ペットちゃんが亡くなった際は、遺体を安置する必要があります。
しかし、ペットちゃん専用の棺をすぐに用意できる方は少ないはず。
実は、ペットちゃんの葬儀・火葬の際は、棺は必須ではありません。
そのため、お家にある入れ物に遺体を納めた仮の棺でも問題ありません。
「急にペットが亡くなったが安置の準備ができていない」「専用の棺を購入すべきか迷っている」とお悩みの方は、このページを参考にお見送りの準備を進めてみてはいかがでしょうか。
ペット火葬での棺の役割
ペット火葬の場合は、棺は必須ではありません。
そのため、家にある入れ物を使って仮の棺を作ることをおすすめします。
その理由を解説します。
火葬前には遺体を取り出すことも多い
人間とは違い、ペットちゃんの場合は遺体を納めた棺ごと火葬が行われることは少ないです。
いくつか例を紹介します。
・自治体の場合
大阪市ではペットちゃんの遺体を引き取る際に以下のようなルールを定めています。
このように、棺の中に安置した場合でも、遺体を引き渡す際は取り出す必要がある場合も多いです。
・業者の場合
業者も自治体の場合と同じく、火葬の際には棺から取り出すようお願いされることが多いです。
これには火葬した際に棺の素材がお骨に付くことを防ぐため、入れ物の素材によっては燃やしたことで有害物質や灰が発生する恐れがあるため、という2つの理由があります。
上記の理由から、ペットちゃんを見送るために棺は必須ではありません。
ただし、遺体の搬送やペットちゃんをきれいな状態で見送るために、入れ物に遺体を納めることはとても有効な方法です。
棺に納めることで丁寧にお見送りができる
ペットちゃんのお見送りに棺は必須ではありません。
それでも棺、もしくは代わりになる入れ物を用意することには以下のメリットがあります。
遺体の管理がしやすくなる
遺体を安置した後にも、保冷剤の交換や漏れ出た体液の処理などのお世話が必要です。
その際に遺体を入れ物に納めておけば「冷気を閉じ込めて遺体の傷みを抑える」「体液や臭いが部屋に漏れ出ることを防ぐ」などのメリットがあります。
また、遺体は時間をかけて少しづつ分解・腐敗が進みます。
無暗に触ると遺体を傷めてしまうこともあります。
そのため、遺体を入れ物に入れて持ち運ぶことで、きれいな姿のままペットちゃんを見送れます。
火葬場に依頼する場合はもちろん、訪問火葬を依頼する場合でも遺体をお家から搬送する必要があるため、入れ物に遺体を納めることで安心してお見送りができます。
お見送りが大切な思い出になる
ペットちゃんと過ごした時間は、すべてが大切な思い出。
それはお別れの瞬間も変わらないはず。
きちんと遺体を棺に納めてあげたことも、大切な思い出になるかもしれません。
筆者の愛犬はスケジュールの都合で、一任個別火葬を依頼しました。
そのため「愛犬をきちんと見送ることができなかった」と後悔したことがあります。
そんな時、安置した後の愛犬の写真を見ることが筆者の心の支えになっていた時期があります。
精神的に辛い時期ではありましたが、お花に囲まれて眠っている姿を映した写真を見ると、悲しさや公開を抱えた心が軽くなるようでした。
このように、きっちりと安置したことが気持ちを癒してくれることもあるのです。
遺体を納める入れ物の種類と向いている動物
専用の棺は通販でも購入できますが、急に亡くなった場合は準備が間に合わないこともあります。
その場合は、お家にある入れ物で棺を代用しましょう。
日用品で棺の代用ができる場合が多い
専用の棺を用意しなくても、ペットちゃんの安置は可能です。
棺の代わりとなる入れ物をペットちゃんの体の大きさや種類に応じて選んであげましょう。
・入れ物の選び方
保冷剤・ドライアイスを入れたり、お花を入れたりできるように、ペットちゃんの体にピッタリではなく、少し余裕を持った大きさのものを選ぶのがポイントです。
・段ボール
通販を利用した際の段ボールも棺の代わりにできます。
ただし、ペットちゃんの体のサイズや体重によっては破損など思わぬ事故につながることもあります。
そのため、小型~中型程度のペットちゃんの安置に向いています。
・バスケット
バスケットに遺体を納めることもできます。
