カワウソの飼育方法や治療法はまだ確立していないため、熱心にお世話をしても突然亡くなってしまうケースがあります。
今回はカワウソが死ぬ前に見せる行動や、カワウソの死因につながる病気などについてご紹介します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
カワウソが死ぬ前に見せる行動とは?動きや食欲を確認しよう
カワウソは死ぬ前、活動量が低下して動きが鈍くなったり、餌を食べなくなります。
元気で活発だったカワウソが急にぼんやりしているなどの変化が見られるかもしれません。
大好きな餌をあげてもカワウソが反応しなくなったり、拒否するようであれば獣医師に相談しましょう。
また、一日中ずっと眠り続けて起きている時間が少なくなった場合も注意が必要です。
まずは不調に気付いてあげてください
大阪府にある水族館「海遊館」のブログでは、コツメカワウソのリンちゃんが死ぬ前の様子が記録されています。
死ぬ1ヶ月前は食事の時間以外はずっと寝ていたり、プールで泳がずに陸で伏せている姿を多く見かけるようになりました。
そして死ぬ2日前になると餌をまったく食べなくなり、最期は出血性腸炎を発症して命を落としたそうです。
※参考サイト
すべてのカワウソが死ぬ前に同じような行動をとるとは限りません。
飼い主様が気付かないうちに病気を発症し、翌日に突然死するケースも考えられます。
そのため、まずはリンちゃんと同じように、体調を崩したことを飼い主様がきちんと気付いてあげることが大切です。
カワウソの寿命は?飼育環境によって寿命が変化する理由
東京都豊島区にある水族館「サンシャイン水族館」の情報メディアサイトでは、コツメカワウソの寿命は通常10年から15年であると紹介されています。
※参考サイト
「コツメカワウソをペットとして飼ってはいけない理由とは?」サンシャイン水族館
しかし、ストレスや栄養不足、腎臓系の疾患などにより、平均よりもさらに寿命が短くなる場合もあります。
カワウソの診察に対応している動物病院は多くありません。
そのためカワウソが病気にかかった場合、事前に準備をしていなければ手当てが間に合わなくなる危険性があります。
日常的に健康状態をチェックし、いつもと違う様子が見られた場合は早めに対処してあげなければいけません。
餌の食べ方や、排泄、行動などをよく観察し、体調の変化に注意を払いましょう。
カワウソが死ぬ前にかかりやすい病気って?腎臓系の病気に注意
カワウソがかかりやすい病気は腎臓結石と尿路結石です。
また、食べた魚介類に含まれる寄生虫によって、突然死したケースもあります。
カワウソが注意すべき病気
カワウソは腎臓結石や尿路結石など、泌尿器の疾患を起こしやすい動物です。
泌尿器系の疾患は悪化すると尿管閉塞や腎障害を引き起こします。
十分な注意を払って飼育されている水族館や動物園のカワウソも、尿路結石によって命を落としたケースがあります。
また、餌の魚介類に含まれていた寄生虫が死因につながるケースもあります。
多くの寄生虫はカワウソにとって大した影響はありませんが、一部は危険です。
例えば、トキソプラズマという寄生虫に感染するとトキソプラズマ症を発症し、命を落としてしまう場合もあります。
カワウソの体に結石や寄生虫がいないか、動物病院で定期的に検診を受けましょう。
カワウソを長生きさせる飼い方は?食事・飼育環境の見直しを
大切なカワウソを少しでも長生きさせるためには、食事や飼育環境の徹底的な管理が欠かせません。
また、カワウソの不調に気付いたらいつでも相談できる動物病院を見つけておくのも忘れないようにしましょう。
魚介類は一度冷凍し、栄養バランスを考えて餌を与える
カワウソを長生きさせるには、栄養バランスの良い食事が欠かせません。
特にカワウソの死因につながりやすい腎臓疾患と寄生虫に配慮した食事が必要です。
腎臓結石や尿路結石を予防するために、結石の生成を抑える成分が含まれたキャットフードを与えましょう。
カワウソの大好物である魚介類は貴重なタンパク質となります。
しかし、魚介類をそのまま与えると寄生虫が体内に侵入する危険性があります。
魚介類を与えるときは、寄生虫予防のために一度冷凍し、内臓は取り除きましょう。
栄養バランスだけでなく、カワウソの体重管理として餌の量を調節するのも忘れないようにしましょう。
カワウソが体を動かし、健康的に過ごせる飼育環境を整える
カワウソは非常に活発な生き物なので、小さいゲージで飼い続けているとストレスを感じてしまいます。
ストレスは寿命に影響しますので、気持ちよく運動できる環境を用意してあげましょう。
また、部屋を清潔に保つために、早めにトイレの訓練を行いましょう。
カワウソの知能は高く、犬や猫と同様にトイレの場所を覚えられます。
さらにカワウソは水場に生息する動物のため、1日に数度の水浴びが必要です。
水浴びを怠ると、カワウソはストレスを感じ、健康に悪影響が出る恐れがあります。
お風呂場やプールで水浴びをさせ、水は適度に交換しましょう。
カワウソを診察してくれる動物病院を普段から探しておく
もしものときにカワウソを診察してもらえる動物病院を確認しておきましょう。
カワウソの不調に気付いたときに探し始めても、手遅れになってしまうかもしれません。
カワウソはエキゾチックアニマルと呼ばれ、診察できる動物病院が限られています。
診察前は事前にカワウソを診てもらえるか確認を取りましょう。
動物病院を見つけても診察実績が少なければ、カワウソの生態に関する問題の解決策を教えてもらえない場合もあります。
適切な診察を受けられるよう、診察実績や評判も調べておきましょう。
カワウソを購入したペットショップのスタッフ、あるいはブリーダーに相談すれば動物病院を紹介してもらえます。
カワウソが亡くなった後にしてあげられることは?火葬はできる?
カワウソが亡くなってしまったときは、火葬をして感謝の気持ちを伝えながらお別れしましょう。
自治体に連絡すれば遺体を引き取ってもらえますが、通常は一般的な廃棄物として焼却処分されます。
そのため、心を込めて供養したい飼い主様にはおすすめできません。
きちんと見送りたい場合は火葬してもらう
悔いのないお別れをしたい場合は火葬業者の利用も検討してください。
最近では大切な家族としてペットちゃんを火葬する考え方が広まっています。
人間と同じように火葬後に読経してもらえるなど、手厚く供養してもらえます。
筆者は飼っていた犬が亡くなったとき、最期まできるだけそばにいたいと思いペット火葬を利用しました。
火葬する直前まで立ち会えただけでなく、感謝の言葉を伝えてから見送れたので、利用して良かったと感じています。
火葬業者によっては火葬後の遺骨を埋葬してもらえたり、キーホルダーやアクセサリーなどに入れてもらうなどの供養方法が選べる場合があります。
まとめ
カワウソが死ぬ前の前兆として、活動量の低下や餌を食べなくなるなどの行動が確認できます。
カワウソは治療法が確立されていないため、食事管理を徹底したり、定期健診を受けたりしていても命を落としてしまう場合があります。
飼育が難しいカワウソですが、長生きさせるための知識を身に着け、最後まで心を込めてお世話をしましょう。