
水槽の中で死んでいる熱帯魚を見つけたら、早めに水槽から取り出しましょう。
遺体が分解されて悪臭を放ったり、水質が悪くなる恐れがあるためです。
その後は心を込めて亡くなった熱帯魚を弔ってあげて、水槽に残った熱帯魚のケア、もしくは水槽の片付けを進めましょう。
このページでは熱帯魚が亡くなってからすることをまとめて紹介します。
この記事の監修者

高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
熱帯魚が死んだらやること

まずは熱帯魚が本当に亡くなっているか確認しましょう。
【熱帯魚の死亡確認】
熱帯魚が水面に浮いている、もしくは沈んでいる場合でも、調べてみるとまだ生きている場合も多いです。
また、水槽内の魚が減っている場合でも、隠れていて見つからない場合や、遺体が食べられて無くなっている場合が考えられます。
そのため、まずは遺体を探すこと、見つけた場合は生きているか確認するようにしましょう。
小型の熱帯魚ならフィルターやろ過槽など水槽内の設備に潜り込んでいたり、野良猫に持ち去られたり共食いされた場合もあります。
【水槽から遺体を取り出して確認】
熱帯魚が亡くなっていることがわかった場合、すぐに水槽から遺体を取り出しましょう。
遺体が水槽の中で分解されると、水質の悪化や細菌の拡散などの悪影響が及ぶためです。
単体で飼育している場合でも、遺体が傷むと悪臭が発生することもあるため、遺体は早めに取り出すようにしましょう。
特に、遺体が水面に浮かんでいたら要注意。
遺体が浮かぶ理由は体内のガスであり、遺体の腐敗が進んでいると考えられるためです。
【遺体を確認】
引き上げた遺体に「ウロコの剥がれ・ささくれ」「ヒレが溶けたようにボロボロになっている」など病気の兆候が見られる場合は、水槽内に病気が広がっている可能性があります。
熱帯魚の死因となる「尾ぐされ病」「松かさ病」の原因は細菌のため、対策をしないと他の魚も感染してしまいます。
【遺体を安置する】
火葬してあげる場合や、お見送りまで一緒に過ごしたい場合は、遺体を安置します。
・タッパー
・キッチンペーパー・ティッシュ
・保冷剤(長い間安置する場合)
熱帯魚の遺体を安置する場合は遺体を濡らして乾かさないようにすることがポイントです。
そのため、防水性のタッパーに濡らしたキッチンペーパー・ティッシュを敷いて、体を包んであげることをおすすめします。
小型の熱帯魚の場合はタッパーですが、アロワナなど大型の熱帯魚の場合はクーラーボックスのような体を折り曲げずに納められる箱に入れてあげましょう。
【水槽の手入れ】
遺体を安置してお見送り方法を決めた後でも問題ありませんが、他の魚が心配な場合は早めに水槽を手入れしましょう。
また、遺体が浮いていたなど死亡から時間が経っていることが推測される場合も同上です。
・他の魚が弱っていないか
・病気の兆候が出ていないか
熱帯魚の見送り方

