一人暮らしで「ペットが死んだら」「自分が先に死んだら」どうする?

一人暮らしでペットがいると「ペットが死んでしまったら」「もし自分が先に死んだら」と想像して不安になる方もおられるでしょう。

飼い主様なら誰しも、いつかは訪れるペットちゃんとの別れに備えておきたいと思うもの。

仮にペットちゃんが先に亡くなった場合は、適切な安置を行い、心を込めて供養することが大切です。

そしてペットちゃんを残していくのが心配ならペットちゃんの里親を見つけておく、ペット後見を利用するなどの対策もできます。

当ページでは、ペットちゃんの死後にやること、自分の死後への備えについて解説します。

ペットちゃんの葬儀で後悔したくない、ペットロスが心配、自分の死後に備えたいという飼い主様はぜひ参考にしてくだい。

このページでわかること

一人暮らしでペットが死んだらまずは適切に安置しよう

一人暮らしで「ペットが死んだら」「自分が先に死んだら」どうする?

ペットちゃんが亡くなったら、まずは遺体をきれいにして適切に安置してあげましょう。

一人暮らしの場合、家族や友人のサポートが得られないこともあるため、つらくても自分が対応しなくてはいけません。

大切なペットちゃんの安らかな旅立ちのために、心を落ち着けてお見送りの準備をしましょう。

遺体の処置(エンゼルケア)と安置方法

ペットちゃんをきれいな姿で安置するためには、遺体の丁寧なエンゼルケアが必要です。

●ペットちゃんの遺体の処置(エンゼルケア)

