つがいで飼う鳥の片方が死んでしまうと、相方が後を追うように死んでしまうことがあります。
大切なペットちゃんとの別れは1羽でもつらいのに、もう1羽も亡くしてしまうのは飼い主様にとってあまりにも耐え難いことです。
「後追い死」を防ぐには、日頃から互いに依存し過ぎないようにして、片方が亡くなった際にはもう片方を十分にケアしましょう。
今回は鳥の「後追い死」と遺体の安置方法や残った鳥のケアについてご紹介します。
鳥をつがいで飼っている飼い主様や、これから鳥を飼おうとお考えの方もぜひ当ページを読んで参考にしてください。
鳥のつがいが死んだらどうなる?「後追い死」って何?
鳥をつがいで飼っている場合、片方が亡くなるともう片方も弱って死んでしまうことがあります。
どうしてこのような現象が起こるのかを考察してみましょう。
つがいが死ぬともう片方も死んでしまう?
鳥類の多くは社会性が高く、つがい(配偶者)や仲間に強い絆を持ち、互いに多くの愛情を注ぎます。
片方が飼い主様や他の鳥と仲良くすると、相方が嫉妬から威嚇や攻撃をすることもあるほどです。
それだけ一途に思い合っているためか、片方が死んでしまうと、相方も数日から数週間のうちに死んでしまうことがあり、この現象は「後追い」や「後追い死」と呼ばれています。
【後追いが起こるメカニズムは?】
鳥類が後追いをするメカニズムは解明されていません。
人も最愛のパートナーが亡くなった後、残された人が衰弱して亡くなるケースがあります。
鳥も同じで、愛情深いゆえに寂しさから生きる気力を失くし、弱ってしまうのかもしれません。
その他に考えられる死因については、下記のコラムで紹介していますので、参考にしてください。
つがいで鳥を飼うなら日頃から注意しよう!後追い死の予防対策
鳥同士にも相性はありますが、ペアで飼っている鳥がつがいになれば仲良く寄り添う姿を見られます。
ただし愛情深い鳥は相方が死んでしまうと、残された方も「後追い」で死んでしまうことがあります。
できればこのような悲しい別れは避けたいですよね。
この章では、鳥類をつがいやペアで飼う場合の注意点をご紹介します。
「後追い死」をさせないための注意点と予防対策
もちろん、絶対に後追い死を防ぐことができるとは言い切れません。
しかし、つがいだけに依存し過ぎないよう注意し、対策をすれば後追い死のリスクを減らせます。
【互いに依存しすぎないように注意する】
片方が亡くなる以外にも、どちらかが病気になった場合など2羽を遠ざけるケースは考えられます。
いつもべったりでは、離されるだけで不安や寂しさから体調を崩すこともあります。
【いざという時に備えて飼い主様とのコミュニケーションを増やす】
飼い主様とのコミュニケーションが不足していると、鳥の片方が亡くなってしまった際にもう片方の鳥が心の拠り所を失くしてしまいます。
飼っている鳥が死んだら適切に安置して丁寧に供養しよう
ペットちゃんとの別れは、とてもつらく悲しいですが、いつかは必ず訪れることです。
ペットちゃんに感謝を伝えて丁寧に火葬できるよう、遺体の適切な安置方法を確認しておきましょう。
亡くなった鳥の安置方法
1.ペットちゃんが入る大きさの箱を棺として用意し、新聞紙やタオルを敷く
2.ペットちゃんの遺体を寝かせ、濡らしてよく絞ったタオルなどで体の汚れを拭き取る
3.保冷剤をタオルなどで包み、遺体の周りに置く
4.棺を日光や空調の風が当たらない涼しい場所に安置する
適切な方法で安置すれば、夏場で1~2日、冬場で3~4日ほど遺体をきれいに保てます。
その間に葬儀や供養の手配をしてください。
必須ではありませんが、人の場合と同様に棺の中に副葬品を入れ、お水や線香、ろうそくを供えてあげると良いでしょう。※1
※1 副葬品……棺の中に入れる品。ペットちゃんに天国へ持って行ってほしいものを用意するのがおすすめ。(愛用の玩具、おやつ、生花、写真など)
鳥の葬儀や供養の方法については下記コラムにて詳しくご紹介しています。
ぜひ参考にしてください。
残った鳥にはたっぷり愛情を注いで心身をケアしてあげよう
つがいやペアで飼育していて、片方が死んでしまった場合は残った鳥のケアが非常に重要です。
特に相方が亡くなってから数日~数週間の間は、体調が急変して後追い死する可能性が高い期間です。
