犬・猫など大切なペットちゃんが亡くなった際は「休みを取りたい」と思う方も多いです。
また、悲しみで体が動かず、会社を休みたいと考える方もいます。
しかし、ペットを理由に仕事を休むと、周囲がどう思うか気になる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、ペットちゃんのために仕事を休むこと自体は問題ありません。
ただし「忌引きは適応されないので有給休暇を取得する必要がある」「ペットちゃんのために休むことを良く思わない人もいる」ことを覚えておく必要があります。
このページではペットちゃんのために仕事を休む際の角を立てない伝え方を紹介します。
休みを取ってペットちゃんをきちんとお見送りしたい方は、このページを参考にしてください。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ペットが亡くなり仕事を休むとどうなる?
結論から言うと、ペットちゃんが亡くなって仕事を休むことに問題はありません。
ペットが理由で休む場合は忌引きは使える?
基本的に、ペットが亡くなった際に忌引きは適応されません。
一部企業ではペットちゃんにも忌引きを適応しているところもありますが、この制度を導入している企業はまだまだ少ないようです。
そのため、ペットちゃんの葬儀で会社を休む場合は「有給休暇取得」か「欠勤」をする必要があります。
この際に注意すべきことは、必ず正式な手続きをしてから休むことです。
大切なペットちゃんを亡くした際は気力を失い、何もできなくなることも多いはず。
しかし、会社に迷惑を掛けないため、何より自分のために欠席の際はきちんと連絡しましょう。
無断欠勤はNG!会社へのフォローも忘れずに
会社への休みの連絡など必要なことは欠かさず行うようにしましょう。
悲しいお別れに寂しさと無気力感に襲われている場合でも、無断欠勤は絶対にNGです。
「わかってもらえないから…」「後で事情を話す」と自己判断すると、後々困ることになります。
ご自身が受け持っている緊急の案件やアポイントなどがある場合は引き継ぎも必要です。
自分が休んだ分は必ず会社の誰かがフォローすることになるため、後からトラブルになることも考えられます。
上司や同僚がスムーズに作業を進められるよう、必ず仕事内容の引き継ぎを行いましょう。
ペットのために休むとどう思われる?賛成派・反対派の意見を紹介
ネットの質問サイトでは「ペットのために会社を休む」ことに関する質問が多く投稿されています。
ペットの忌引き制度を導入している企業が少ないことからもわかるように、ペットちゃんのための休みの取得については、人それぞれ意見が別れているようです。
この章では、賛成派と反対派両方の意見を紹介します。
賛成派の意見
ペットを飼ったことがある方は「ペットは家族」という考えを理解してくれる場合も多いです。
急な休みを取ると、その日1日は他の社員がフォローに徹する必要があります。
それでも理解を示してくれるのはペットちゃんが大切な家族だと知っているからこそです。
反対派の意見
中にはペットちゃんのために休むことを快く思わない方もいることを知っておきましょう。
そう考える人はどうして難色を示しているのでしょうか。
どの考え方が正しいというわけではありませんが、人によって考え方は様々です。
ペットちゃんのためのお休みは後ろめたいこと?
WEBメディア「INUNAVI(いぬなび)」を運営する株式会社PLAN-Bは「犬の飼い主さんの働き方や環境」に関するアンケートを実施。
回答では「(犬が原因で)仕事を休む理由について」という質問に対して「言いにくいから嘘をつく」と回答したのが全体の45.8%とおよそ半数を占めていました。
この結果から「大切に思っている存在を軽んじられたくない」「理解されないかもしれない」という不安を抱えている飼い主様は多いことが読み取れます。
※参考サイト
「犬の飼い主さんの働き方や環境」 INUNAVI(いぬなび)
会社を休む場合は何日?ペットちゃんのお見送りにかかる日数は?
ペットちゃんの葬儀の日程は2~3日程度が目安です。
そのため、お休みを取る場合は2日取るのがおすすめです。
例として、アイペット損害保険株式会社ではペットと同居している従業員を対象に「ペットが亡くなった際、1頭につき3日間の休暇を取得できる」という制度を取り入れています。
この3日を例に火葬を行うまでの予定を考えると、以下のような工程になります。
日数 | してあげたいこと |
1日目 | ・安置したペットちゃんと一緒に過ごす ・火葬場所の調査・手配 |
2日目 | ・火葬・葬儀 ・お骨の受け取り |
3日目 | ・火葬の予備日 ・供養の準備 |
2~3日あれば日程と時間に余裕を持ってペットちゃんをお見送りできるでしょう。
2日も休みを取る必要はある?