エンゼルケアとは、亡くなったペットちゃんの体を清潔にして毛並みを整えてあげる処置のことです。

①バスタオルや毛布の上にペットシーツを敷いて、ペットちゃんを寝かせる

遺体からは排泄物や体液が漏れてしまうことがあるので、ペットシーツを敷いておくと安心

②手足を軽く曲げて体に寄せ、寝ているような姿勢にする

・手足が伸び切っていると棺に入らないことがある

・死後2時間程で硬直が始まるため、それまでに姿勢を整える

③目や口を閉じ、体を保清してからブラシで毛並みを整える

・濡らしたタオルなどで全身をきれいに拭く

・濡れたままにならないよう、必要であれば乾いたタオルで再度拭く

・鼻や肛門、耳にはコットンやティッシュを詰め、体液の漏れを防ぐ

ペットちゃんの遺体の安置方法

遺体を棺に納めて冷やし、冷暗所に安置すれば夏場で1~2日、冬場で3日ほどきれいな姿を保てます。

①棺にバスタオルやペットシーツを敷き、ペットちゃんを寝かせる

・この時の姿勢は、手足をお腹側に折りたたんで眠っている時のように整える

②ドライアイスや保冷剤を遺体の周りに置いて冷やす

・ドライアイスや保冷剤が遺体に直接触れないように、タオルなどで包む

・腐敗しやすい頭やお腹付近は重点的に冷やす

・ドライアイスを使用する場合は、棺を密封しない

③直射日光や空調の風が当たらない静かな場所に棺を安置する

・夏場なら冷房の効いた部屋、冬場なら暖房をかけていない部屋が良い

お見送りの準備

ペットちゃんの大好きだったおやつや玩具、お気に入りの洋服、写真、お花などを棺に添えてあげると良いでしょう。

火葬までの時間は、ペットちゃんと一緒に過ごし、今までの感謝と愛情を伝えてあげてください。

ペットちゃんの形見を残すのであれば、この時間に足型を取ったり、髭や爪、毛をカットしておきましょう。

最近では、ペットちゃんの遺毛でチャームを作れたり、首輪をストラップやキーホルダーにできたりするサービスもあります。

筆者は紙粘土で足型取り、愛猫の写真とともに自宅に飾っています。

・火葬をする場合、プラスチック類や金属類は棺に入れることはできない

・火葬の依頼先によって、棺に入れられるものが異なるので事前に確認が必要

安置やエンゼルケアの作業は、いざとなると悲しみや不慣れな作業から思うように進められなくなる方も多いです。

一人暮らしだからこそ、専門業者に頼んでサポートしてもらうことも大切です。

ペットちゃんの供養方法を選択して火葬の手配をしよう

ペットちゃんをきれいな姿で送り出せるよう、早めに火葬の手配をしましょう。

火葬後にどのような方法で供養してあげたいかを考えれば、火葬の依頼先は自然と絞り込めます。

まずは、ペットちゃんの特徴やご自身が置かれた状況に応じて、最適な方法を判断しましょう。

庭やプランターに埋葬する

ペットちゃんの遺体を私有地に埋葬することは法律で認められています。

ただ、遺体を埋めるためにはかなり深く穴を掘る必要があるため、中型・大型のペットちゃんには向きません。

向いているペット熱帯魚、小鳥、ハムスターなどの小動物
費用相場スコップやプランターなどの費用のみ
メリット・費用がほとんどかからない
・ペットちゃんを身近に感じられる
・お墓参りがしやすい
デメリット・私有地以外に埋葬した場合、不法投棄とみなされ罰せられる
・土に還るまで最低でも10年ほどは管理が必要
・悪臭や虫、病原菌などが発生するリスクがある
ポイント火葬してから埋葬すれば、悪臭や虫の発生などのトラブルを防げる

自宅で手元供養する

手元供養は遺骨や写真を飾る祭壇を作るなど、自宅でペットちゃんを供養する方法です。

いつでも手を合わせ、おやつやお花を供えられることで、ペットロスを癒す効果もあるようです。

向いているペット火葬後なので、どのようなペットちゃんも可
費用相場15,000~20,000円ほど(ペットちゃんの種類・サイズによって変動)
メリット・ペットちゃんを身近に感じられる
・いつでも手を合わせられる
・管理がしやすい
デメリット・火葬費用がかかる
・遺骨袋や骨壺などの準備が必要
・自分が亡くなった後のことを検討する必要がある
ポイント・「四十九日後にペット霊園へ納骨」「一緒に入れるお墓を見付ける」などの方法で、自分の死後への対策ができる

ペット霊園へ納骨/埋葬する

火葬後の遺骨をペット霊園の納骨堂(霊座)へ納骨、または個別墓地や合同墓地に埋葬する方法です。

人と同じように手厚く供養できるのが魅力です。

向いているペット火葬対象のペットなら、どのようなペットでも可
費用相場25,000~40,000円ほど
(火葬費用の他に、埋葬費や永代供養の費用がかかる)
メリット・個別墓地、合同墓地、霊座への納骨など、供養方法が選べる
・お墓の管理、定期的な法要などを管理者に任せられる
・人と一緒に入れるお墓もある
デメリット・費用が一番高額
・近場にないことが多い
ポイント分骨してもらえば、遺骨の一部を持ち帰り手元供養することもできる

火葬を依頼できるのは自治体・ペット火葬業者・ペット霊園の3ヵ所

●自治体に依頼する

自治体ではペットちゃんの遺体を火葬してくれますが、返骨されない場合も多いです。

遺骨は焼却された後、一般廃棄物と一緒に埋め立て地に運ばれるためです。

費用が抑えられるのは利点ですが、理想の供養ができないこともあるので注意してください。

●ペット火葬業者に依頼する

ペット火葬業者を利用する飼い主様は年々増えており、近年では「出張ペット火葬」が人気です。

遺体を運ぶ必要がない、思い出の場所で火葬できる、時間の融通が利く、などの利便性の高さが人気の理由です。

一人暮らしで、仕事などの都合がつきにくいという飼い主様にも利用しやすいのが魅力と言えるでしょう。

●ペット霊園に依頼する

火葬炉を備えたペット霊園なら、火葬後にそのまま納骨することができます。

火葬と納骨を別々に手配する手間がかからず、加えて人と同じように供養できるのが魅力です。

ただし、ペット霊園まで自力でペットちゃんの遺体を運ぶ必要があるので、運搬手段がない方は利用しづらいです。

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一人暮らしでペットと死別するとペットロスになりやすい

一人暮らしの人にとって、ペットちゃんはかけがえのない家族でありパートナーです。

その分、ペットちゃんを亡くすと強い孤独感を感じ、悲しみを分かち合う人も身近にいないためペットロスに陥りやすいそうです。

ペットロスとは?

