ペットちゃんの葬儀は穏やかな天候の中で行いたいものですが、そうならない事も多いです。
梅雨の時期はもちろん、夏場はゲリラ豪雨が起こりやすいですし、秋口には台風、冬場には暴風雪に見舞われることも考えられます。
こういった悪天候の中でもペットちゃんの火葬ができるのか知りたい方も多いのではないでしょうか。
結論を言えば、日常的な雨天や降雪、多少の風程度の悪天候ならペット火葬は問題ない事が多いです。
悪天候のデメリットを減らし、かつ丁寧にお見送りをしたいのであれば出張ペット火葬かペット霊園での火葬が良いでしょう。
このページでは悪天候時のそれぞれの火葬方法のメリット・デメリットや雨の日対策について解説。
雨の日でも火葬に立ち会ってあげたい、自分の手で拾骨をしたいとお考えの飼い主様はぜひ参考にしてください。
悪天候でもペット火葬はできる!おすすめの方法を紹介
ペット用の火葬炉は人間用と比べると小さく、なおかつ訪問火葬の場合は雨の影響を受けてしまうのではないか、と心配な方も多いのではないでしょうか。
悪天候といえば、まず思い浮かぶのが雨の日でしょう。
総務省が発表したデータでは、東京都では2022年に降水日が109日あったそうです。※1
これは1年の約30%にあたり、火葬日に天気が崩れる可能性は決して低くないことがわかります。
しかし、火葬は雨ざらしの中で行うわけではないのである程度の大雨でもペット火葬はできます。 ※2
ペットちゃんの火葬は「自治体」「出張ペット火葬業者」「ペット霊園」のいずれかに依頼します。
その中でもおすすめなのは「出張ペット火葬業者」「ペット霊園」に依頼する方法です。
以下に、その理由をご紹介します。
●自治体へ火葬を依頼すると立ち会いや返骨ができない
自治体の場合、立ち会いや拾骨・返骨ができないところが多く、ペットちゃんの遺骨は一般廃棄物と一緒に埋め立てられます。
安価なのは魅力ですが「火葬に立ち会ってあげたい」「自分の手で拾骨したい」とお考えの飼い主様には向かない方法です。
●出張ペット火葬なら自宅付近で火葬できる
外にいる時間が短いほど、雨に濡れる心配は減らせます。
出張ペット火葬は、自宅前や駐車場など、家の近くまで来て火葬を行ってくれます。
火葬中は自宅で待機でき、拾骨時にも飼い主様が濡れにくいように配慮してくれる業者も多いです。
●ペット霊園なら移動・埋葬時以外はずっと室内
ペット霊園への行き帰りと墓地への埋葬時は雨対策が必要になりますが、葬儀から火葬、拾骨まではずっと室内で行えます。
※1 参考サイト
※2 業者のルールや使用している火葬炉の関係で「どの程度の悪天候なら対応できるか」が異なる場合もあります。
まずは事前に問い合わせて確認してみるのもおすすめです。
出張ペット火葬に依頼するメリット・デメリットを解説
出張ペット火葬は飼い主様の自宅や希望の場所まで火葬炉を搭載した車で訪問し、火葬してくれるサービスです。
しかし、屋外で火葬を行うことから「雨の日は来てくれないのでは」と思う飼い主様も多いようです。
しかし実際はかなりの雨量でも問題なくペットちゃんの火葬を行うことができます。
出張ペット火葬を利用するメリットは「雨の中を移動しなくて良い」
出張ペット火葬の最大のメリットは、自宅まで来て火葬を行ってくれることです。
スタッフが玄関先で棺を預かり火葬車まで運んでくれるおかげで、ペットちゃんも飼い主様も雨に濡れる心配がほとんどありません。
車種にもよりますが火葬車のバックドアが屋根代わりとなり、火葬炉への納棺時や拾骨時でも傘をささずに行える場合もあります。
火葬が終わるのを待つ間も、飼い主様は自宅内でゆっくりと過ごせます。
雨の日の火葬に出張火葬を利用するメリットとして、高温になった火葬炉が雨の影響で冷えるのが早くなるため、拾骨までの待機時間も多少短縮できるそうです。
また、晴天時よりも予約が少ない傾向があるので、雨天時には即日の火葬依頼でも対応してもらいやすいようです。
