日本で縁日や浴衣の柄などで古くから親しまれている金魚は、観賞魚としても人気で多くの家庭でペットとして愛されています。
昔は金魚などの小動物が亡くなったら土に埋めていましたが、最近は庭の無いお家も増えています。その場合、金魚が亡くなったらご遺体はどのように扱えばいいのか悩まれるかと思います。
当記事では、大切な金魚が亡くなったらやるべきことや供養の方法をご紹介します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
金魚の供養3つの方法
もし愛すべき金魚が亡くなったら、どのように供養をするか決めていますか?まだ決まっていなかったり、亡くなったらその時に考えるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。この章で金魚の供養方法を3つご紹介しますので参考にしてください。
土葬
当記事の冒頭でも少し触れましたが、古くから金魚やハムスターなど小さい生き物が亡くなったら、そのご遺体は庭に埋めて土葬をするのが普通でした。土に埋めることで自然に還してあげるという考えに基づいた方法です。
しかし、土葬にはいくつか注意点があります。まず、埋める場所は私有地でないといけません。もし公園やマンションの植木など私有地でない場所に埋めると不法投棄とみなされ、ペナルティを受けたりトラブルの元になります。また、死因が病死だった場合は病原菌を広める原因になってしまったり、土に還るまでの間は腐敗臭や虫害、野生動物に掘り返される恐れがあるなど気を付けなければならないことが多くあります。なので土葬後のケアもしっかりと行ってください。
もし庭が無くても土葬をして供養してあげたいなら、プランター葬がおすすめです。なるべく深さがあるプランターを用意し、プランターの深い部分にご遺体を寝かせます。完全に土に還るまで数年かかりますので耐久性の高いプランターだと尚良いでしょう。プランターに金魚を思い出せるような赤やオレンジのお花を植えるのもおすすめです。
可燃ごみ
可燃ごみに出すのもご遺体の処理方法のひとつです。ご遺体は焼却炉で高温で焼却されるため、病原菌や臭いが広がることもなく安全に処理できます。しかし可愛がっていた金魚をごみに出すことに精神的な抵抗を覚えたり、供養という考えとはほど遠いという注意点があります。
もしご遺体を可燃ごみに出す場合は、ご遺体を白い布やキッチンペーパーで優しく包み、他のゴミで汚れてしまわないようにビニール袋に入れて袋の口をしっかりと縛ります。そして「今までありがとう」「お疲れ様」と可愛い姿を見せてくれた金魚に感謝や労いの言葉をかけてあげます。可燃ごみの日まで数日かかる場合はご遺体を安置し、収集車が来る直前に出すことでカラスなどに荒らされず安全に出すことができます。
火葬
土葬のできる家が少なくなったり、衛生面のトラブルなど様々な理由から近年は火葬をしてペットちゃんを供養をすることが一般的になりつつあります。ペット火葬と呼ばれ人と同じように高い火力でご遺体を焼き供養をします。火葬は基本的に自治体や民間業者が対応してくれますので、一度お近くの地域を調べてみましょう。
また、最近の火葬炉は性能が上がっているため、金魚のような小さな生き物でも綺麗に遺骨を残せる業者が増えています。もし大切な金魚が亡くなったら、ペット火葬に申し込んで丁寧に送り出してあげるのもおすすめです。
※金魚の状態や火葬業者によってお骨が残せないこともありますので、事前に問い合わせて確認しましょう。
やってはいけない供養の仕方
金魚が亡くなったら川に流してあげよう、とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、それはやってはいけない供養の仕方の一つです。金魚にはやってはいけない供養というものがありますので、トラブルを防ぐためにも確認しておきましょう。
池や川に放流する
金魚が亡くなったら金魚に適した環境に戻してあげたいという気持ちから、池や川などの水辺にご遺体を流そうと考える方も少なからずいらっしゃいます。金魚を思う優しい行いのようですがこれは立派なNG行為です。なぜなら、その金魚がなんらかの菌や病気を持っていた場合、他の生き物に感染して生態系に悪影響を及ぼす危険性があるからです。また、ペットのご遺体を私有地以外の場所で手放すことは不法投棄にあたりますので、どれだけ金魚のことを思っていたとしても池や川にご遺体を放流しないでください。