ペットロス症候群。ペットとの死別や行方不明などがきっかけで起こる、心身の不調のこと

抑うつ、倦怠感、めまい、無気力、食欲不振、頭痛、不眠など、人によって様々な症状が出る

ペットロスを乗り越える方法

「ペットロスになりそうで不安」「今、ペットロスに陥っている」という方におすすめの向き合い方をご紹介いたします。

●ペットちゃんとの生活も自分の生活も充実させる

「ペットちゃんとの別れを考えると不安になる」という飼い主様は、今と向き合うことが大切です。

ペットロスは「もっとこうしてあげれば良かった」という後悔の思いも発症の一因になります。

ペットちゃんとの日々に感謝し、病気やケガに備えて、後悔のないように過ごしましょう。

いつでもペットちゃんとの思い出を振り返れるように、写真や動画をたくさん残すのもおすすめです。

また、同時に仕事や趣味、プライベートを大切にして自分自身の生活も充実させましょう。

ペットちゃんに依存しすぎるのではなく、良きパートナーとして互いに尊重できるよう自立心を養うことも重要です。

●ペットちゃんが亡くなったときは思いっきり悲しむ

ペットちゃんとの別れを迎えたときには、無理に悲しみをこらえることなく、寂しさや悲しみを感じ切りましょう。

感情を抑えることは心身に大きな負担をかけてしまいます。

実際にペットロスを乗り越えた人達の多くが「ペットを悼む気持ちを肯定する」ことが心を癒すきっかけになったと話しています。

家族や友人、ペット友達など、悲しみや思い出を共有できる人がいるなら話しを聞いてもらうのも良い方法です。

●症状が深刻な時は医師に相談しよう

食事ができない、何日も眠れない、無気力になってうつ症状が出ている、など深刻な状態が続く人もおられます。

そのような時には心療内科や精神科を受診して、適切な治療を行いましょう。

*参考サイト

ペットロスに関する調査(アイペット損害保険株式会社:2023年)

一人暮らしの孤独死ではペットが犠牲になることが多い

超高齢化社会に突入した日本では、65歳以上で一人暮らしをする人が年々増加しています。

さらに、そんな高齢者が人知れず孤独死してしまう痛ましい事例も増加傾向にあるのです。

その陰で、犠牲になっているのがペットたちです。

孤独死した人達は、人間関係が希薄なことが多いため、すぐには亡くなったことに気付かれません。

ペットたちは、お世話をしてくれる人を失い、食べる物がなくて飢えたり病気になったりして死んでしまいます。

発見が早くペットの命が助かった場合でも、引き取り手が見付からず保健所に連れていかれるケースも多いのだそうです。

※参考サイト

「2匹が寄り添うように死んでいた」孤独死現場に残されたペットたちの末路

もし自分が先に死んだら?ペットちゃんのために備えよう

多くはペットちゃんが先に亡くなりますが、病気や事故で飼い主様が先に亡くなるケースもあります。

そこでこの章では、残されたペットちゃんが寂しい思いをしないように備える方法を5つご紹介します。

また、どの方法を採用するにしても、ペットちゃんの情報はまとめておき、お世話してくれる人に渡せるようにしておきましょう。

引き取り手に伝えたいペットちゃんの情報
  • ペットちゃんの名前・性別
  • 生年月日
  • 性格(好きなもの・苦手なもの)
  • 食事の回数・量・フードの種類
  • かかりつけ医の情報(病歴、手術歴、服用中の薬など)
  • アレルギーの有無

引き取り手や里親を見つけておく

いざという時に備えて、ペットちゃんの引き取り手や里親を見つけておくと安心です。

家族や親しい友人など、信頼できる人に事前に相談して了承をもらうことが何より大切です。

相手の経済的負担を軽減するために飼育費用をお渡ししたいならペットの負担付贈与やペット信託を検討しましょう。

飼育費用をお渡しする方法特徴
ペットの負担付死因贈与生前に、飼い主と引き取り手との間で贈与内容について契約を結ぶ方法
ペットのお世話を頼む代わりに、その人に遺産を渡します

※受け取った遺産を飼い主の願い通りに使用しているか監視する遺言執行者がいるので悪用の心配がない
ペット信託あらかじめ飼い主と引き取り手でペットのお世話に関して契約を交わす方法