*地域によっては、自治体の規定により火葬ができない場所があり、その場合は火葬が可能な場所へ移動する必要があります。
詳しくはペット火葬業者にご確認ください。
出張ペット火葬のデメリットは「納骨・埋葬を手配する必要がある」
出張ペット火葬では、基本的に火葬までを請け負っていることが多いです。
そのため、遺骨を手元供養される場合は良いのですが、ペット霊園への納骨・埋葬は飼い主様が手配する必要があります。
急ぐ必要はないとはいえ、悲しみの中で選択や手配をするのは、飼い主様の負担になります。
ただ、近年はペット霊園への納骨・埋葬を一貫して対応してくれるペット火葬業者も増えています。
人と同じように墓地に埋葬したい、納骨堂(霊座)へ納骨したい、という飼い主様は、対応可能なペット火葬業者に依頼しましょう。
ペット霊園に火葬を依頼するメリット・デメリットを解説
ペット霊園では、ペットちゃんの遺体を持ち込むことで火葬を行ってくれます。
室内式の火葬炉を備えていることが多いので、天候に左右されずペットちゃんの火葬が行えます。
ペット霊園を利用するメリットは「天候に左右されず火葬できる」
火葬炉を備えているペット霊園の場合、多くが室内式の設備を完備しています。
そのため、雨天などの天候に左右されずに火葬を行うことができるのがメリットといえます。
火葬後の拾骨が室内でできるのも、飼い主様にとっては嬉しい点でしょう。
遺骨はそのまま納骨できるので、納骨堂(霊座)への納骨を行う場合は雨に濡れる心配がありません。
火葬から納骨までを一貫して行えて、手厚く弔ってあげられるのはペット霊園ならではです。
*中には火葬炉を所有していないペット霊園もあり、その場合は火葬を別で手配しなくてはいけません
ペット霊園のデメリットは「自力で遺体を持ち込む必要がある」
ペット霊園で火葬する場合、ペットちゃんの遺体を自力で運ばなけれならず、車がないとそもそも利用しづらいです。
ペットちゃんの遺体が濡れてしまわないように棺にビニールを被せたり、棺を抱えながら傘をさしたりなどの労力もかかります。
ペット霊園は郊外にあることも多く、悲しみの中、悪天候で長距離の運転をしなくてはいけないのも飼い主様にとっては負担です。
中には送迎を行っているペット霊園もあるので、送迎サービスの有無も含めて探すのが良いでしょう。
また、墓地は屋外にあるため、遺骨の埋葬時にはどうしても天候の影響を受けることになります。
ペットちゃんをきちんと見送るための雨の日対策と準備物
葬儀の日に雨が降ることを「涙雨」と呼び、ペットちゃんが飼い主様との別れを惜しんで雨を降らせるのだと言われています。
悪天候の火葬は気が滅入るものですが、そう考えると気持ちが晴れる方も多いのではないでしょうか。
別れを寂しがっているペットちゃんが安心して旅立てるように、きちんと準備と対策をして丁寧に見送ってあげましょう。
雨の日の対策3つ
雨の日の葬儀でとくに気を付けたいのは「濡れないための工夫」「足元」「時間の調整」の3つです。
●濡れないための工夫
ペット火葬時には、ペットちゃんの棺を運ぶなど両手がふさがることもあります。
複数人でお見送りをする場合は、誰かが代わりに傘をさしてくれることもあるでしょう。
しかし、一人の場合など雨に濡れやすい状況の時には、レインコートを着用する、棺をビニール袋で覆うなど、飼い主様とペットちゃんが濡れないように対策しましょう。
●滑らないように足元に注意
足元はレインブーツなどの滑りにくいものを履くようにしてください。
雨の日は普段よりも足元が悪く、場所によっては滑りやすくもなっているためです。
飼い主様が転んでケガをしてしまっては、ペットちゃんも悲しみます。
●時間の調整をする
雨の日には、公共機関の遅延や車の渋滞が発生することがあります。
