ペットちゃんの見送りを手伝ってくれた業者の方に感謝を伝えたい場合は、心付けを渡すのがおすすめです。
このページではペット火葬・葬儀の後の心付けの渡し方とタイミングについてご紹介します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
心付けを行う理由は?
心付け(お布施)とは僧侶に感謝を示すために渡すお金のことで、ご本尊や寺院を管理するために使われます。
また、霊柩車の運転手さんや世話係の方など、家族を見送るためにお世話になった人にも渡すことがあります。
ペット火葬のお布施は誰に渡す?
ペット火葬の場合も同じく、スタッフさんなど火葬を行ってくれた方や読経を行ってくれた僧侶に直接渡すことになります。
直接渡せない場合でも、「お布施箱」のような間接的に渡せる方法を用意している霊園もあるようです。
心付けが必要ないケースも多い
ただし、ペット火葬の場合は心付けは必要ないケースも多いです。
会社の方針
料金プランに心付けも含まれているなど、会社の方針・コンプライアンスの観点から受け取らない業者も存在します。
・公営の火葬場での心付けは迷惑になる
補足として、公営(市営)の火葬場の職員は心付けを受け取れないことを覚えておいてください。公営の職員は公務員のため「収賄」扱いで刑法197条に抵触する恐れがあるためです。
※参考サイト
慣習として存在しない
ネットの質問サイトにはペットちゃんの葬儀や火葬後に心付けを渡すかどうかを問う質問が多く投稿されています。
人間の葬儀の場合は心付けの相場や渡すタイミングなどが慣習として根付いていますが、ペット火葬はまだまだ歴史が浅く、心付けに関しても任意の場合が多いのが理由で、迷ってしまう人が多いのだと思います。
ペット火葬で心付けを渡したい場合は?
ペットちゃんの火葬・葬儀の際は心付けが必要ない場合も多いです。しかし、愛する家族をきちんと見送ってくれたスタッフさんにお礼がしたいという飼い主様の気持ちも大切です。
両者で気持ちのすれ違いがないようにきちんと確認することが大切です。
事前に確認する
火葬・葬儀業者のホームページには多くの場合料金表が掲載されています。料金の内訳や含まれるサービスの説明がある場合は心付けが含まれていないか確認してみましょう。
また、予約のために問い合わせた際に心付けを渡しても問題ないか確認すれば確実です。
迷ったら渡す
筆者の愛犬は一任個別火葬で見送りましたが、来てくれたスタッフさんに心付けを渡していません。
心付けの「相場」「タイミング」「渡し方」を調べたのですが、周囲はペット火葬をしたことが無く、当時はネットでもペット火葬に関する情報が多くなかったため、迷っているうちにタイミングを逃してしまったのです。
1章で書いた通り、心付けは家族の見送りでお世話になったお礼として渡すものです。筆者はペットの場合は心付けは必要ない場合も多いと知った今でも、渡さなかったのは非常識だったのではないかと後悔しています。
心付けは文字通り気持ちを伝えるものです。そのため、渡せなかったことを後から悔やむ可能性がある場合は渡せるように準備することをおすすめします。
お金以外で渡す
お金以外に感謝を伝える方法として、お供え物のお菓子を持っていく方もいます。
お金の代わりの品物を渡すのも立派な心付けです。
法要別、心付けを渡す人
人間の場合は火葬場のスタッフや霊柩車の運転手など、葬儀に関わった方やお世話になった人に心付けを渡します。
ペットちゃんの法要を依頼した場合も同じく、法要を行ってくれた人に対して心付けを渡すことになります。
この章ではペットちゃんの火葬から49日供養までの法要ごとに、心付けを渡す人を紹介します。
火葬
心付けは家族を見送ってくれたお礼として渡すもの。ペットちゃんの火葬は訪問火葬と霊園での火葬から都合の良い方法を選ぶ必要がありますが、その際は火葬を行ってくれたスタッフさんに渡すようにします。
人間の場合は僧侶が到着したタイミングで心付けを渡すことが多いですが、ペットちゃんの場合はスタッフさんが火葬炉の準備などで忙しくしている場合は火葬後に渡しても問題ありません。
葬儀(初七日)
火葬後は拾骨して葬儀を行いますが、初七日を一緒に行うケースも増えています。
その際に僧侶に読経を依頼する場合は、読経が始まる前に挨拶したタイミングで渡すのが一般的です。
四十九日
ペットちゃんの魂が成仏すると言われているタイミングで、僧侶による読経の後に納骨を行う飼い主様が多いです。
葬儀の際と同じく、僧侶には読経前に心付けを渡します。
心付けを渡す際のマナー
基本的には人間の葬儀の場合と共通するマナーが多いです。
心付けの金額は?
金額はおよそ3,000~5,000円程度を包む方が多いです。
また、冠婚葬祭の際に包むお金には割り切れる数字である「偶数」や死や苦労を連想させる「4」「9」を含む単位の金額を包むのはタブーとされていますが、ペットちゃんの場合は特に避けるべき金額はありません。
心付けの包み方
心付けを包む方法には「奉書紙で包んで渡す」と「市販されているお布施用の封筒で渡す」2通りの方法があります。
・奉書紙で包む方法
伝統的で丁寧な心付けの渡し方です。
半紙でお金を包み、その上から奉書紙で包みます。この際につるつるした面が表、ざらざらした方が裏になるのが正解です。包み終わったら表に「御布施(お布施でも可)」とその下側に「飼い主様の名前」を黒のペンで記入します。
・封筒で渡す方法
白無地の封筒の表に「御布施(お布施でも可)」と、その下に「飼い主様の名前」を黒のペンで記入します。
また、あらかじめ「御布施」の文字が記入された封筒も市販されているため、そちらを使用するのもおすすめです。
心付けを渡すタイミング
人間の場合は僧侶が到着したタイミングなど、先に渡しておくことが多いです。
ペットちゃんの火葬の場合も同じく先に渡してもいいですが、すべての工程が終わって落ち着いたタイミングで渡しても問題ありません。
心付けの渡し方
心付けは手で直接渡さず、切手盆(小型で黒塗りのお盆)に乗せるか、寒色の袱紗(ふくさ)で包んで渡すのがマナーです。
渡す際は奉書紙・封筒の場合を問わず、心付けの表面(御布施と書かれている方)を表にして、渡される側から見てその文字が正しく見える(こちら側からは反対に見える)ようにして渡します。
まとめ
心付けとは、愛するペットちゃんのお見送りを行ってくれた方に感謝を込めて渡すものです。
しかし、ペットの葬儀は人の場合と違って決まっていない部分も多いです。迷った場合は、人間の葬儀と同じように火葬を行ってくれたスタッフさんや読経をしてくれた僧侶に渡しましょう。
また、渡し方のマナーについても人間と共通です。封筒や奉書紙で包み、手渡しではなく袱紗や切手盆を使って渡すようにしましょう。