ペット霊園(葬儀場)と自治体の斎場やゴミ処理センターでは持ち込みのペット火葬を受け付けてくれます。
どこに持ち込むかによってもルールが異なるため、それぞれの特徴をご紹介します。
加えて、遺体の安置方法や運び方、火葬時の注意点をわかりやすく解説します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
持ち込みでペット火葬を頼めるのはペット霊園と自治体
ペットちゃんの遺体の火葬を行ってくれる場所はペット霊園と自治体の2つです。
ペット霊園(葬儀場)は火葬や供養の方法が選べる
ペット霊園には納骨堂(霊座)や墓地があり、ペットちゃんの遺体を火葬した後そのまま遺骨を納骨できます。
自由度も高く飼い主様の希望にあった供養方法を選択できます。
例として拾骨する・しない、埋葬方法(合同・個別)、墓石のデザインなどを決められます。
その分費用はかかりますが、自分で持ち込む場合、その分お安くなるところもあるようです。
自治体では斎場での火葬かゴミ処理センターでの焼却になる
ペットちゃんの火葬を受け付けてくれる自治体の施設は以下の2ヵ所です。
・ゴミ処理センター
ゴミ処理センターでは、動物の遺体を廃棄物として引き取り、焼却してくれます。
そのため、火葬後はあくまでもゴミとして焼却処分されることになります。
・斎場
地域によっては自治体が運営する斎場で、ペットちゃんの火葬してもらえることもあります。
まずはお住まいの地域の自治体に確認してください。
ペットちゃんの火葬を受け付けてくれる斎場の一例
25キログラム未満の犬や猫などペットとして飼われていた動物の遺体を引き取り、民間施設へ委託して火葬・埋葬を実施。 合同火葬となるため返骨はできない。1頭につき3,000円の動物死体処理手数料がかかる。
市内在住者の犬・猫などのペットが亡くなった場合、飼い主が届け出れば火葬場で火葬が可能。返骨はできない。 市役所清掃リサイクル課窓口での申請と手数料の支払いを行い、手数料の領収書を持参して遺体を火葬場へ持ち込む。 持ち込みの場合は手数料2,000円。
茨木市内で飼われていた犬・猫などの動物の遺体を受け付け、動物火葬炉にて火葬する。 拾骨希望を事前に伝え、その分の手数料を支払い骨壺を持参すれば拾骨が可能。 収骨しない場合は1体につき2,500円、収骨(個別火葬)する場合は1体につき10,000円。
きれいな姿で送り出したい、ペットちゃんの遺体の安置方法
今回は犬・猫・鳥類など飼われていることが多い生き物を想定した安置方法をご紹介します。
ペットちゃんの遺体は徐々に腐敗するため、夏場は1~2日、冬場で2~3日を目安に火葬してください。
ペットちゃんの体勢を整える
目や口が開いていたらそっと閉じて、手足を優しく曲げ体に寄せて楽な姿勢にしてあげましょう。
亡くなってから数時間して死後硬直が始まると、解けるまで体勢を変えられないのでご注意ください。
遺体をきれいにする
死後、排泄物などの体液が出てくることがあるのでペットシーツなどの上に寝かせると良いでしょう。
遺体が汚れた場合はガーゼや濡れタオルなどで優しくふき取ります。
ブラシで毛並みを整え、きれいにしてあげましょう。
棺に遺体を納めて冷やす
ペットシーツや新聞紙、タオルなどを敷いた棺に遺体を寝かせ、ドライアイスや保冷剤などで冷やします。
遺体が濡れたり損傷したりするのを防ぐために、ドライアイスや保冷剤はガーゼやタオルで包みましょう。
遺体を安置するときの注意点
- 腐敗しやすいといわれる頭周りやお腹周りは重点的に冷やしましょう。
- 直射日光や冷房・暖房の風が当たらない場所に安置してください。
- ドライアイスを使用する場合は、凍傷や二酸化炭素中毒、酸欠にならないために軍手・手袋を着用し換気しましょう。
両生類や魚類などの安置方法については下記のコラムを参考にしてください。
ペット火葬をしてもらう時の注意点!予約は?喪服は必要?
ペットちゃんの遺体を持ち込む場合の注意点をご紹介します。
事前予約が必要なところが多い
大型のペットちゃんは、遺体が入る大きな火葬炉を備えている施設でしか火葬できません。
また、自治体ではペットちゃんの体重が「25キロ未満」という規定があるところも多いです。
このように、対応できるペット霊園を探すのにも時間や手間がかかります。
できればペットちゃんが元気な内からどこで火葬してもらうか探しておくのがおすすめです。
また超小型のペットちゃんは、火葬炉の性能によっては遺骨を残らないことがあります。
拾骨や返骨を希望するなら、遺骨が残せるかどうかを事前に確認しておきましょう。
遺体の搬送に使える品
遺体を入れる棺は受け入れ先によって規定が異なり、自治体の場合はダンボール箱や袋などの指定があります。
ペット霊園の場合は、ダンボール箱以外にもペット用の棺で持ち込んでも大丈夫なところが多いようです。
棺に入れられる物
燃やすと有害物質が発生する可能性があるもの(プラスチック類、化学繊維、金属製品など)は棺に入れられません。
その他(献花、フード、玩具、写真、手紙など)については受け入れ先によって許可されている範囲が異なります。
人間用の斎場に併設されている施設なら喪服着用
ペットちゃんの葬儀では必ずしも喪服を着用する必要はないため、ペット霊園では喪服を着なくても問題ありません。
しかし自治体の斎場は、人間用の斎場と同じ敷地内にペット火葬炉が併設されていることがあるため注意が必要です。
葬儀に参列しているご遺族や列席者とお会いする可能性も考えて、斎場へは喪服で行くことを推奨します。
持ち込み以外の火葬方法もある!ペット火葬業者の魅力とは
自治体やペット霊園への持ち込み以外に、ペット火葬業者に依頼する方法もあります。
ペット火葬業者は、ペット専用火葬炉を搭載した火葬車で自宅まで来てくれるので利便性が高いのが特徴です。
ペット火葬業者に依頼する3つのメリット
火葬業者に依頼するメリットは大まかに3つあります。
中でも、遺体を搬送しなくてもいいことが最大のメリットと言えます。
・火葬場まで行かなくても良い
自宅まで来てくれるためペットちゃんの遺体を運ぶ必要がありません。
体が不自由、高齢などで外出が難しいご家族も一緒にペットちゃんの旅立ちを見送れます。
拾骨、返骨を希望する場合は、待ち時間を自宅で過ごすことができます。
・時間の融通が利く
日時指定ができるため、忙しい人や仕事などの都合で夜間や早朝に火葬してほしい人でも安心です。
・思い出の場所で火葬できる
ペットちゃんとの思い出の場所(散歩した場所、公園など)で火葬ができます。
ペット仲間やペットちゃんのお友達に参列してもらうことも可能です。
*注意* 地域によっては火葬が禁止されている場所もあります。事前にペット火葬業者に確認しましょう
まとめ
持ち込みでのペット火葬には、ペット霊園、自治体の斎場、ゴミ処理センターの3つの選択肢があります。
しかし、どこに持ち込むかによってペットちゃんの遺体の扱いにはかなりの差があるので慎重に選んで欲しいと思います。
筆者は歴代のペットちゃんたちをペット火葬業者に火葬してもらった後、霊園に納骨しています。
吟味して納得した供養方法で送り出すと、気持ちの区切りもついて早く前を向けるようになると感じています。
ペットちゃんを手厚く弔いたいという飼い主様は、後々後悔しないように火葬・供養方法は充分に検討してください。