愛らしく泳ぐ姿や丈夫で飼いやすいことから、メダカは観賞魚としてとても親しまれてきました。しかし、メダカを迎え入れる際にメダカの平均寿命や飼い方はあまり意識したことがない、という方ももしかしたらいらっしゃるのではないでしょうか。
当記事では、そんなメダカの寿命や、飼育のポイントについてご紹介します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
メダカの寿命
まず、メダカの寿命についてご紹介します。一般的に飼われている日本メダカやそれに近い種類は、飼育下であれば2~3年は元気に生きられると言われています。メダカにはクロメダカやヒメダカなど様々な種類がありますが、種類によって寿命が大幅に変わることはありません。
ただし、アルビノ種やダルマメダカ、出目など身体的特徴のある品種は飼育が難しいことから、寿命は短くなる傾向にあると言えます。しかしどの種類のメダカも適切な環境で飼育することが長生きのポイントです。冒頭では飼いやすいとご紹介しましたが、あくまでも基本的な飼い方を知っていることが前提となります。ちなみに最大で5年生きたメダカもいるそうです。
健やかに飼うポイント
次に、メダカを飼う前に考えたいことや、基本的な飼い方のポイントについてご紹介します。メダカを飼う上で一番大切なのは住環境を整えることですので、住環境を中心に飼育のポイントを抑えていきます。そうすることでメダカの寿命をできる限り長くしながら飼うことができます。
最初にメダカの住環境を考える
メダカを飼育する容器は、よくあるシンプルな四角い水槽からインテリア性の高いものまで様々あります。また、大きさや素材、屋内飼育向け、屋外飼育向けとバリエーション豊かで非常に悩んでしまうものです。
初心者の方にはある程度の広さのある(水量が少なすぎない)四角いノーマルな水槽をおすすめします。水の量が多いほど水質の変化が穏やかになるため、メダカへのストレスが少なくなります。それに加えて、ポンプや照明も購入していきます。
また、メダカを何匹飼うかを最初に決めておきましょう。メダカの飼育には、メダカ1匹につき1リットルの水が必要という目安があります。これを守らずに小さな容器で大量のメダカを飼うと水が汚れやすくなり、その結果メダカが弱ってしまうのです。
水槽内に敷く砂利や隠れ家になる水草もしっかりと選びます。砂利や水草はメダカの繁殖にも関わることですので、もし繁殖を考えているなら店員さんや専門家の方に相談しながら決めるのも良いでしょう。必要な道具一式がまとまった初心者向けのセット売り水槽もありますので、それを活用するのもおすすめです。
飼育水はカルキ抜きをする
日本の水道水には消毒のためにカルキ(塩素を含む成分)が含まれています。カルキは人間には無害ですが、お魚にとってはダメージとなる成分なのでメダカを弱らせてしまいます。ですので、メダカの泳ぐ飼育水に水道水をそのまま使うことはやめておきましょう。
水道水をメダカが快適に泳げるようにするには、カルキ抜きを行います。確実にカルキを抜くためには市販されている薬品を使うのがおすすめです。水換えの際もカルキ抜きは必ず行ってくださいね。
水槽にメダカを入れる時は水合わせをする
メダカは急激な温度変化や水質変化に弱いので、買ってきてすぐに水槽に移すのではなく、水質を馴染ませる水合わせを行いましょう。
・水合わせの方法
①購入した袋にメダカを入れたまま、水槽に20~30分程浮かべて温度を馴染ませる。
②袋の中の水を1/3程度捨て、水槽から同じ量の水を取って袋へ移し、10~15分程馴染ませる。
③②を何度か繰り返して徐々に水温と水質を馴染ませていきます。終わったら水槽にメダカを移してあげましょう。
日々のお世話を欠かさない
メダカと過ごす上で一番大切なのは日々のお世話です。水槽の汚れ具合を見て水槽を洗ったり、ろ過フィルターの交換、水換えをして清潔な環境を保ちましょう。ただしあまり頻繁に水換えを行うとメダカのストレスになりますので、寿命を縮めないためにも月に1~2回程度にしましょう。
