安心感は大きいでしょう。

筆者も制度開始以前から犬を飼っていますが、この機会にマイクロチップ装着を家族と話し合ってみようと思います。

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