大切なペットとの別れに際し、火葬の日程に悩む方は少なくありません。
「当日に火葬しても大丈夫なのだろうか」と不安に思う方も多いことでしょう。
実は、ペットの場合、亡くなった当日に火葬を行うことには法的な問題はありません。
人間の場合は24時間以内の火葬が法律で禁止されていますが、ペットはこの法律が適用されないため、飼い主様の気持ちや都合に合わせて柔軟に対応できます。
このページでは、当日にペット火葬してもいい理由や注意点、遺体の安置方法、火葬までの流れをわかりやすく解説いたします。
急いでいてもペットちゃんを丁寧に葬送してあげたいとお考えの飼い主様は、ぜひ参考にしてください。
亡くなった当日にペット火葬してもいい理由とメリット
前述の通り、人間の場合は、法律によって死後24時間以内の火葬、埋葬は禁止されています。
埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。
厚生労働省:墓地、埋葬に関する法律 第3条
一方、ペットちゃんにはこのような法律はありません。
そのため、ペットちゃんが亡くなったその日のうちに火葬を行っても大丈夫です。
亡くなったその日のうちにペット火葬を行うメリット
火葬をその日のうちに行えることには、2つのメリットがあります。
・ペットちゃんをきれいな姿で送り出せる
遺体は時間の経過とともに徐々に腐敗していきます。
その姿を目の当たりにするのは飼い主様には耐え難いことのはず。
愛するペットちゃんをきれいな姿のまま見送れるのは、飼い主様にとって大きなメリットと言えるでしょう。
・時間を調整しやすい
飼い主様によっては、時間の調整が難しい人もおられます。
ペットちゃんを看取ったその日なら、旅立ちを見送る時間が取りやすい場合もあるでしょう。
ペット火葬業者の中には、24時間受付していて、火葬時間を調整してくれるところもあります。
忙しい方でも大切なペットちゃんのお見送りに立ち会えます。
ペット火葬をその日中に行う場合の注意点を解説します
当日に火葬を行う場合、気を付けていただきたいことがあります。
冬眠状態や仮死状態を死んでいると勘違いしたり、悪質な業者に依頼したりしないよう注意してください。
悲しみから冷静さに欠けてしまうのは仕方のないことですが、一旦落ち着いて以下のことを確認しましょう。
火葬する前にこの3つを確認しよう
ペットちゃんの火葬を行う際は、飼い主様の心に後悔を残さないようにすることが大切です。
「ペットちゃんの状態」と「依頼する火葬業者」についてきちんと確認しましょう。
①亡くなっているのか確認する
ペットの中でもゴールデンハムスターやシマリス、爬虫類、両生類などは冬眠をする生き物です。
冬眠中は、呼吸数・心拍数が平常時よりかなり少なくなります。
代謝を下げるために体温が低下するためです。
冬眠させるつもりがなくても、室温が極端に下がった場合は冬眠状態になることもあります。
それを亡くなっていると勘違いしないよう注意しましょう。
②一時的に仮死状態になっている場合がある
ペットちゃんは、交通事故や熱中症、溺水などによって失神し仮死状態になることがあります。
この場合は、すぐに獣医師に診せ、適切な心肺蘇生を行えば助かる可能性があるのです。
亡くなったと決めつけず、直ちに動物病院へ連れていきましょう。
③悪質な業者に騙されないよう、複数社で比較する
ペットちゃんが亡くなってしまった時に冷静でいられる飼い主様はほとんどいません。
そんな悲しみに暮れる飼い主様の心の隙に付け込むような悪質な業者も存在します。
株式会社PLAN-Bの調査によると、ペット火葬業者を利用した人のうち1.3%がトラブルに遭ったという結果が出ています。
「愛犬の遺体を不法投棄された」「納骨堂での遺骨の管理がずさんだった」などの声が紹介されています。
その日中に火葬をしたいからといって吟味せずに決めるのではなく、できればいくつかの業者を比較検討してから依頼してください。
業者選びのチェックポイント は次の3つです。
・料金が適正か
・ホームページにサービス内容や口コミが明記されているか
・利用者の声に信頼性があるか
などの情報を確認しましょう。詳しくは、ペット火葬業者の選び方について解説した記事 をご参照ください。
ペットちゃんを火葬するまでの適切な安置方法をご紹介
安置の手順は「①楽な体勢に整える」「②エンゼルケアを行う」「③棺に納めて冷やす」です。
ペットちゃんの安らかな旅立ちのために、遺体は適切な方法で安置してあげましょう。
亡くなった当日に火葬する場合はあまり心配はいりませんが、ペットちゃんの遺体は時間の経過とともに腐敗します。
安置のための3ステップと注意点
その日中に火葬できない場合は、夏場なら1~2日以内、冬場でも2~3日以内を目安に火葬しましょう。
①ペットちゃんを楽な体勢に整える
目や口が開いているなら、そっと優しく閉じてあげましょう。
手足を曲げて体に寄せ、寝ているような楽な姿勢にしてあげてください。
亡くなってから数時間経つと死後硬直が始まり、体勢を変えられなくなります。
死後硬直は24時間ほど続きますので、その日中に火葬したい場合は死後硬直が始まる前に体勢を整えましょう。
②エンゼルケアを行う