火葬場まで移動距離がある場合は、早めに家を出るなど時間に余裕を持って行動しましょう。
雨の日用の準備物
雨の日の必需品から、あると便利なものまでご紹介します。
●傘
傘は雨の日の必需品です。
棺を運ぶ家族にさしてあげることも想定して、大き目のものを用意しておくと安心です。
●レインコート(雨合羽)
両手が自由になるレインコートはとても便利です。
棺の運搬時や訪問ペット火葬でのお見送り・拾骨時でも濡れる心配がありません。
* 火葬炉近くで拾骨する場合は、ビニールが熱で溶けてしまう可能性があり火傷の恐れがあるためレインコート着用は控えましょう
●レインシューズ(雨靴)
雨に濡れた足元は滑りやすく危険です。
レインシューズやレインシューズカバーなどを履いて、滑らないよう対策しましょう。
●ビニール袋
ペットちゃんの棺が濡れないようにカバーする他、骨壺を持ち帰る際の雨避けにもできます。
大雨の場合は着替えを入れておいて、濡れてしまった服と入れ替えて持ち帰ることもできるので実用的です。
●タオル
棺や服についた水滴を払うだけではなく、雨で体が冷えてしまった際には防寒にも使えます。
大き目のタオルを持っておくと良いでしょう。
ペット火葬が難しいのは危険が伴う災害級の悪天候の時
出張ペット火葬やペット霊園を利用する際、「台風の接近・直撃」や「ゲリラ豪雨」「線状降水帯」「雷の発生」「暴風雪」などの危険が伴う悪天候の場合は延期した方がいい場合もあります。
●台風の接近・直撃
台風が接近・直撃すると外出自体が難しいため、ペット霊園の予約日時を見直す必要があります。
出張ペット火葬を依頼している場合でも、強烈な雨風の中では火葬も拾骨も行うことができません。
●ゲリラ豪雨
近年増加しているゲリラ豪雨も、火葬を行うことが難しい天候の一つです。
ただし、ゲリラ豪雨は一時的な現象で、長くても1時間程度で降りやむので、時間をずらして火葬してもらえることもあります。
●線状降水帯
大雨による災害をもたらす気象現象です。
気象庁が「線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ」と「顕著な大雨に関する気象情報」を発信して注意を呼び掛けてくれるため、事前の情報収集と対策ができる特徴があります。
お住まいの地域に豪雨の予想が出ている場合は日程の見直しを検討することをおすすめします。
※参考サイト
●雷の発生
雷が鳴っている場合は、落雷事故が起きる可能性を考える必要があります。
とくに出張ペット火葬は屋外で火葬を行うため、安全確保のために火葬時間をずらす、または延期するなどの対策が必要です。
●暴風雪
暴風雪は、激しい風を伴う降雪のことです。
視界が非常に悪くなり、外へ出ることはもちろん車の運転も大変危険なため、日程を改めましょう。
●長時間遺体を安置する場合は安置方法に注意
火葬日を変更する場合、数日ほど遺体をお家で安置しておく必要があります。
特に湿度が高い梅雨・夏場にかけては遺体が傷まないよう、丁寧に安置してあげましょう。
ペットちゃんの種類や状況によっては、遺体を冷凍して安置するのも手です。
まとめ
避難が推奨されるほどの悪天候の中ではペットちゃんの火葬は難しいですが、日常的な悪天候なら火葬は可能です。
その際は以下の3点に注意してください。
どんな天候でも、ペットちゃんを安らかに旅立たせてあげたいという飼い主様の思いは変わりません。
それに、悪天候の日も煩わしいことばかりではありません。
雨の日は周りの喧騒を雨音が消してくれますし、普段よりも人目を気にせず葬儀に集中できると筆者は思います。
筆者の愛犬が亡くなったとき、お見送りをした日は雪が降りました。
天国からペットちゃんのお迎えが来てくれたような気がして、不思議と安堵感を覚えたものです。
雨の日や雪の日でも、火葬方法を考慮して、しっかりと対策すればきっと素晴らしいお見送りができるのではないでしょうか。