トイレに流す
金魚が死んだらトイレに流すという考え方もありますが、体の小さな金魚であっても排水管が詰まってしまう危険があるのでやめておきましょう。また、金魚がウイルスや菌を持っていた場合、下水道に菌が広がってしまうリスクもあります。
自分で火葬をする
1章でご紹介したようにペットの火葬は一般的になっています。そのため、金魚が亡くなったら飼い主様ご自身で火葬してあげたい、と考える方もいらっしゃいます。しかし、全てのペットちゃんに言えることですがペットのご遺体は法律的に見ると廃棄物という扱いになります。そして、その廃棄物を個人で燃やすことは廃棄物処理法に違反します。また、家庭で出せる火力ではご遺体は中途半端な燃え方をしてしまい、無残な姿に変わり果ててしまう可能性があります。他にも火災や臭いなどトラブルの元はたくさんありますので、火葬をお考えの場合は業者や自治体の火葬を利用しましょう。
生き返る可能性も?生死の確認を
金魚が水槽の中でじっと動かなくなったりすると、もしかして亡くなったのかなと判断するかと思います。特に寒い冬は変温動物である金魚の活動が少なくなるため、まるで亡くなったかのように動かなくなることがあります。さらに、金魚は水温が5℃を下回ると冬眠状態に入るため、生きているかどうかの判断がより難しくなります。
ですので、金魚がじっとしているだけで亡くなったと判断せず生死確認をしましょう。また、金魚が亡くなったら水面に浮かぶ姿を想像しますが、亡くなった直後は水面に浮かびません。そのため、じっとしているけど水面に浮かばないから生きている、と判断したら死んでいたというケースもあります。いずれにせよ動きがない場合は生死を確認した方が良いでしょう。
金魚の生死確認方法
・ヒレやエラを見る
・割りばしなどでそっと触れる
金魚は活動が鈍っていても生きていれば呼吸をしていますので、まずはエラが動いてるかをチェックします。ただし冬眠状態の場合は呼吸がゆっくりになっており、エラの動きが少なく判断が難しくなります。ヒレも生きていれば動きを見せますので生死の指標になります。ヒレやエラを見てもわかりづらい場合は割りばしなどで優しく触れて体に反応があるかを見ましょう。
金魚の安置方法
金魚が亡くなったら火葬を申し込んだり可燃ごみに出すという方も少なくないでしょう。火葬日や可燃ごみの日まで時間が空いている場合は、ご遺体の腐敗が進んでしまう前に安置をしてあげましょう。
用意する物
・金魚が横になれる大きさの入れ物(プラスチックなど水に強い素材)
・キッチンペーパーやハンカチ
・保冷剤
安置方法
①金魚が亡くなったら水槽から速やかに取り出し、ご遺体を水で優しく洗い、体を清めます。
②ご遺体が乾燥しないように濡らしたキッチンペーパーやハンカチで包み、そのまま用意した入れ物に金魚を寝かせます。
③ご遺体を囲むように保冷剤を置き、当日まで涼しい場所で保管します。クーラーの効いた日の当たらない部屋や冷蔵庫がおすすめです。
このように丁寧に安置をすることで、1~2日は綺麗な姿を保つことができます。
自治体と民間業者どちらで火葬する?
ペット火葬は先述した通り、主に自治体や業者が対応してくれます。それぞれの特徴をご紹介します。
自治体
比較的安価に火葬をしてもらえますが、自治体によっては家庭ごみとまとめて焼却されたり、返骨に対応していないことから供養という側面はほとんどありません。ただし安全に火葬してもらえますので、できるだけ安く火葬という形をとりたい方におすすめです。
民間業者
業者によってサービスは大きく異なりますが、ほとんどの業者が返骨や個別火葬に対応しています。手厚くお見送りができるため、自治体の火葬と比べて値段が高くなります。また、悪徳業者も潜んでいるため妙な業者に申し込まないように気を付けましょう。夜や土日も営業している場合も多く忙しい飼い主様におすすめです。
まとめ
金魚を迎え入れる際に“金魚が亡くなったらこういう風に供養しよう”と死後のことまで考える方は少ないかもしれませんが、大事に育ててきた金魚とのお別れはかけがえのないものです。
たかが金魚と思わずに供養の仕方はよく考えて決めて、後悔無く送り出してあげましょう。ここまでご覧くださりありがとうございました。