ヘビは犬や猫のようにわかりやすい愛情表現をしませんが、確かな存在感で生活を彩ってくれるペットです。
せっかく家族になったヘビと少しでも長く一緒の時間を過ごせるように、ヘビの寿命を伸ばす方法をご紹介します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ヘビの平均寿命
ヘビの平均寿命は10~20年程度。ペットとして人気があるヘビの寿命は以下の通りです。
種類 | 平均寿命 |
---|---|
コーンスネーク | 10~15年 |
ボールパイソン | 10~20年 |
シマヘビ | 10~20年 |
ニシキヘビ | 20~30年 |
個体や飼育環境によってバラつきはありますが、多くの種類が10年以上と長生きな種族です。
ヘビの寿命を縮める不調
ヘビの寿命を伸ばすためには、ヘビが健康に過ごせるような環境を飼い主が作ってあげる必要があります。
この章ではヘビを飼育するうえで注意が必要な怪我や体調不良についてご紹介します。
マウスロット
ヘビの口内の傷に入った細菌が原因でできる口内炎の一種です。
ストレスや栄養失調が原因でも発症しますが、ケージ内で口を怪我する、エサの硬く尖った部分が刺さるなど、飼育環境の影響で発症してしまう可能性があるため注意が必要です。
肥満
ヘビもエサの食べ過ぎや運動不足が原因で肥満になることがあります。
肥満は便秘の原因になったり心臓に負担が掛かって寿命を縮めたりと、ペットちゃんに悪影響を与える原因となります。
脱皮不全
脱皮した皮が体に残ったままになることを脱皮不全と言います。
その場所がただれたり、悪い場合は血行不良が原因で壊死してしまうことがあります。
卵詰まり
産むはずだった卵が体内に残ったままになる卵詰まり。消化管が塞がって死因につながることがあります。
また、メスのヘビはペアがいなくても無精卵を産もうとして卵詰まりを起こすことがあるため、注意が必要です。
肺炎
ヘビが口を開けたままで活動し「ヒューヒュー」と喘息のような音を出している場合は肺炎に罹っている場合があります。
ウイルスや寄生虫から感染しますが、原因を辿るとケージ内が不潔な状態になっている場合や脱皮不全が原因で免疫が下がっていたことがわかる場合もあります。
ヘビの寿命を伸ばす飼育方法
大切なヘビにはずっと長生きしてもらいたいもの。そのために飼い主様ができることは、飼育方法を見直すことです。
飼育環境を整えて病気に備える
肺炎や脱皮不全はケージ内の設備を整えたり、こまめに掃除してあげることで防げることもあります。
また、ケージの中に引っかけたり挟まったりする場所があれば、ペットシーツで覆うなど、怪我をしない環境を作ってあげることも大切です。
また、ヘビは急激な気温の変化に弱いです。特に寒さに弱いため、昼夜で気温差がある季節には特に注意が必要です。
日々チェックしてあげる
ヘビは肺炎になると口を開けて呼吸音を立てるようになりますが、体調を崩してから発見するのではなく、早めに気付いてあげるようにしましょう。
犬や猫とは違い、ヘビの体調不良は表情から読み取れないため、フンの状態や様子に普段と違うところがないか、日々チェックしてあげることが大切です。また、病気や肥満などで体調を崩さないように、エサの調整や日々の運動などヘビが快適かつ健康に暮らせるようにしてあげることも大切です。
ハンドリング
体に触れられることに慣れることで、脱皮不全などの体の不調に早く気付くことができるメリットがあります。対して、ヘビはふれあいを好まない種類なので触る事はストレスになって寿命を縮めると主張する意見もあります。
個体によって人馴れするタイプや嫌がるタイプがあるので、飼っている子の性格にあわせて判断してあげましょう。
ヘビが動かなくなったら確認すること
ケージの中でヘビが動かなくなった場合は、瀕死状態なのか、本当に亡くなってしまったのかを判断します。
脱皮を控えていないか確認
ヘビの脱皮はとてもエネルギーを使う作業のため、脱皮を控えたヘビはまったく動かなくなります。
エサを食べなくなったり、目が白く濁ったりするような脱皮の兆候がないか確認してください。
体調を崩していないか確認
怪我や体調不良で動かなくなっている場合も考えられます。生きていることを確認できた場合でも安心せず、心当たりがある場合は治療してあげてください。
冬眠の可能性がある
変温動物であるヘビは室温(ケージ内の温度)が極端に下がると冬眠に入り、動きが極端に鈍くなります。
冬”眠”とありますが、実際は仮死状態になっているため、触ったりして刺激を与えてもすぐに反応しないケースも多いです。死んでいると勘違いしないように注意が必要です。
持ち上げてみる
亡くなったヘビは完全な脱力状態になって持ち上げるとダラリと垂れ下がるため、その様子で判断することもできます。
しかし、冬眠中や体調を崩している際に無理に持ち上げることはヘビの体に負担を掛けることになるため、この方法は最後の手段にしてください。
ヘビの供養方法
ヘビが亡くなっていることがわかったら、残念ですがお見送りの準備をしましょう。
特定動物は自治体に申請
特定動物に指定されている毒を持ったヘビやニシキヘビが亡くなった場合は、死亡日から30日以内に市町村に「特定動物飼養・保管数増減届出書」を提出する必要があります。
コーンスネークなど飼育に許可がいらない種類の場合は特に申請する必要はありません。
※参考サイト
・特定動物(危険な動物)の飼養又は保管の許可について 環境省
供養方法を決める
供養方法を決めることは、見送り方を決めることでもあります。一緒に暮らした愛するペットちゃんとの最後のお別れなので、悔いが残らないように検討しましょう。
火葬
近年ではヘビを火葬してくれる火葬業者・霊園も増えてきています。
しかし、返骨を希望する場合は、その業者にヘビの火葬実績があるかを調べるようにしましょう。
埋葬
「お庭など穴を掘れる私有地がある」「土に還るまでの数十年の間、できれば掘り返す予定がない」という場合は、私有地への埋葬も有効な選択肢です。
筆者は小さいころに飼育していた魚が亡くなると庭に埋めていましたが、毎回数日と立たずに何者かに掘り起こされていました。野良猫か何かの仕業だとは思いますが、毎回大切なペットの遺体を持ち去られて悔しく思っていました。
このように、地中に埋まっていても動物は嗅ぎつけるようなので、埋葬する際はできれば火葬してお骨にした状態が望ましいです。万が一発見された場合でも簡単には掘り起こされないように深く穴を掘る事も大切です。
自治体に連絡
ヘビの遺体も同じように自治体に引き取ってもらうことができますが、遺体は他の動物と合同火葬、もしくは可燃ゴミと一緒に焼却されます。そのため、基本的には返骨されないことを覚えておきましょう。
まとめ
種類によって異なりますが、ヘビの平均寿命は10年程度。飼育方法によってはもっと長く一緒に暮らすこともできます。
そのために飼い主様ができることは、ケガをしたり体調を崩したりしないようにケージ内の設備と環境を整えてあげることです。変温動物であるヘビは気温の変化にとても敏感です。ケージを置く場所やヒーターの導入で過ごしやすい環境にしてあげましょう。
残念ながら亡くなってしまった場合は、火葬・埋葬・自治体への引き取りなどの方法から供養方法を決めて、最後まで見送ってあげてください。どの方法で供養するか、一度家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。