※監視する人がいないので、渡した遺産が悪用されないように引き取り手選びが重要
ペットの負担付贈与ペットの飼育をしてもらう代わりに、新しい飼い主に遺産を残す方法

相手の意思を確認して合意に至っていない場合でも遺産とペットちゃんを託すことができる点が「負担付死因贈与」との違いです。
そのため、受け取りを拒否されることもある。

※受け取った遺産を飼い主の願い通りに使用しているか監視する遺言執行者がいるので悪用の心配がない

ペット後見を利用する

ペット後見とは、飼い主が入院、死亡などの理由によってペットのお世話ができなくなる事態に備える取り組みです。

全国に、ペット後見に取り組む事業者による相談拠点があり、そこでペットちゃんの終生飼育に関して相談し契約ができます。

「飼育費用の残し方」「飼育場所」「日々の見守り体制」などを希望に沿って決めます。

飼育費用、飼育場所、支援者を事前に調整し、準備しておくことで最期まで飼育の責任を果たすことができます。

ペット後見を検討する際は、お住まいの地域にあるペット後見連携事業者に相談してみてください。

※参考サイト

「ペット後見連携事業者一覧」ペット後見.jp

ペットのコミュニティに参加しておく

ペットちゃんのコミュニティに参加して、同じ種類のペットを飼う仲間やペット友達を作りましょう。

ペットちゃんを通じて信頼関係を築ければ、困ったときにはお互いに助け合うことができます。

保護犬・猫などの場合は、出身の保護団体がコミュニティを運営していることも多いので、困ったときにも相談しやすいはずです。

同じ品種の生き物を飼っている人なら飼育方法もご存じなので、とくに珍しいペットを飼う人には積極的な参加を推奨します。

当然のことですが、助けてもらうだけではなく、誰かが困っている場合は自分も助けるという助け合いの精神が大切です。

老犬や老猫を引き取ってくれるNPO法人を見つけておく

老犬や老猫の一時預かりや終生飼育を行っている民間の老犬・老猫ホームやNPO法人があります。

ただし、民間の老犬・老猫ホームでは、介護が必要な老犬や老猫の受け入れも行うため、費用が高額になることが多いようです。

また、利用するにはペットちゃんの年齢制限があったり、大型犬は受け入れてもらえなかったりと条件もあるので確認が必要です。

NPO法人の場合、民間の老犬・老猫ホームほど高額にはならないようですが、なかなか受け入れの空きが出ないのが現状です。

どちらを利用するにしても、早めに見学に行き希望に叶う施設を見付け、ペットちゃんのことを相談しておきましょう。

ペット可の老人ホームや介護施設に入居する

老人ホームや介護施設の中には、ペットちゃんも一緒に入居できるところがあります。

一般的な老人ホームや介護施設と比べると費用は高額になりますが、離ればなれにならず一緒に暮らせるのはとても魅力的です。

ただし、ペット可の施設数は少ないうえに人気が高いので、希望したからといって入居できるとは限りません。

加えて、もし入居できても、自分が先に亡くなった場合、ペットちゃんをその後もお世話してもらえるかは施設によって異なります。

入居を検討する場合は、ペットの終生飼育に関しても詳しく説明を聞いてから判断してください。

まとめ

筆者は長年犬や猫を飼っていたので、ペットの死後に行う安置方法や供養については心得ているつもりでした。

しかし、自分がペットよりも先に死ぬことについては、あまり対策していなかったと反省しています。

自分の両親が高齢となり、介護や亡くなった場合について考えることも増えた今、自分の死後に備える重要性を実感しています。

大切なペットちゃんを安らかに見送ってあげられるように、もしもの時につらい思いをさせないように、今から備えておきましょう。

今からできる対策としては「万が一に備えて引き取り手や里親、預かってくれる施設などを見つけておく」「引き取り手に伝えるためのペットちゃんの情報をまとめておく」などが挙げられます。

このページのポイント
  • 一人暮らしだからこそすべて自分だけで対応しようとせず、他の人の助けを借りよう
  • ペットロスになるのは仕方のないこと。どうやって乗り越えるかが問題
  • ペットちゃんを天涯孤独にしないための制度や取り組みを活用しよう

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