フェレットは成長速度が早いため、人間よりも早く寿命を迎えます。
それまでフェレットと一緒に幸せに暮らしていくためには何をしてあげればいいのか、いつか訪れるお別れの際にはどのように見送ってあげればいいのか、一緒に考えていきましょう。
特にかかりやすい病気を把握することや、異変を見逃さないことが大切です。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
フェレットの平均寿命は?
フェレットの平均寿命は5~8年とされています。
犬や猫と比べると短いように思えますが、これはフェレットの成長速度が速いためです。
生まれてから1年で人間に換算するとおよそ20歳の大人になり、6年で60歳と立派なシニアになります。
フェレットに多い病気
フェレットに長生きしてもらうためには、フェレットに多い病気を把握し、できる限り予防することが大切です。
ジステンパー
鼻や口周りの皮膚炎から始まり、症状が進むと呼吸器の異常やけいれんなどの神経症状が現れて死に至ります。
フェレットが一度感染すると致死率は100%とされている感染症のため、定期健診と繰り返しの予防接種で感染を防ぐことが大切です。
必ずワクチン接種を行うようにしましょう。
フィラリア
フェレットも犬と同様にフィラリアに感染します。フェレットは犬と違って症状の進行が早いため、予防が不可欠です。
蚊が媒介となる病気のため、蚊が飛び始める時期の前には獣医に診察してもらい、予防薬を処方してもらいましょう。
老化が原因の病気
フェレットは成長が早い分、老化が原因で病気にかかることが多いです。
一例としてホルモンが過剰に分泌されることが原因で排尿障害・脱毛・貧血などが起こる副腎疾患や、すい臓に悪性腫瘍が発生するインスリノーマなど3~4歳以降のシニア期には特に病気に注意が必要です。
フェレットに元気がない理由
病気ではない場合でも、フェレットに元気がない場合は以下の3点に注意して様子を見ましょう。
必要な場合は迅速に病院に連れて行くことも大切です。
怪我をしている
遊びの時間になっても活発に動かずじっとしているなど、いつもの元気を感じられない場合は、高いところから落ちたことによる骨折や、長く伸びた爪をひっかけたことによる怪我の可能性を疑ってみましょう。
ケージの外に出してあげた際には目を離さないようにし、じゅうたんなどに引っかけないように爪を切ってあげるなど予防をすることや、怪我をした疑いがある場合はすぐに手当てをしてあげてください。
寝てばかりいる
フェレットの1日の平均睡眠時間は18時間程度。
3~4時間ほど寝て、目覚めたらエサを食べたり遊んだりして、また3時間ほど眠るといったようなルーティンで生活している子が多いです。
そのため飼い主の目から見れば「寝てばかりいる」「体調が悪いのではないか」と思うこともありますが、よく眠っていることは健康な証であると言えます。
しかし、お腹を下すなど体調不良の症状が出ている際に睡眠時間が急に長くなった場合や、けいれんなど明らかに普段とは違う様子が見られる場合にはすぐ病院に連れて行ってあげてください。
老化が進んでいる
フェレットも老化によって足腰が弱くなったり食が細くなったりと、身体の機能が衰えていって若いころの活発さは無くなっていきます。
落ち着いた態度を可愛く感じる飼い主様も多いですが、歳を取るにつれてこれまで以上に病気や怪我に注意が必要です。
フェレットと幸せに暮らすためには?