熱帯魚を見送る方法には「ペット火葬業者に依頼」「自治体に依頼」の3つが挙げられます。
【どの方法が一番良い?】
見送り方には、以下の特徴があります。
見送り方 | メリット | デメリット |
火葬業者 | ・きちんと葬儀ができる ・返骨される | ・料金がかかる ・業者選びが大変 |
自治体に依頼 | ・業者よりも安く火葬できる ・トラブルに巻き込まれにくい | ・返骨されない ・お別れに立ち会えない |
まとめると、きちんと火葬・葬儀をしたい場合は火葬業者、身近な場所で弔いたい場合は埋葬、火葬のみを安価で済ませたい場合は自治体に依頼するのがおすすめです。
【火葬】
近年では熱帯魚1匹の火葬・葬儀にも対応してくれる業者が増えてきています。
人間の葬儀と同じように旅立ちに寄り添い、自分でお骨を拾うこともできるため、大切な熱帯魚を丁寧に見送りたい場合にぴったりです。
また、アロワナなど大型の熱帯魚は自治体で引き取られない場合があり、埋葬した場合でも土に還るまで時間がかかる可能性があります。
そのため、大型の熱帯魚を見送る際にも最適な方法と言えます。
【自治体】
自治体に遺体を引き取ってもらうには、以下の2つの選択肢があります。
ただし、どちらの方法でも火葬後の遺骨が返ってこないため、きちんと供養してあげたい方には向いていない方法です。
・火葬を依頼する
・燃えるゴミに出す
どちらの場合でも遺体は火葬されますが、手続き方法が異なります。
「火葬」の場合は自治体に料金を払って引き取りを依頼する方法です。
「ゴミに出す」場合は普通の燃えるゴミと同じく、遺体を布で包んでゴミに出す方法です。
火葬の場合は料金がかかるため、アロワナやポリプテルスのような大型~中型の熱帯魚の見送りに向いています。
対してゴミに出す方はネオンテトラやコリドラス1匹など、小型の熱帯魚のお見送りする際に最適な方法です。
【大型の熱帯魚は剥製にするのもおすすめ】
遺体が損傷しておらず、アロワナなどの大型魚やプレコなど中型の魚であれば、剥製にするのも手です。
ご自身で行うのは困難なため、専門業者に依頼することになりますが、生きていた時と同じ姿で愛する熱帯魚を飾れるのは魅力的です。
【やってはいけない熱帯魚の見送り方】
熱帯魚の遺体は基本的に自然に放たないようにすることが大切です。
・土に埋める
熱帯魚の遺体を土に還してあげたいと考える方も多いですが、熱帯魚の遺体は基本的に土には埋めないようにしてください。
水槽内で飼育されていた熱帯魚は自然には無い病原菌を持っている可能性があるうえ、海外産の熱帯魚が持っている病原菌が生態系にどのような影響を与えるかわからないからです。
また、魚は腐敗すると悪臭を放つため、おびき寄せられた害虫や害獣によって掘り起こされたりする可能性も高いです。
・川・海に流す
熱帯魚を含む動物の遺体は法律上「廃棄物」として扱われます。
廃棄物処理法第16条では「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定められており、廃棄物である熱帯魚の遺体を川や海に流すことは不法投棄として罰せられます。
川や海に放してあげることは、水槽ではなく広い世界で過ごしてほしいという飼い主様の愛によるものかもしれませんが、愛しているからこそ、別の方法で供養してあげましょう。
*参考サイト
熱帯魚が死んだら供養方法を決める

熱帯魚を見送った後は、心を込めて供養してあげましょう。
熱帯魚を供養する方法は、お骨がある場合とない場合で違いがあります。
【お骨がある場合】
・霊園、納骨堂に埋葬 ・手元供養
【お骨がない場合】
・祭壇を作る
それぞれ解説します。
【霊園・納骨堂に埋葬】
お骨をペット霊園・納骨堂に埋葬することで、ペットちゃんの安らかな眠りを祈ります。
きちんと弔ってあげることで、飼い主様の寂しい気持ちも軽くなるはずです。
【手元供養】
骨壺をお家で管理する、お骨をキーホルダーに納めるなど、身近で供養する方法です。
ペットちゃんを身近に感じられるため、お別れが寂しい方におすすめの供養方法です。
【祭壇を作る】
祭壇はペットちゃんの安らかな眠りを祈る場所。
ペットちゃんの写真を飾ってお供えをすることで、思い出を振り返り、ペットちゃんに思いを馳せることができます。
自治体に依頼した場合や、霊園などに埋葬してお骨が無い場合でも有効な方法です。
大切なペットちゃんのことを思うことに加えて、いつでも再会できる供養方法です。
ハピネスでは火葬・葬儀プランにあわせて供養方法に関するご相談も承ります。
無料でご相談を承りますので、遠慮なくお申し付けください。
残された熱帯魚と水槽のケア