残された方は相方を探して鳴く子もいれば、食事や毛づくろいもせずじっとする子もいます。
以前のように元気な姿を取り戻してもらうためには、今まで以上に愛情を注いで丁寧にコミュニケーションを取ることが大切です。
一緒に過ごす時間を増やし、優しく話しかけてあげてください。
メンタルに加えて体調チェックも大切
食事量が減っていないか、体重に変化はないか、便の状態は正常かなど、毎日の健康チェックも欠かさないでください。
異変がみられた場合は、鳥類の専門医がいる動物病院を受診して相談し、適切な治療を受けましょう。
残された子が元気を取り戻すと、他の鳥の鳴き声に反応するなど、新たなパートナーを求めるような仕草が見られることもあります。
その時には、ペットショップなどで相談して相性の良さそうな子を新たなパートナー候補としてお迎えしても良いかもしれません。
鳥が亡くなる前に見せる症状については、下記コラムをご参照ください。
ラブバードと呼ばれる鳥の特徴・性格と後追い死の実例
ラブバードとは、愛情が深く社会性も非常に高い鳥の呼称で「後追い死」が多い種類でもあります。
「ボタンインコ」「コザクラインコ」などのインコがラブバードと呼ばれています。
ラブバードと呼ばれる代表的な鳥の特徴と性格
ラブバードと呼ばれるインコの中から「ボタンインコ」と「コザクラインコ」の特徴をご紹介します。
【ボタンインコ】
目の周りの「白いアイリング」と「赤いくちばし」が特徴で、丸みを帯びた体型が可愛いインコです。
体長は約15cm、体重は35~50gほど。
寿命は、飼育下で平均10~15年ほどですが最長20年生きた例も確認されています。
【コザクラインコ】
英名で「ピーチフェイス・ラブバード」と呼ばれるように「桃色の顔」が特徴です。
つぶらな瞳と色鮮やかでカラフルな羽が可愛らしいインコです。
体長は15~17cm、体重は45~50gほど。
寿命は、飼育下では平均10~15年と言われていますが中には20年以上生きる子もいます。
絆が強い鳥は多い!後追い死の実例をご紹介
パートナーを大切にする鳥は、ラブバードと呼ばれる種類以外にも多数存在します。
「ハクチョウ(白鳥)」や「タンチョウ(鶴)」「ハクトウワシ(白頭鷲)」がとくに有名です。
ペットとして飼われる「セキセイインコ」や「文鳥」なども相方を大切にする鳥です。
これらの鳥は、亡くなったつがいのそばをずっと離れず、寄り添う姿が度々目撃されています。
●事例:氷に閉じ込められつがいを亡くした雌ガチョウも6日後に息を引き取った
最後に鳥の愛情深さを感じられるエピソードを紹介します。
2020年12月、英リンカンシャー州の野生動物保護団体「クリーソープス・ワイルドライフ・レスキュー」に通報がありました。
「湖の水が凍りガチョウが動けなくなっている」との内容に、ボランティアが駆け付けると動けない2羽のガチョウを発見。
最初に救出したのは雌のガチョウで、次に水深が深い場所にいた雄のガチョウを救出するも、雄ガチョウの命は助かりませんでした。
車での移動中、雌ガチョウは雄ガチョウの亡骸に寄り添い離れようとしなかったそうです。
雌ガチョウは治療を受け危機的な状況を脱し、徐々に回復していたにもかかわらず、救出から6日後に急変し息を引き取りました。
※参考サイト
【海外発!Breaking News】パートナーを失くした雌ガチョウ、死を受け止められず後を追うように天国へ(英)(livedoor News:2022年)
まとめ
可愛い鳥の「後追い死」を防ぐのに大切なのは、互いに依存し過ぎないように関心を分散してあげることが大切だと筆者は思います。
常に複数羽の小鳥を飼っていた筆者の友人は、つがいとその子供、兄弟など、複数羽ごとにケージを分けていました。
ケンカになりにくい相性の良い鳥同士でグループを作ることで、1羽だけに依存し過ぎないようにしていたのでしょう。
少しでも心配事を減らすためには、日頃から健康管理や対策を行い、気にかけることが大切です。
それでも、鳥を複数羽で飼う場合、「後追い死」が起きる可能性がゼロになることはありません。
悲しい出来事が続かないよう、残された方のメンタル・体調に十分配慮してあげてたくさん愛情を注いであげてください。