愛らしいフェレットは人間より早いスピードで人生を過ごしていきます。
それは人間よりも早く老いて寿命を迎えることであり、それを可愛そうだと感じる飼い主様も多いですが、過ごした時間の長さではなく、何をしてあげられたかを考えた方がフェレットも喜ぶはずです。
フェレットと幸せに暮らすため、フェレット自身も幸せだと感じてもらうためには何をしてあげればいいのでしょうか。
遊んであげる
人懐っこい性格を持つフェレットは飼い主と遊ぶことが大好きです。
食べられるものがある、安全に眠る場所があるだけではなく、フェレットの心も満たしてあげられるように、できれば毎日遊んであげてください。
健康に気を配る
ペットちゃんは不調を言葉で説明できないため、飼い主が気付いて対処してあげる必要があります。
遊ぶこともご飯を食べられることも、すべては健康あってのものです。大切なフェレットとずっと一緒に居られるように、健康に常に気を配ってあげましょう。
心当たりがない場合であっても、普段とは違う様子を見せている場合は病院で見てもらうようにするのもおすすめです。
思い出を残す
お部屋で遊んだり、お出かけしたりと、フェレットと過ごした毎日は飼い主の心に思い出としてずっと残り続けます。
しかし、ペットちゃんと過ごす毎日は有限であることは決して忘れてはいけません。
プロフォトグラファー向けフォトブックサービスを展開する株式会社アスカネットが行った、哺乳類のペットを飼っている15歳以上の男女400名を対象にするアンケート内で「ペットが生前にしておけばよかったと思うことはありますか?」という質問に対して127人が「もっと多くの写真を撮る」こと、65名が「思い出をカタチに残す」ことだと回答しています。
思い出が心に残るのは事実ですが、思い出を振り返るための品物を残すことも大切であることがわかります。
元気にしているうちにたくさんの思い出を作ることに加えて、写真や動画で可愛い姿を記録しておくことも大切です。
*参考サイト
「ペットに関するアンケート調査」株式会社アスカネット
フェレットを見送る際に大切なこと
悲しいですが、大切なフェレットとも必ずお別れの時が訪れます。
いざという時に慌てないように、何よりお別れの際に後悔を残さないように、今のうちに準備をしておきましょう。
火葬、葬儀の場所を決めておく
これまでたくさんの癒しと思い出を与えてくれたフェレットのために、きちんと供養してあげましょう。
注意点として、フェレットは体が小さいため火葬業者によっては火葬の対象外となる場合があります。
ペット火葬を承っている場所がある場合でも、きちんと火葬してもらえるか、葬儀など希望する作業もあわせて対応してもらえるか事前に確認しておくのがおすすめです。
まだ元気なうちに亡くなった際のことを考えるのは辛く感じるかもしれません。
しかし、最後まできちんと面倒を見てあげることは飼い主の大切な責任です。悔いを残さないように準備しましょう。
自分を責めない
「私と一緒じゃなければもっと長生きしていたはず」「苦しい思いをさせてしまった」とフェレットが亡くなったことに対して責任を感じてしまう方もいらっしゃいます。
大切なフェレットが居なくなって寂しい気持ちも、抱えている後悔も、その子を愛していたからこそ感じられることです。
予防接種や日々のお世話など飼い主としての責任を果たしていて、一緒に過ごした日々が楽しい思い出として残っているのなら、自分を責める必要はありません。
思い出の品を整理したり頼れる人に相談したりと、ゆっくりと心の整理をしていくのがおすすめです。
思い出を整理する
筆者は飼っていた犬が亡くなった後、アルバム数冊分の思い出の写真をデジタルフォトフレームに入れて飾っています。
もう記憶の中にしか存在しないはずのあの子の姿を部屋の中でいつでも見られるようになったことはもちろん、どの写真を取り込むか、家族でアルバムの写真を選んだこともいい思い出になりました。
フェレットが亡くなったことが辛い場合は思い出の写真を整理したり、空っぽになったケージが寂しく感じるなら、気持ちの整理がついたころに片付けてしまうなど、思い出を整理することは気持ちに区切りをつけるきっかけになります。
まとめ
フェレットの平均寿命は5~8年と犬や猫などのペットと比べると短めです。
毎日たくさんの思い出を作り、フェレットが少しでも幸せな気持ちで生活できるようにしてあげましょう。
ジステンパーやフィラリアなどの感染症に加えて、インスリノーマなど老化に伴ってかかりやすくなる病気に気を付けて、少しでも健康に暮らせるように配慮するのはもちろん、いつの日かお別れする時が来た際には、後悔なく見送ってあげられるように事前に火葬・葬儀を依頼する場所を調べておくのがおすすめです。