持ち運びしやすく、ペットちゃんの顔を見やすい形状のため、安心してお見送りできます。
安置する際は体液が染み出ないように、ペットシーツの下に防水シートを敷くのもおすすめです。
幅広いサイズがあるため、ペットちゃんの種類に応じて選べるのもポイントです。
・タッパー
遺体を乾燥させたくないペットちゃんは、濡らしたキッチンペーパーで遺体を包んで安置します。
その際は防水性のタッパーが役立ちます。
サイズに問題がなければ、小型のトカゲや小動物の安置にも役立ちます。
ただし、ドライアイスを入れる場合は破裂を防ぐために完全に密閉しないように注意が必要です。
火葬業者が必要な道具の準備やアドバイスを通して安置をサポートしてくれることもあります。
どうしても用意できない場合は、火葬業者に相談に乗ってもらうのもおすすめです。
入れ物にペットちゃんの遺体を納めた後の注意点
遺体を納めた後は、遺体が傷まないように以下の2点に注意しましょう。
涼しく、安定した場所に置く
遺体を納めた棺は万が一にも落としたりしないよう、安定した場所に置きます。
「ペットちゃんの顔を見たい」と机の上に置く場合でも、うっかり落とさないように注意しましょう。
・涼しい場所に置く理由
遺体を長い期間安置する必要がある場合は直射日光の当たらない場所に棺を置きます。
遺体を保冷剤で冷やす理由は、腐敗の原因となる細菌の活動を抑えるためです。
そのため、室温が高い場所や直射日光が当たる部屋では腐敗が進みやすくなってしまいます。
あわせて、保冷剤をこまめに交換することも大切です。
サイズによって異なりますが、保冷剤はおよそ3~5時間ほどで解けてしまいます。
完全に解ける前に、交換してあげましょう。
段ボールを動かす際は底抜けに注意
段ボールに遺体を納める場合は、持ち上げた際に底が抜けないように注意が必要です。
段ボールを選ぶ際は耐えられる重さ(耐荷重)も意識しましょう。
一般的に使われる段ボールは、およそ10~20kg程度なら問題なく持ち運ぶことができます。
そのため、体重が25kgを超える大型犬の棺には不向きと言えます。
より耐久性の高い入れ物を用意してあげましょう。
また、段ボールは保冷剤の結露などで箱が濡れたことで、思わぬ破損をする可能性もあります。
箱本体を濡らさないように、防水シートの上にペットシーツを敷くのがおすすめです。
ペットちゃんの棺に入れられるものと入れられないもの
ペットちゃんの遺体を安置したら、棺の中にお供え物を入れてあげるのもおすすめです。
棺の中に入れられる品・入れられない品
依頼先によっては棺に入れた品物(副葬品)も一緒に火葬してもらえることがあります。
基本的には一緒に燃やせるものが「一緒に入れられる品」です。
副葬品は旅立つペットちゃんが寂しかったりひもじかったりしないように願って持たせる品です。
その証拠に、飼い主様の匂いを思い出せるように、髪の毛を少量入れてあげる方もいるようです。
また、こちらで挙げた例はすべて燃やせる品です。
個包装のおやつやご飯は少量を紙などで包んで持たせてあげるようにしましょう。
対して、一緒に燃やすことで周囲に悪影響を与えるものは「一緒に入れられない品」です。
これらの品を一緒に燃やした場合、炉の中で破裂する(ボール)燃え残ったり有害物質を発する(首輪・タオル)など、周囲に迷惑を掛けてしまいます。
何より、旅立つペットちゃんも驚いてしまうはず。
ペットちゃんが安らかに旅立てるように、棺に入れる品はきちんと選ぶようにしましょう。
不安な場合は、火葬を依頼する場所に事前に質問するのもおすすめです。
まとめ
ペットちゃんを火葬する際は、棺ごと火葬されるケースは少ないです。
そのため、ペット火葬・葬儀における棺は「搬送しやすくする」「管理しやすくする」「丁寧なお見送りのための準備」の3つの役割のために準備することになります。
また、棺代わりの入れ物を用意する際はペットちゃんの種類や入れ物の特徴を考えて選ぶのが大切。
例として「段ボールは底抜けを防ぐために大型のペットちゃんには不向き。なので大型のバスケットを選ぶ」のように、柔軟な判断が必要です。
ペットちゃんのお見送りは1度だけ。
悔いを残さないように、まずは丁寧に遺体を安置するところから初めてはいかがでしょうか。