愛する猫ちゃんが体調を崩したら最期まで見守り、時間と気持ちに余裕があればお葬式をしてあげましょう。
今回は猫のお葬式を開く際の費用や心構えについて紹介します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
猫を見送る際の心構え
愛する猫ちゃんが旅立つ前には反省することや、してあげたかったこともたくさん浮かぶはず。
しかし、大切な猫ちゃんが最期を迎えるまで、できる限り見守ってあげてください。
できる限り最期まで見守ってあげる
死期が近づき、弱った姿を見るのは辛いもの。しかし、猫ちゃんは大好きな飼い主に最後まで見守ってもらいたいはず。
できる限りそばに居て見守ってあげることはもちろん、たくさん声をかけてあげましょう。意識を失っても聴覚は最後まで残っているそうです。ペットちゃんには思いが伝わるはず。
猫はひとりぼっちで旅立ちたい?
「猫は死期を悟ると姿を消す」という説があり、家で飼われていた猫の場合でも体調を崩した際に棚やクローゼットなど暗くて狭い場所に隠れる行動が見られることがあるようです。
これには「野生の本能で静かな場所に移動して回復を図ろうとしている」「飼い主に迷惑をかけないため」などの理由が考えられるようですが、その逆にまるで子猫に戻ったような甘えた鳴き声ですり寄ってくることもあります。
このように、ひとりぼっちになりたいかどうかはその子が決めるようなので、したいようにさせてあげましょう。
旅立ちを見送った後は
猫ちゃんが旅立った後は、死後硬直が始まる前に遺体を安置してあげましょう。
安置とは、以下の流れで遺体が腐敗しないように棺(箱)の中に遺体を納めることを言います。
猫ちゃんの安置方法 |
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体の汚れを拭き取ってあげる |
眠っている時のように体勢を整える |
遺体から体液が漏れることがあるので、ペットシートやタオルを敷いた箱の中に遺体を納める。 |
箱の中にドライアイスや保冷剤を入れて遺体を冷やす。 |
安置した遺体は夏・冬ともに2~3日を目安に火葬・お葬式を行う必要があるため、愛する猫ちゃんをどのように送り出してあげたいかを考えるかを考えてあげましょう。
猫のお葬式方法
仏式のお葬式の場合、故人の冥福を祈って遺族・親族が参列し、僧侶の読経・焼香が行われた後に火葬が行われます。
猫の場合は火葬のみでお葬式を済ませても問題ありませんが、手厚く弔いたい場合は読経を依頼するのもおすすめです。
近年ではペットちゃんの見送り方にも様々な選択肢があるため、希望する方法があればペットちゃんが元気なうちに行ってくれる業者や料金の目星を付けておくのがおすすめです。
選択に後悔しないか?
筆者には結婚式をせずに入籍する、いわゆる「ナシ婚」をした親族がいます。
しかし、今では「その当時は別にしなくてもいいか、くらいに思っていた」「今となっては多少無理をしてもやっておくべきだった」と後悔していると聞きました。
冠婚葬祭は重要とわかっていても「仕事があるから…」など今の状況や気持ちだけでおっくうに感じてしまう気持ちに共感できる人は多いのではないでしょうか。
たった一度しかない猫ちゃんのお見送りにも同じことが言えるはず。
「葬式なんて絶対に要らない」と硬い意思があるのではなく「やった方がいいのでは?」と少しでも興味があるのなら、業者に相談してご自身に負担が掛からない葬儀方法を探すのが良いと思います。
猫のお葬式に必要な費用
猫ちゃんのお葬式を行う際は、してもらいたいことを明確にしておくと費用を計算しやすくなります。
そのため、このページでは「3kg程度の小型~中型の猫を火葬して納骨する」までの大まかな予算をご紹介します。
火葬料金の相場 | |
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火葬の種類 | 値段 |
個別火葬(立ち合いあり) | 20,000~23,000 |
個別火葬(立ち会いなし) | 15,000~21,000 |
訪問火葬(個別火葬) | 16,000~18,000 |
合同火葬 | 10,000~15,000 |
火葬の料金は大まかに上記のようになります。
