愛するハムスターが亡くなった際は、まずは慌てずに遺体を安置して傷みを抑えることが大切です。
その後、飼い主様のご要望に応じて葬儀を行いますが、供養方法について迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は大切なハムスターの遺骨の取り扱い方について解説します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ハムスターが動かなくなったら
ハムスターが動かなくなった場合は、まずは疑似冬眠を疑ってみましょう。
疑似冬眠
ケージの気温が急激に下がることによってエネルギー不足に陥ったハムスターは「疑似冬眠」に入ります。
一見すると眠っているようにも見えますが、体は固まって、体温を感じられないほどに冷たくなっているため「死んでしまった」と勘違いする方も多いです。しかし、体を冷静に観察すると完全に体が固まっておらず弾力がある、かすかに呼吸や鼓動を感じるなど、ハムスターのバイタルサインを感じられることも多いです。
死亡ではなく疑似冬眠だとわかった場合は体を温めることで蘇生できるケースもあるため、こちらの記事を参考に対処してみてください。
死亡を確認したら
死後硬直が始まって体が完全に固まっている、体液や排泄物などが外に漏れ出しているなど、死亡を確認した場合は悲しいですがお見送りの準備をしましょう。
遺体の安置
ハムスターの体が収まるほどの箱にティッシュやペットシーツを敷き詰め、体の汚れを拭き取った遺体を入れてあげます。
その後、遺体が傷まないように保冷剤やドライアイスで箱の中を冷やしてあげれば、安置は完了です。
お見送り方法を決める
遺体をきれいな状態で安置できるのは冬場でも2~3日、夏場の場合は1~2日が限度です。
その間に飼い主様はお見送り・供養方法を決めて、必要なものを手配する必要があります。
ハムスターの供養方法
ハムスターを供養する方法としては、大まかに「土葬」「火葬」の2通りの選択肢があります。
供養方法を選ぶポイントとして、ライフスタイルから判断するのがおすすめです。
土葬
「私有地である」「風雨や野生動物によって掘り起こされる心配がない」と、この二つの条件を満たす土地がある場合は土葬する方法もあります。
ハムスターの体は小さいため大きな穴を掘る必要がなく、お庭に埋葬すればペットちゃんを身近に感じられます。
プランター葬
土葬出来ない場合は、プランターの土の中に埋葬するプランター葬という選択肢もあります。
土葬する場合は遺体が土に還るまで管理が必要ですが、プランターなら必要に応じて動かすことができます。
火葬
ハムスターも犬や猫と同じように火葬することができます。火葬してお骨の状態にすることで、埋葬や手元供養など飼い主様が望む方法で供養することができるため、大切な家族を見送りたい場合に有効な方法です。
火葬を選ぶ人の割合は?
株式会社エイチームライフスタイルが運営する「ライフドット(Life.)」は「ペットの供養事情」についての調査を実施。
調査内容の「ペットのご遺体の処理方法は何を選択されましたか?」という質問に対して「民間施設での火葬」「公営施設での火葬」「民間訪問火葬業者」など「火葬を行った」と回答した方が全体の8割を占めていました。
種族は違ってもペットちゃんは一緒の時間を過ごした家族。できる限り手厚く見送ってあげたいもの。
近年はハムスターや小鳥に加えて、昆虫や熱帯魚など幅広い種類のペットちゃんの火葬を請け負う業者も増えてきていることから、多くの方が火葬して供養する方法を選んでいるのかもしれません。
※参考サイト
株式会社エイチームライフスタイル「ライフドット(Life.)」 「ペットの供養」に関する調査
火葬後にハムスターの骨はどのくらい残る?
体が小さなハムスターを火葬した場合、お骨が残るか心配になる方も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、ハムスターのお骨は全身きれいに残すことができます。
お骨を残す頼み方
熱風で骨を吹き飛ばさないように細やかな火力調整ができる火葬炉や、ハムスターや熱帯魚など小動物でも火葬できる技術者の登場によって、ペットちゃんの種類を問わず火葬ができるようになりました。
お骨を残す際には「返骨してもらえる個別火葬」「スケジュールに余裕があれば立ち会い・お骨上げも検討」の2点を重視して、要望に応えてくれる業者に依頼するのがポイントです。
ペットちゃんの遺骨を残す意味
火葬してお骨を残せば、理想の供養を行いやすくなります。
それに加えて、ペットちゃんのお骨を残すことは飼い主様の気持ちの整理に役立ちます。
お骨上げができる
依頼する場所によっては火葬後にご家族の手でお骨上げができることもあります。愛するペットちゃんのお骨を見るのが辛いと思う方も多いかもしれませんが、できるなら参加したもらいたい儀式です。
「こんなに小さな手をしていたのか」「ここを撫でるのが好きだったなぁ」など、骨からもたくさんの思い出を感じることができるため、飼い主様の心の整理にも役立ちます。
形として残る
当然ながら亡くなった生き物は世界から姿を消してしまいますが、お骨が納められた骨壺や納骨した霊園など「あの子はここで眠っている」と思える場所があれば、いくらかは心の慰めになります。
筆者が実家で飼っていた犬は夜中に亡くなりましたが、スケジュールに都合が付かなかったため次の朝には出張火葬を依頼。火葬してからお骨にして返してもらう一任火葬を依頼してお骨の状態で帰ってきました。
筆者はもちろん、家族も愛犬を見送れなかったことを長い間後悔していましたが、お骨が手元に形として残っており、また声を掛けられるようになっただけでも良かった、と思っています。
このように、その子が存在した証や「そばにはいなくなったが、ここに行けば会える」と思えるような供養をすれば、お見送りも寂しくないはずです。
ハムスターのお骨が返ってきたら
火葬が終わってお骨が返ってきたら、供養方法を考えてあげましょう。
お骨はしばらく置いてもいい
ペットちゃんの埋葬・納骨を行うべき期日は特に決まっていません。人間の場合は四十九日や一周忌など法要にあわせて行うことが多いですが、ペットちゃんの場合は心の整理がついた後など、飼い主様のタイミングにあわせるのがおすすめです。
それまではお部屋に骨壺を飾ってお供えをしたり、元気だった時のように語りかけたりと、しばらくの間一緒に生活することで寂しさや悲しみが少しは和らぐかもしれません。
手元供養する方法もある
「霊園が遠い」「離れるのはやっぱり寂しい」という方は手元供養を検討するのもおすすめです。
お部屋のインテリアにあわせた骨壺への入れ替えや、ペットちゃんの遺骨を納めたネックレスやダイヤモンドへの加工などメモリアルグッズの作成など、ご希望の方法やグッズを探してみましょう。
まとめ
火葬技術の発達によってハムスターのような小動物でも、火葬してきれいな状態で返骨してくれる業者が増えています。
返ってきたお骨も霊園への納骨だけではなく、アクセサリーなどに加工して手元供養するなど、飼い主様の意向に沿って供養できるため、愛する家族のお見送りの際は悔いを残さないように、最適な方法を選ぶようにしましょう。