エンゼルケアとは、死後に行う処置や保清などのケアのことです。
死後、遺体からは排せつ物や体液が出てきてしまうこともあるのでペットシーツなどの上に寝かせてあげましょう。
遺体が汚れている場合は濡れタオルやガーゼで優しく拭き取ります。
ブラシで毛並みを整えて、きれいな姿に整えてあげてください。
③棺に遺体を納めて冷やす
ペット用棺やダンボール箱の中にペットシーツやタオルを敷いて遺体を納めましょう。
遺体の周りには、タオルやガーゼで包んだドライアイス、保冷剤などを置いて冷やします。
しっかりと安置ができたら、お見送り方法を考えましょう。
ペット火葬の流れはどうなる?予約から火葬・拾骨までご紹介
ペットちゃんが亡くなった当日に火葬をする場合、どのような流れになるのかをご紹介します。
火葬から拾骨までの5ステップ
火葬から拾骨までは、大まかに5ステップの工程に分かれています。
①ペット火葬業者またはペット霊園へ連絡する
まずはペット火葬業者やペット霊園に連絡して、その日中の火葬が可能か確認しましょう。
仮に深夜や早朝だったとしても、24時間体勢で連絡を受け付けているところもあります。
遺骨の拾骨は自身の手で行うのか、返骨は希望するか、などを相談して火葬プランを決めます。
また、僧侶による読経など依頼したいことがあればここで相談しておきましょう。
②ペットちゃんの旅立ちに持たせてあげたい物を用意する
連絡を済ませたらペットちゃんに天国へ持って行ってもらいたいものを用意します。
一緒に棺に入れられるものが理想ですが、火葬業者によって火葬可能な品は異なります。
事前に確認するようにしましょう。
③ペット火葬業者に自宅まで来てもらう、または霊園へ遺体を持ち込む
ペット火葬業者の場合、自宅まで来てくれるところがほとんどです。
ペット霊園の場合は、自家用車でペットちゃんの遺体を持ち込むことが多いですが、中には送迎してくれるところもあるようです。
④火葬をする
ペット火葬車を所有するペット火葬業者なら、自宅前や駐車場、思い出の場所など、好きなところで火葬してくれます。
火葬中は自宅で過ごすなど、自由に待つことができます。
ペット霊園の場合は休憩室が用意されているので、火葬が終わるまではそこで待機しましょう。
⑤拾骨(お骨上げ)を行う
個別火葬なら、火葬後に拾骨(お骨上げ)ができます。
骨壺に遺骨を納めた後は、ペット霊園へ納骨するか、自宅で手元供養を行うかを選べます。
ペットちゃんの火葬にかかる時間と待ち時間の過ごし方
この章では、ペットちゃんの大きさ・種類別の火葬時間と待ち時間の過ごし方をお伝えします。
火葬時間はペットちゃんの大きさや種類に左右される
ペットちゃんの遺体を火葬する時間は、ペットちゃんの体の大きさや種類によって異なります。
以下の表を参考にして、火葬時間の目安にしてください。
ペットの大きさ:体重 | 種類例 | 火葬の所要時間 (お火入れから拾骨まで) |
超小型動物:1㎏以下 | ハムスター、リス、小鳥、 ウーパールーパーなど | 30分前後 |
小型犬・猫・小動物:3㎏程度 | ウサギ、モルモット フェレットなど | 1時間前後 |
中型犬:5~15㎏程度 | 柴犬、パグ ビーグルなど | 2時間前後 |
大型犬:15~25㎏程度 | ゴールデンレトリーバー 紀州犬など | 2.5時間前後 |
超大型犬:25㎏以上 | グレートピレニーズ グレートデーンなど | 3時間前後 |
待ち時間はペットちゃんとの思い出や悲しみと向き合う時間にしよう
火葬の待ち時間は、ペットちゃんとの思い出と向き合いしっかりと悲しみを感じる時間にしましょう。
家族みんなでペットちゃんとのエピソードを語り合ったり、思いっきり泣いたりするのはとても良いことです。
アイペット損害保険株式会社が、飼い主様に対して行ったペットロスに関するアンケート調査があります。
それによると、ペットロスを比較的早く克服する人の特徴は、ペットの死を悼み、悲しみを肯定した人だったそうです。
具体的には「人と悲しみを共有する」「思い出を綴る」「形見を作る」など、悲しみと向き合う行動が心を癒してくれるようです。
筆者も愛猫を亡くした際には、ヒゲと足跡を形見として残し、葬儀ではたくさん泣いて家族と思い出を共有しました。
悲しみと向き合い「してあげたいことは全部できた」と思えたからこそ、今は笑顔で毎日を過ごせるようになったのだと思います。
※参考サイト
「ペットロスに関する調査」アイペット損害保険株式会社:2023年
まとめ
ペットちゃんが亡くなった場合、その日中に火葬しても問題ありません。
当日でも、丁寧に対応してくれるペット火葬業者やペット霊園があるので、しっかりと比較検討して依頼先を決めてください。
慌てて判断を誤り、悪質な業者の被害に遭わないように、また葬送方法で後悔することがないように気を付けましょう。
急ぎではないなら、ペットちゃんの火葬は翌日以降にするほうが良いと筆者は思います。
ペットちゃんとのお別れの時間がゆっくりと取れますし、副葬品(棺に入れるもの)や供花の準備も慌てずにできるからです。
後々「こうしておけば良かった」と悔いることがないよう、できれば生前から亡くなった時のことを考えておくことも大切です。