これらの料金に燃料費や訪問火葬の場合は出張費などの諸経費が加算されることも覚えておきましょう。
続いては火葬以外にかかる費用を見てみましょう。
火葬以外にかかる費用 | |
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項目 | 料金 |
骨壺 | 1,000~3,000 |
骨壺ケース・袋 | 1,000~3,000 |
メモリアルグッズ | 2,000~5,000 |
僧侶手配(お布施) |
3,000~5,000 (料金に含まれていることも多い) |
火葬後は骨壺に納めてもらいますが、キーホルダーやフォトスタンドなどメモリアルグッズに納骨するのも人気です。
これらを踏まえて「3kg程度の猫を火葬して骨壺に納めてもらう」場合は返骨してもらえる合同火葬を依頼し、骨壺を購入することになるため、火葬代15,000~20,000円と骨壺代3,000円で、大まかに25,000程度かかることがわかります。
もちろん、依頼する場所や猫ちゃんの種類によって料金は変化するため、不安な場合や少しでも料金を安くしたい場合は相見積もりを取るのもおすすめです。
納得できるお見送りのためには
「イオンのペット葬」を運営するイオンライフ株式会社が行ったペット火葬に関するアンケートでは「ペット霊園を選ぶ時に重視すること」「ペットが亡くなった際に一番知りたいこと」という質問に対して、両方とも「料金」と回答した方が一番多い結果となりました。
しかし、料金ばかりに目を向けて依頼する作業を最小限にした結果、お見送りに悔いが残っては本末転倒です。
そうならないように、ネットの体験談や火葬会社の見積もりを参考に葬儀を行うための予算をあらかじめ決めておき、その予算内で火葬やメモリアルグッズの作成など、依頼したい内容を実現してくれる依頼先の目星をつけておくのがおすすめです。
※参考サイト
「犬もしくは猫を亡くした経験のある方111人にアンケート調査を実施」イオンライフ株式会社
猫のお葬式のマナー
猫ちゃんのお葬式を行う際のマナーについて解説します。
基本的には人間のお葬式と同じと考えて問題ありません。
服装
人間の葬儀も行われる斎場でお葬式を行う場合は喪服が望ましいですが、訪問火葬や霊園での葬儀の場合は黒を基調にした平服(普段着)でも問題ありません。
焼香の回数
故人のための焼香は宗派によって回数や作法は異なりますが、ペットの場合は厳密には決まっていません。そのため、迷う場合は1回、またはスタッフに相談することをおすすめします。
写真撮影
お葬式の際にペットちゃんの写真を撮ることは問題ありません。最後の姿をしっかりと記録に残してあげてください。
ただし、ペットちゃんとはいえ、動物の遺体を目にするのが辛い方もいるため、撮影した写真の投稿には注意が必要です。
その他にもペットちゃんの訃報をSNSで報告する際の注意点はこちらでまとめていますので、参考にしてください。
猫の葬式についてよくある質問
人間とは違い、猫ちゃんのお葬式は明確にマナーが決まっていないため、迷う場合も多いはず。
判断に迷った場合は以下の質問を参考にしてください。
猫ちゃんにお経をあげてもらえる?
ペット霊園やペット火葬業者に依頼すれば僧侶を手配してくれるところも多いです。
また、宗派の希望がある場合はスタッフに相談してみましょう。
猫ちゃんのお葬式に参列者を呼ぶ?
ペットちゃんの葬儀に参列者は必ずしも必須ではないため「猫ちゃんと仲良くしてくれていた人なら呼ぶのもいい」となります。
基本的には葬儀が終わって落ち着いてから、SNSなどで訃報を伝えるくらいで十分誠意は伝わります。
猫のお葬式に必要なものは?
基本的にはハンカチ・数珠・好きなおやつやおもちゃなどのお供え物があれば十分です。必要に応じてペットちゃんの写真や、お供えしたものを持って帰る必要がある場合はカバンや袋を持っておくと安心です。
まとめ
愛する猫ちゃんが亡くなった際にはどうしても気が動転してしまいますが、まずは落ち着いて遺体を安置してあげましょう。
遺体の安置が終わったら、どのように見送ってあげたいかを考えます。ペット葬儀会社や霊園は僧侶による読経やお骨を納めるメモリアルグッズの作成など、こちらの意向にあわせてサービスを用意してくれるので、後で悔いを残さないように火葬・お葬式を依頼する場所はじっくりと選ぶようにしましょう。