また、餌をあげすぎると食べ残しが発生し水が汚くなりますので、食いつきを見ながら餌の量を調整してあげてください。このように日々のお世話をすることで水槽の清潔は保たれ、5章でご紹介するような病気の早期発見にも繋がります。
このように住環境を整えることはメダカのストレスを抑えることに繋がりますので、結果的に寿命を長くすることができます。
屋内飼育と屋外飼育
2章で少し触れましたが、メダカは適応力の高さから、屋内飼育と屋外飼育どちらにも対応できます。飼い方によって必要な道具も変わってきますので、どちらのスタイルで飼育するかも考えておきましょう。
屋内飼育
屋内で飼育することで、外敵や真夏・真冬の極端な気温からメダカを守ることができます。常に観察できる状態なので、初心者の方でもメダカの健康管理がしやすく、メダカの寿命を守りながら飼育をすることができます。そのため、屋内飼育は屋外飼育よりも寿命が長い傾向にあります。ただし屋内飼育の場合日照時間が少なくなりますので、LEDライトを使ってメダカの日照時間を管理して体調を崩さないようにしてあげましょう。
屋外飼育
ポンプやろ過フィルターが不要でほとんど人の手がかからず、自然環境に近いメダカを楽しむことができるのが屋外飼育の魅力です。水が汚れてもバクテリアやお掃除をしてくれるヌマエビなどの生き物が掃除をしてくれるため、綺麗な状態を維持できます。このような形はビオトープとも呼ばれます。
屋外飼育で使う容器は飼育鉢、トロ舟、発泡スチロール製のものがありますが、酸素の溶け込みやすい開口部の広いタイプで、且つ厚みがあり中の水が気温変化の影響を受けにくいものがおすすめです。
メダカの寿命を縮めないために
この章ではメダカを飼う際に気を付けたいことをご紹介します。
急な温度・水質変化に弱い
急激に水温が変化するとメダカは弱ってしまい、1週間も経たずに亡くなってしまうことがあります。また、温度だけでなく水質の変化にも弱いため、水換えなどは慎重に行いましょう。急な飼育水の変化はメダカの突然死の主な原因でもあり、寿命を短くします。
一緒に飼えない生き物もいる
メダカの水槽に一緒に入れてはいけない生き物がいます。特にカメやザリガニなどは肉食ですのでメダカを襲って食べてしまい、同じ淡水魚の金魚も大きく育つとメダカの餌を横取りしてしまうため良い影響はありません。元々メダカは臆病な性格なので、自分より大きな魚がいるだけでストレスになり寿命が縮んでしまいます。そのため、メダカの水槽に他の種類の生き物を入れて混泳させることはあまりおすすめできません。
天敵に注意
野外飼育の場合はトンボの幼虫であるヤゴや野良猫、カラスになどの野生生物にメダカが襲われることがあるのでネット等を張って対策しておきましょう。また、メダカが駆除してくれるイメージのボウフラも、赤ちゃんや育ち切っていないメダカ相手だと逆に食べられてしまうことがあります。
様子がおかしいと思ったら
メダカを観察しているとなんだか泳ぎ方がおかしかったり、体の表面に見覚えのない模様が浮かんでいることがあります。その場合、もしかしたら何らかの病気にかかっているかもしれません。しかし、病気にかかっていることが判明しても薬で治療できる場合もありますので、慌てずに専門家やペットショップに相談して冷静に対処しましょう。
白点病
体に白い点々が浮かんでくる病気です。他のメダカに移りますので、早期発見が肝になります。専用の薬や塩で治療してあげましょう。
水かび病
体の傷から白い綿のようなものが出てきます。専用の薬や塩で治療ができます。
ポップアイ
目が飛び出る病気で、片目だけ飛び出ることが多いです。残念ながら治療は難しいと言われています。
転覆病
その名の通りメダカが転覆してしまう病気です。腹部にガスが過剰に溜まってしまうことが原因です。軽い症状なら治療ができますが、ほとんどの場合亡くなってしまいます。
まとめ
今回はメダカの平均寿命や、基本的な飼い方をご紹介してきました。飼い主様を癒してくれるメダカが、一日でも長く元気で過ごせることを願っています。ここまでご覧くださりありがとうございました。