メダカが亡くなった場合、遺体を埋葬してあげる方も多いのではないでしょうか。
中には近所の川や用水路などに遺体を放流する方もいますが、この方法は自然に悪影響を与え、法律違反で飼い主様が罰せられる可能性もあるなど、リスクが高い方法です。
何より、大切なメダカだからこそ正しい方法で供養してあげたいもの。
今回はメダカを供養する際に注意すべき点と、正しい供養方法について紹介します。
メダカを悔いなく、正しく見送りたい方の参考になれば幸いです。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
してはいけない供養方法
基本的にどんな供養方法を選ぶかは飼い主様の自由ですが、メダカのことをどれだけ思っていてもしてはいけないNG行為があることはご存知でしょうか。
この章ではメダカが亡くなった際に、してはいけないことをご紹介します。
池や川に放流する
メダカが亡くなった後は自然に戻してあげるために、池や川にご遺体を放流する方も多いです。
飼い主様はメダカを思って行ったことかもしれませんが、これは立派なNG行為です。
メダカがなんらかの菌や病気を持っていた場合、他の生き物に感染し悪影響を及ぼす危険があります。
【無断で遺体を放置すると罰せられることも】
ペットちゃんのご遺体を私有地以外の場所で手放すことは不法投棄にあたります。
そのため、どれだけメダカのことを思っていたとしてもペナルティの対象となります。
また、同じ理由で公園はもちろん、私有地以外の山や森に埋めることも不法投棄として罰せられます。
メダカの遺体をトイレに流す
メダカの遺体をトイレに流すのはおすすめできません。
不法投棄と違ってペナルティを受ける可能性は低いですが、思わぬ事故に見舞われることがあります。
【メダカをトイレに流すと何が起こる?】
東かがわ市は公式サイトで「下水道に流してはいけないもの」を発表しています。
その中には水に溶けないものを「詰まりの原因」薬品を「処理場の微生物に影響を及ぼす」という理由で下水道に流さないように注意喚起しています。
メダカ1匹の遺体が配管に詰まることはイメージしにくいかもしれませんが、メダカが病原菌を持っていた場合は、処理場に悪影響が及ぶ可能性もあると考えられます。
可能性は低くても悪影響が及ぶ危険性がある以上は、避けた方が無難と言えますし、大切なペットちゃんをトイレに流すのは可愛そうではないでしょうか。
※参考サイト
自分で火葬をする
メダカは小さい生き物ですので、メダカが亡くなったら飼い主様ご自身の手で火葬してあげたい、と考える方も多いはず。
しかし、全てのペットちゃんに言えることですが、ペットちゃんの遺体は法律的に見ると廃棄物として扱われます。
そして、その廃棄物をご自身で燃やすことは廃棄物処理法に違反してしまいます。
また、家庭で出せる火力では、ご遺体はきれいに燃えない場合も考えられます。
大切なペットちゃんの遺体をただ傷めてしまうだけの結果に終わることがある他にも、火災や臭いなどトラブルに見舞われる可能性があります。
そのため、火葬は火葬業者や自治体に依頼しましょう。
メダカが亡くなった後の正しい供養方法
メダカを供養する際は法律を順守し、自然や周囲の人に悪影響を与えない方法を選ぶ必要があります。
私有地への埋葬・プランター葬
メダカの遺体を私有地に埋葬することは、法律上問題ありません。
手頃なお見送り方法ですが、周囲とのトラブルには注意が必要です。
筆者も小さい頃、飼育していたメダカが亡くなると庭の花壇に埋めていたことがあります。
しかし、数日ほどすると野良猫が掘り起こしたのか、花壇が荒れていることがありました。
このように、遺体の臭いを嗅ぎつけた野生動物や害虫が集まってくる可能性があり、被害が拡散することで近隣の方々とトラブルになる恐れがあります。
埋葬する場合は「深めに穴を掘る」「穴に消臭効果のある石灰を撒く」などの対策が必要です。
【心配な場合はプランター葬も検討】
周囲とのトラブルが心配な場合はプランターに埋葬するプランター葬がおすすめです。
プランターは室内に置く事もできるうえ、体の小さいメダカなら数年ほどで土に還ります。
手軽に埋葬ができるためおすすめの方法です。