熱帯魚が死んでしまった水槽はきちんと手入れをしましょう。
熱帯魚の種類によっては同じ水槽で複数匹を飼育することも多いです。
その中の一匹が亡くなった場合、死因によっては水槽内で病気が蔓延し、他の魚にも悪影響が及ぶことがあります。
【死因にあわせて対策する】
亡くなった熱帯魚の死因が病気や寄生虫感染が原因と考えられる場合は、他の魚も感染している可能性があります。
薬浴をして対策をする、水替えをするなどの方法で病気対策をしてください。
【水槽の環境を見直す】
次々に水槽の魚が亡くなったり、調子を崩している場合は水槽内の環境が悪くなっている可能性があります。
思い当たる点があれば、この機会に対策してあげましょう。
考えられる不調 | 対策 |
酸欠 | ・エアレーション・酸素を出す石の設置 |
水質の悪化 | ・適度な掃除・水替え ・エサの食べ残しが発生しないように工夫 |
飛び出し・設備に挟まれる | ・蓋を付けるなど、設備を見直す |
【新しく熱帯魚を迎える際の注意】
水槽内が再びにぎやかになることを願い、新しい個体を迎えたい方も多いはず。
しかし、今の水槽に魚を迎え入れる際には「トリートメント」と「魚同士の相性」を考えるようにしてください。
・トリートメント
お店で飼育されていた魚でも、病気や寄生虫感染などの不調を抱えている可能性があります。
そのため、他にも熱帯魚がいる水槽に新たに迎え入れる魚は別の水槽で1~2週間ほど過ごしてもらい、問題なければ導入することをおすすめします。
この工程をトリートメントと呼びます。
・魚同士の相性
魚の種類によっては、新しく入ってきた魚とケンカをして弱らせてしまうことがあります。
隠れ場所を作って逃げられるようにすることや、一旦隔離して魚が慣れるまで待つなどで対策しましょう。
また、生息地が被る場合やサイズの違いなどが原因でケンカが避けられない場合もあります。
そのため、新しい魚を導入する際はネットでの下調べや専門店のスタッフからアドバイスをもらうことをおすすめします。
水槽の片付け方

水槽内の熱帯魚がすべていなくなったら、水槽を片付けましょう。
【水槽はリセットする】
部屋に彩りを加えてくれた熱帯魚がいなくなって寂しいかと思います。
しかし、新しい熱帯魚を水槽に入れるのは水槽の環境を一度リセットした後にしましょう。
水槽内で感染症が発生している場合は、新しい生体も体調を崩してしまいます。
水槽環境のリセットのやり方は2つ。
1:病気や感染症の疑いがある場合は水槽の底に入っている砂や石をすべて取り替えるか洗浄
2:水槽は60度以上の熱湯で殺菌・消毒を兼ねて丸洗いする方法があります。
清掃が終わったら新たにレイアウトして水槽を再び立ち上げますが、1週間程度水をろ過しながら水質が安定するまで新しい生体を入れないようにしてください。
【水槽を処分する場合】
新しい熱帯魚を迎える予定がない場合は、水槽の処分を検討しましょう。処分する際は中身を空にする必要があるため、それぞれ以下の方法で処分します。
【水】
シンクや浴槽に流すことができますが、小石や切れた水草が水道管に詰まる恐れがあるため、水切りネットなどを使って余計なものを流さないように注意が必要です。
【底砂・石】
石・砂は自然物として基本的にゴミとして扱われないため、自治体でも回収を行っていないことが多いです。
しかし、兵庫県神戸市では少量(5kg以下)の砂・砂利であれば燃えないゴミとして回収を行っているなど例外もありますので、お住まいの自治体に問い合わせてください。
病気が原因で熱帯魚が亡くなった場合は底砂や石にも病原菌が付着している可能性が高いため、無暗に自然に返したりせず、量が多い場合は不用品回収業者に依頼して引き取ってもらうのも手です。
砂・機材・水槽と仕分けしておけば、不要になったアクアリウム用品をまとめて引き取ってもらうこともできます。
*参考サイト
まとめ
熱帯魚が死んでいることを確認した場合、水槽が汚れないように早めに遺体を取り出しましょう。
熱帯魚は「ペット火葬業者に依頼」「埋葬」「自治体に依頼」の3つの方法でお見送りする方が多いです。
きちんと葬儀をして送り出してあげたい場合はペット火葬業者に依頼して葬儀プランを設定してもらうことをおすすめします。
また、廃棄物に関する法律に違反しないよう、熱帯魚の遺体を川・海に流したりするのは絶対にやめましょう。
大切な熱帯魚を見送った後は、水槽のケアも忘れずに行ってください。
他の熱帯魚が不調をかかえていないか、水質が悪化して病気が蔓延していないかを調べ、少しの間注意して見守ってあげましょう。
使わなくなった水槽は消毒し、使っていた石や砂利なども自然に捨てず、自治体や回収業者に引き取ってもらうことをおすすめします。