飼っているヘビが動かなくなった場合は、まずは焦らず様子を見ることが大切です。
大切なヘビとこれから先も一緒に過ごせるように、冷静に対処するようにしましょう。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ヘビが動かない理由
ヘビは活発に動かない種類も多いですが、体調を崩していないか普段から注意深く様子を見てあげましょう。
エサを食べた直後
ヘビは食後はあまり動きません。エサをきちんと食べている場合は消化が終わるまでゆっくり待ってあげましょう。
脱皮前
動かないうえにエサを食べなくなった場合は脱皮の時期が近づいている可能性を考えて、目を確認してみましょう。目が白く濁って見える場合は脱皮の兆候です。
体調に問題がなさそうなら、脱皮が終わるまで見守ってあげましょう。
体調を崩している
体調を崩して動かなくなっている場合もあります。
ヘビが体調を崩すケースや死ぬ前に見せる行動についてはこちらでまとめていますので、参考にしてください。
亡くなっている
同じ体勢のままでずっと動かない場合はすでに亡くなっている可能性があります。
亡くなったヘビは完全に脱力状態になるため、ケージから出して確認しましょう。
ヘビの遺体はどうする?
残念ながら亡くなっていることがわかった場合は、これまでの感謝を込めて供養してあげましょう。
死後数時間ほどで死後硬直が始まるため、まずはヘビの遺体を安置してあげましょう。
安置方法
ヘビの遺体を棺(箱)に納めて安置します。
安置した状態が、大切なペットちゃんの最後の姿になります。できる限りきれいにしてあげましょう。
・体をきれいにしてあげる
ヘビの遺体は漏れ出た排泄物や体液で汚れる場合があります。
汚れが目立つうえに悪臭の原因になるので、ていねいに拭き取ってあげましょう。
・棺の置き場所
遺体は傷まないように保冷剤などで冷やしますが、棺の置き場所にも注意が必要です。
直射日光を避けた室温の低い場所で、野良猫やカラスなどに遺体を持ち去られないように窓を閉めておきましょう。
ヘビを安置するために必要な知識
ヘビの遺体を安置する際のポイントをご紹介します。
・安置する体勢
ヘビの遺体はまっすぐの状態にするのではなく、とぐろを巻くような格好にすれば棺の中に収まりやすくなり、見た目も良くなります。
・感染症に注意
爬虫類であるヘビはサルモネラ菌という食中毒の原因菌を持っています。そのため、遺体を動かしたり安置が終わった後は必ず手を洗うようにしましょう。
・安置に必要なもの
安置に必要な品物は亡くなってから慌てないように事前に準備するか、家にあるもので代用するようにしましょう。
用意する物 | 概要 |
---|---|
棺 | ・体がぴったり収まるように幅が広いもの ・代用品:ダンボールなどの箱 |
手袋 |
・遺体を汚さないため、サルモネラ菌の防止 ・代用品:使い捨てのゴム手袋 |
ペットシーツ |
・汚れたら取り換えられる ・代用品:新聞紙・タオル |
ドライアイス |
・遺体が傷まないように冷やすもの ・代用品:保冷剤 |
ヘビは庭に埋めてもいい?
ヘビを土葬してあげたい場合は、遺体を安置する工程を飛ばして、そのまま庭や敷地内に埋葬することもできます。
しかし、飼育していたヘビを土葬するのは基本的にはおすすめできません。飼育環境で発生した菌や感染症が外で広がると、元から住んでいた動物や生態系に悪影響を及ぼす可能性があるためです。
これはペットショップで購入した個体だけではなく、野生の個体を捕まえて飼育していた場合でも同じです。
亡くなったヘビの供養方法
ヘビが亡くなった場合は、供養のために火葬してあげるのがおすすめです。
火葬
近年は細やかな火力調整が可能な火葬炉の登場によって、ハムスターなどの小動物に加えて魚類やヘビなどもきちんと骨を残して火葬することができるようになりました。
依頼先によってはお骨上げや読経など人間と同じように手厚く弔ってもらえる場合もあるため、大切なペットちゃんを見送る際にこそ検討すべき方法といえます。
自治体に引き取ってもらう
自治体でもペットちゃんの遺体の引き取りと火葬は行われていますが、他の動物やゴミなどとまとめて焼却されるため、基本的にお骨は返ってきません。
遺体の処分を急ぐ場合には有効な選択肢ではありますが、火葬後にきちんと弔いたい場合はきちんと業者に依頼するのがおすすめです。
ヘビを見送ったあとにすること
一緒に暮らしていたヘビを見送った後は、しばらく寂しい日々が続くかと思います。
その中でもやるべきことの対応方法や、寂しい気持ちを紛らわせるための方法を紹介します。
ケージの片付け
筆者は飼っていたオカヤドカリを全員見送った後、水槽の処分に困ったことがあります。水槽は粗大ゴミで出せますが、ヒーターなどの機材や敷いてある砂、石など処分方法がわからない品があったためです。
結論を言うと分別して各所に回収を依頼することで処分したのですが、回収されるか確認したり申し込んだりするのが面倒だったのを覚えています。
ヘビの水槽を片付ける際も同じような工程を辿るかと思いますので、以下の片付け方を参考にしてみてください。
・ケージ(水槽)本体
大阪市では「最大の辺または径が30センチメートルを超えるもの」を粗大ゴミ扱いとして回収してくれるなど※1、ケージ類は粗大ゴミ扱いとして自治体が回収してくれるケースも多いです。
処分時の手数料も一般的にヘビの飼育に使われる90センチ程度の水槽なら200~400円とリーズナブルに処分できます。※2
また「サイズが大きい」「あまり使っていない」などの条件が揃っていれば売却することもできますが、割れ物なので梱包や発送が大変なため避けた方が無難です。
※参考サイト
・登り木・床材
水槽内で使っていた登り木は燃えるゴミ、床材は素材によりますが燃えるゴミとして捨てられることが多いです。ただし、量が多い場合は小分けにして少しずつ捨てるようにしましょう。
木や自然由来の床材は外に捨てても問題ないようにも思えますが、飼育環境で発生した病原菌を自然に広げないように、一度でも使用したものは自然に返さず処分するようにしましょう。
・ヒーター・照明
ヒーターや照明は不燃ゴミとして処分できる場合が多いですが、自治体に確認してルールに従って処分しましょう。
有名ブランドの品や、買い替えたばかりで状態が良い場合はフリマアプリなどで売却するのもおすすめです。
メモリアルグッズの作成
火葬後に返ってきたお骨は霊園に埋葬する以外にも、飼い主様の希望に応じた方法で供養することができます。
大切なあの子がいなくなって寂しい方はネックレスに分骨してアクセサリーにしたり、オーダーメイドのグッズを購入して部屋に飾るなど、メモリアルグッズを作成して手元供養するのもおすすめです。
まとめ
ヘビが亡くなった場合は、死後硬直が起こる前に体の汚れを拭き取ってあげた後、とぐろを巻いているようなリラックスした体勢で棺に納めてあげます。
遺体を安置したら基本的には土葬せずに火葬業者か自治体に依頼して火葬してもらいましょう。