燃えるゴミに出す
大切なペットでもあるメダカをゴミに出すことに抵抗を感じる方も多いかもしれませんが、周囲に迷惑が掛からない方法として、有益な選択肢の一つです。
【心が痛む場合はきちんとお見送りを】
大切なメダカをゴミに出す際には、しっかりとお見送りしてあげましょう。
具体的にはしっかりと遺体を安置して、感謝の言葉を伝えてあげることです。
また、遺体を見えないように包むことはカラス避けや他の人に配慮する意味もあります。
大切なペットちゃんのため、マナーとルールを守って見送ってあげましょう。
専門業者に火葬を依頼する
専門業者に火葬を依頼するのもおすすめです。
最近は小さな魚でも火葬してくれる業者も増えており、業者によってはお骨を残すこともできます。
【火葬のメリット】
遺体を火葬してお骨にすることで、供養方法の選択肢が広がることがメリットです。
骨壺に納めて手元供養や、匂いを抑えられるお骨にしてから庭に埋葬するなど、安全に配慮してご要望に応じた供養方法を選べるようになります。
ただし、メダカの状態や業者が使用している火葬炉によってはお骨が残らないこともあります。
お骨を残したい場合は、事前に問い合わせてから依頼するようにしましょう。
メダカが亡くなったら、遺体は丁寧に安置
メダカが亡くなっているのを確認した場合は、すぐに水槽から取り出して安置してあげましょう。
そのままにしておくと遺体が傷んでしまい、水質の悪化や他のメダカに被害が拡散します。
メダカの安置方法
メダカを安置する際は以下のものを用意してください。
【メダカの安置方法】
①体をきれいにしてあげる
遺体を水槽から取り出し、水で優しく洗って体を清めます。
②遺体が乾燥しないようにする
魚の遺体は乾燥すると干からびて傷んでしまいます。
遺体がきれいになったら、湿らせたキッチンペーパーやティッシュで遺体を包んで乾燥を防ぎます。
③遺体を棺に納めます
棺となる容器に遺体を納め、遺体を囲むように保冷剤を置きます。
棺は直射日光を避けて涼しい場所に保管すれば、1~2日ほどは遺体をきれいな状態で保管できます。
他のメダカを守るための対策
メダカは群れで暮らす魚です。
そのため、メダカの飼育は複数匹でする方も多いはず。
水槽内でメダカが亡くなった場合は、他のメダカに影響が出ていないか調べるようにしましょう。
病気が流行っていないか確認する
メダカは丈夫な生き物ですが、病気にかかって亡くなることもあります。
遺体を洗ってきれいにする際に、以下のような特徴が出ていないか確認してください。
症状 | 考えられる病気 | 危険性 |
ヒレがボロボロに崩れている | 尾ぐされ病 | 細菌が原因のため、他のメダカも感染している可能性がある |
粒のような点が体に付いている | 白点病・赤斑病 | こちらも寄生虫が原因のため、他のメダカも感染の可能性がある |
白い毛玉や綿のようなものが付いている | 水カビ病 | 尾ぐされ病などの患部から二次感染することがある |
もし上記のような症状が出ていた場合は、他のメダカに被害が及ばないよう、水槽のメンテナンスや治療をしてあげましょう。
水槽の環境確認
残ったメダカの様子を観察して、快適な環境で過ごせているか確認しましょう。
メダカの行動 | 考えられる不調 |
水面近くで口をパクパクさせている | 水槽内に酸素が足りていない |
激しく泳いでいる | ・水質・水温に異常が出ている可能性がある ・ストレスを抱えている |
泳ぎ方が変 | 病気にかかっている可能性がある |
メダカの様子がおかしい場合は水槽内の環境に異常が出ていると考えられます。
酸素が足りない場合はエアポンプの導入や、ストレスがかからない場所への移動などのケアをしてあげましょう。
すだれなど日陰ができる設備の設置、水草で隠れる場所を作ってあげるのもおすすめです。
まとめ
メダカの遺体は廃棄物のため、川や池などに遺体を放流すると不法投棄で罰せられることがあります。
また、飼育中に感染した病気を自然にばらまくことにもつながります。
メダカを供養する際は「私有地での埋葬・プランター葬」「燃えるゴミに出す」「専門業者に火葬を依頼する」など、自然に遺体を出さない方法を選ぶようにしましょう。