犬や猫は生理現象として泡を吹くこともありますが、その原因によっては死亡する可能性もあります。
そのため、ペットちゃんが泡を吹いていることに気付いたら、まずは原因を調査し、対処するようにしましょう。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ペットちゃんの行動を思い出す
ペットちゃんが泡を吹いている場合は、まずは落ち着いてペットちゃんの行動を思い出してみましょう。
食事を取った時間
食べたものを吐き戻そうとしている可能性があるため、食事を取った時間や行動を思い出してみましょう。
【誤食・誤飲】
泡を吹きながら頭を振ったり苦しんでいる場合は、誤飲・誤食したものを吐き出そうとしているのかもしれません。
放っておいても小さい物なら便として排出されるケースもありますが、中毒を起こしたり腸閉塞などが原因で死亡するケースもあります。誤飲・誤食の疑いがある場合は特に注意して様子を見てあげるようにしてください。
また、猫の場合は苦いものを口にすると泡のようなヨダレを大量に垂らすこともあります。
薬を飲ませた後に泡を吹いている場合は原因がすぐ特定できますが、ペットちゃんにとって有害なものを口にした場合でも同じ状態になるので、原因が特定できない場合は早めに病院に連れて行ってあげるのがおすすめです。
【空腹の場合】
犬や猫は空腹が原因で透明、もしくは黄色が混ざった泡を吹くこともあります。
これは胃液や胆汁が出ているので、最後に食事を与えた時間がずいぶん前で、泡を吹いていても普段と変わらない様子で元気に振舞っている場合は少量ずつご飯を与えて様子を見るようにしましょう。
長い間暑いところに居た
暑い日に呼吸を荒くしたり、口から泡の混ざったヨダレを垂らしている場合は熱中症の恐れがあります。
車に乗せた
ペットちゃんも車酔いが原因で泡だったヨダレを流したり、嘔吐したりする症状が見られます。
また、以前にも車に乗って病院など嫌な思いをした場所に連れていかれた場合は「車に乗ると怖いところに連れていかれる」と学習して車自体に苦手意識を持ち、車酔いを引き起こすこともあります。
興奮させすぎた
犬の場合「ドッグランで好きな友達と遊んだ」「大好物が目の前にある」などの理由で興奮しすぎると、生理現象として垂らした大量のヨダレで口の周りが泡だらけになることもあります。
てんかん
犬や猫は「突発性てんかん」と呼ばれる体の硬直やけいれんを起こして、口から大量のヨダレや泡を出すことがあります。
遺伝が原因で検査をしても異常が見つからない場合が多く、始まるのも急ですが治まるのも急であることが特徴です。
ペットちゃんが吹く泡の正体は?
ペットちゃんが口から吹く泡の正体は大量に出たヨダレや胃液などが泡状になったものです。
そのため、原因が特定でき、なおかつ元気そうにしている場合は心配が要らない場合も多いです。
ただし、自己判断で「大丈夫」と断言せず、不安な場合は病院に連れていくようにしてください。
泡の色に注目
ペットちゃんが泡を吹いている場合は、泡の色に注目しましょう。
透明もしくは白色の場合は唾液や胃液のため空腹や興奮が原因として考えられ、黄色っぽい場合は空腹のため胆汁が混ざっているため空腹が原因として考えられるなど原因解明に役立つことがあります。
ペットちゃんが泡を吹いた際の対処方法
原因がわからない場合はもちろん、原因がわかった場合であっても、ペットちゃんが普段と違う様子を見せていて不安な場合は動物病院へ行くことをおすすめします。
病院に連れていく基準
筆者の実家で飼っていた犬はよく咳き込む子で、病気を心配して病院に連れて行ったことがあり、診断の結果「水を飲むのが下手なだけ」と教えられ、一家揃って胸を撫でおろした経験があります。
大切な家族が病気かもしれないと思うとなかなか病院に足が向かないのは当然ですが「何もなければそれでいい」「異常が見つかったら対処してもらえる」と考えて、飼い主様の心の安心のため、何よりペットちゃんのために病院に連れて行ってあげるのがいいかもしれません。
病院に行った方がいいケース
ペットちゃんが泡を吹いている場合は「ただの生理現象」か「SOSサイン」なのかを正確に判断する必要があります。
繰り返しになりますが自己判断で安心するのではなく、不安な場合は病院に連れて行ってあげるようにしましょう。
元気がない場合
泡を吹いた後でもいつも通り元気に振舞っている場合は心配いらないケースも多いですが、ぐったりして元気が無かったり、下痢や嘔吐を起こしている場合は体調を崩していないか気を使ってあげましょう。
泡の色が濃い場合
生理現象として泡を吹く場合は白・透明・黄色の場合が多いですが、吐き出したものが茶色や赤混じりの色をしている場合は体内で出血している恐れがあります。
消化器や呼吸器に病気を抱えている場合が考えられるだけではなく、誤飲した物が食道を傷つけている場合など、様々なケースが考えられるため、早めに病院に連れていってあげましょう。
その際は吐いたものをラップやビニール袋などで包んで獣医さんに見てもらうと診断の助けになります。
熱中症
熱中症はペットちゃんの命に関わる病気です。早めの対処に加えて、かからないように対策が必須と言えます。
しかし、愛犬のための情報サイト「INUNAVI(いぬなび)」を運営する株式会社PLAN-Bが行った「愛犬の熱中症・暑さ対策」に関するアンケートでは「犬が熱中症になったときの対処法を知ってる」という質問に対して「知っている」と答えた方はわずか10.2%でした。
ペットちゃんが熱中症にかかり、泡を吹いてぐったりしている状態であっても冷静に応急処置をして病院に連れていくためには「原因の究明」「正しい知識に基づく適切な応急処置」「病院への搬送」が求められるため、普段から対処方法を考えておくなど、いざという時のために備えておくことが大切なことがわかります。
※参考サイト
INUNAVI(いぬなび)「愛犬の熱中症・暑さ対策」に関するアンケート調査
長く続くてんかん
突発的てんかんの場合は長くても2分程度で発作は治まって元気を取り戻す場合がほとんどです。
しかし、2分以上経っても発作が治まらない場合や発作回数が24時間以内に2回以上起こる場合(群発発作)や発作が治まらないうちに再び発作が起こる場合(重積発作)は体に後遺症が残ったり死亡する可能性があるため、急いで検査が必要です。
ペットちゃんが体調を崩したら
病院に連れて行って病気が見つかった場合でも、ご自身を責めることはしないでください。
後悔しない
病気や誤飲が見つかった場合は「自分の判断ミスだ」「苦しかっただろうな…」とご自身を責めてしまう方も多いです。
しかし、飼い主様の判断が無ければもっと長い期間苦しんでいたかもしれないのです。どうか自分の判断を後悔しないようにしてください。
これからの過ごし方を考える
ペットちゃんが泡を吹くなど、普段と違う振る舞いを見た後には、より一層ペットちゃんが健康でいる日々を尊く思う方も多いのではないでしょうか。
同時に、ペットちゃんが元気なうちにたくさんの思い出を作って、幸せな一生を送ってもらいたいと思うはずです。
この機会にいざという時のペットちゃんを診てくれる病院を探したり、飼育環境を見直してみるのもおすすめです。
まとめ
ペットちゃんが吹く泡の正体は過度の空腹や緊張などが原因で出た唾液や胃液、胆汁です。
直近のペットちゃんの行動や様子などから原因が特定できる場合は心配ないケースも多いですが、てんかんの発作が長く続く場合や熱中症の場合などペットちゃんの命に関わる場合もあるため、心配な場合は病院で診察してもらうようにしましょう。