カエルが亡くなった場合、庭の土に埋めたり川に放したりと、自然に還す供養方法を選ぶ方は多いのではないでしょうか。
しかし、飼育されていたカエルは環境に悪影響を与える可能性があるため、土葬・水葬は行わないようにしましょう。
今回は、カエルの最適な供養方法についてご紹介します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
カエルが動かなくなった際に確認すること
カエルには死んだふりをする種類もいることに加えて、生きてはいるが体調を崩して動けない場合も考えられるため、動かなくなったカエルでも、まだ生きている可能性は十分にあります。
動けなくても喉だけは呼吸のためにペコペコ動いている場合があるため、動かない場合は喉に注目するのがおすすめです。
体がカラカラに乾いた状態や裏返ってまったく反応しないなど、亡くなっていることが確認できた場合は、すぐにケースから遺体を取り出してあげましょう。
カエルが亡くなったらすること
カエルが亡くなった場合、まずは遺体を安置しましょう。
遺体の安置
カエルの体は皮膚呼吸のために常に湿り気を帯びていますが、死亡した後は乾燥してカラカラに干からびてしまいます。
遺体をきれいに残したい場合は遺体が乾かないよう、濡らしたキッチンペーパーを敷いた箱に安置するようにしましょう。
遺体の扱い方
日本でなじみ深いアマガエルやヒキガエルを含めて、カエルには毒を持っている種類も存在します。
命に関わる強さの毒ではありませんが、カエルを触った手で目や傷口を触ると腫れたり傷が悪化するなどの症状が出ます。
ヤドクガエルなど猛毒を持つ種類であっても、飼育されていたカエルであれば毒を持っていない場合がほとんどですが、遺体を取り出した後は必ず手を洗うように心掛け、心配なら手袋を付けるようにしましょう。
水槽の片付け
海外から輸入されたカエルは「カエルツボカビ」と呼ばれる真菌(カビ)に感染している可能性があります。人間には感染しませんが、カエルの場合は感染後に9割が死亡するとされています。
爬虫類・両生類の臨床と病理のための研究会「SCAPARA」が公開しているカエルツボカビに関するQ&Aでは一度放たれたカエルツボカビを取り除くことは困難であり、生態系保護のためにカエルツボカビを野外に出さないことを呼びかけています。
そのため、カエルが亡くなった際には、その子がカエルツボカビにかかっている可能性を考えて、水槽や中に敷いていた土や飼育グッズはすべて適切に処分、再利用する場合は消毒を行いましょう。
※参考サイト
爬虫類・両生類の臨床と病理のための研究会「SCAPARA」カエルツボカビに関するQ&A
カエルに多い死因
カエルが亡くなって、同じ水槽に新しい生体を迎える場合はカエルの死因を調べてからにするようにしましょう。
間違った飼育方法やカエルツボカビなどの感染症によって新しく迎えた子まで失わないための対策になります。
餓死
木の上で暮らすカエルであればハエ、地上で暮らす種類であればミルワームを好むといったように、種類や食性にあわせたエサ選びをしないとエサを食べなくなって餓死につながります。
水場の不調
カエルは濡れた皮膚を通して呼吸する生き物のため、水分がない環境で皮膚がカラカラに乾いてしまうと死んでしまいます。
水槽の中に十分な水が無い場合や、カエルの排泄物で汚れた水場で雑菌が繁殖してケージ内で感染症が流行るなど、水場の不調はカエルの死因につながりやすいです。
温度
カエルは変温動物なので、ケージ内が寒すぎ・暑すぎの場合は少しづつ弱ってしまいます。
また、ケージにライトを点けている場合、その熱でカエルが弱ってしまうこともあるので注意が必要です。
飼育環境の不備
変温動物で周囲の影響を受けやすいカエルは、排泄物をこまめに取り除かなかったことによるアンモニア中毒や温度調整の失敗など、飼育環境が原因で亡くなってしまうケースも多いです。
やってはいけないカエルの供養方法
飼育していたカエルの遺体を処理する方法は「火葬」「ゴミとして捨てる」ことに限られます。
基本的には「土葬」「水葬」はNGです。
カエルの遺体は野外に放さない
カエルツボカビ病などの感染症を野外に出さないために、飼育していたカエルの遺体を土葬や水葬するのは避けましょう。
カエルを逃がさない
多頭飼育をしていたカエルが立て続けに亡くなった場合、残ったカエルがかわいそうになって「自然に返してあげよう」と考える方もいらっしゃいます。
しかし、飼育されていた個体が自然に適応できることはなく、感染症を自然に広げてしまうかもしれません。
何より、最後の一匹が旅立つまできちんと面倒を見てあげることが、旅立ったカエルへの何よりの供養になるはずです。
捨てる際は中が見えない袋に入れる
火葬を行わない場合は遺体を袋に包んで燃えるゴミに出すのもおすすめですが、カラスや野良猫などの野生動物にゴミを荒らされたり近隣の方々とトラブルに発展する可能性があります。
対策として中身が見えず、臭いが漏れにくい袋を選ぶなど、周囲への配慮を欠かさないように注意が必要です。
カエルが亡くなったら火葬しよう
カエルの供養は火葬が最も適した方法です。
詳しく説明します。
火葬を行うメリット
近年では火葬ノウハウの確立によってカエルのような小動物でもきちんとお骨を残せるようになりました。
霊園への埋葬はもちろん、手元供養を行う場合でも、まずは火葬してお骨の状態にする必要があるなど、火葬を行えば供養方法の選択肢が広がることが火葬を行う何よりのメリットです。
専門家に相談できる
犬や猫の葬儀・供養方法は多くの情報が出回っていますが、カエルの葬儀方法に関する情報はかなり少ないようです。
その場合でも両生類や小動物の火葬を多く承っている業者の場合は、供養方法までサポートしてくれるケースが多いため、カエルの葬儀についてわからないことが多い場合は専門業者に火葬を依頼するのがおすすめです。
きちんとお見送りできる
繰り返しになりますが、カエルの遺体を処理する際は土葬や水葬など自然に放すのではなく、火葬やゴミとして出す必要があります。
しかし、ペットをゴミとして捨てることに抵抗を感じる方も多いのではないでしょうか?
筆者もペットのコリドラスの遺体を布で包んで捨てたことがありますが、今でもこの軽はずみな決断を後悔しています。
当時はそれほど深く考えていませんでしたが「可愛がっていたからこそ、最後のお見送りはきちんとするべきだった」というのが後悔の原因だと今ではわかります。
ペットちゃんと過ごしてお別れするまでの日々は、すべてが大切な思い出です。最後のお別れをおろそかにすると、イヤな思い出として残ってしまうという好例です。
きちんと火葬してお見送りすることは、ペットちゃんのためだけではなく、ご自身のためでもあるのです。
まとめ
カエルを含む両生類はカエルツボカビと呼ばれる感染症にかかる可能性があります。
カエルツボカビがひとたび野外で拡大した場合は環境に申告な影響を与える危険性があるため、カエルの遺体は火葬やゴミとして処分するなど、野外に放さないようにしましょう。