訪問火葬サービスを活用すれば当日中に火葬から返骨まで対応してもらうこともできるため、1日で葬儀を終えることもできます。
しかし、ペットちゃんを亡くしてすぐに冷静な判断を下すのは難しいもの。
その時点では急いで葬儀を済ませることが最善と思っていても、後ほど悔いが残ることもあります。
お別れに悔いを残さないために、ゆっくりと最後の時間を過ごしてからお見送りすることが大切です。
※参考サイト
ペットに関する新たな休暇制度を導入~経営理念の実現とペット飼育者の従業員にとって働きがいのある環境づくりを目指して~
ペットが亡くなって仕事を休むときの理由と伝え方
ペットちゃんのお見送りに対して様々な考えがあることを知っていただけたと思います。
そのうえで、周囲の目線が気になってお休みをためらってしまう飼い主様も多いようです。
この章では様々な考えがあることを理解したうえで、どのように仕事を休むのかを考えていきます。
正直に理由を言って休む
「嘘をついて休みたくない」と思う方は、正直な理由を話して休みましょう。
普段からコミュニケーションを取っており、ペットちゃんに理解を示してくれる上司が居れば相談してみるのがおすすめです。
その際はきちんと理由を説明し、仕事に復帰する日程をきちんと知らせるなど、上司や同僚に迷惑を掛けないように配慮が必要です。
また、この場合は業務状況や日程にも注意しましょう。
仕事が忙しいにも関わらず正直に理由を伝えたことで、相手に不信感を与えることもあるためです。
ペットちゃんとのお別れは大切な儀式です。
心置きなく行えるように、周囲の人と衝突しないように配慮することが大切です。
理由は伏せて休む
場合によっては休む理由を伏せた方が良い場合もあります。
ペットちゃんのために仕事を休むことを良く思わない方もいます。
そのため、休む理由を正直に話したことで周囲と衝突することも考えられます。
理由を伏せることは、認識の違いによる心無い言葉をかけられるリスクを避ける狙いもあるのです。
ただし、どんな理由でも急にお休みすることは周りの人に迷惑が掛かります。
復帰した際の気遣いとアフターフォローを忘れないようにしましょう。
仕事が手につかない場合は休職も視野に
大切なペットちゃんを亡くしたことで「ペットロス」という状態に陥ってしまうことがあります。
ペットロスは気持ちの落ち込みや寂しさのような心理的な影響だけではなく、拒食や不眠など身体にも影響が出ることもあります。
ペットロスはうつ病につながる可能性があるため、どうしても辛い場合は休職するなど長期的なお休みも視野に入れるのがおすすめです。
休職の制度は会社や雇用形態によって異なるため、就業規則を確認し担当者に相談しましょう。
ただし、休職の制度があっても、ペットロスが原因での休職は認められないケースも考えられます。
そのため、休みを取る場合は有給休暇を使うのも手です。
長期間お休みする際は有給休暇を取るのも手
会社の制度や考え方にもよりますが、一般的にはペットちゃんが亡くなった場合には忌引きは適応されません。
また、ペットロスが原因の休職は認められないケースも多いです。
そのため、ペットちゃんのために会社を休む場合は有給休暇を取得するのもおすすめです。
有給休暇は労働者が自由に休むことができる権利のため、理由を伝えずに休みを取ることができます。
理由を伏せることに抵抗がある、周囲の目線が気になるという場合におすすめの方法です。
ただし、有給を取得する際は会社のルールや申請の時期を確認し、トラブルを防ぐことが大切です。
仕事に復帰する際の対応
ペットちゃんが亡くなったことを正直に伝えた場合、休むことができても仕事に復帰するときが一番不安という方も多いと思います。
そこで今回は、仕事復帰する際の対応で気をつけることについてご紹介します。
フォローしてくれた上司や同僚へ感謝を伝える
仕事を急に休めば上司や同僚に迷惑が掛かります。
仕事に復帰した際は対応してくれた方にしっかりと感謝を伝えましょう。
また、お休みしたことで心配を掛けている場合もあります。
必要な場合は無事葬儀が終わったことを報告するといいでしょう。
どうしても辛い時や、葬儀のためにお休みすることは悪い事ではありません。
休んだ後にきちんとフォローさえすれば、周囲の人も悪く思わないはずです。
無理をしすぎない
ペットちゃんが亡くなってから火葬・葬儀までは慌ただしく過ぎていきます。
そのため、やることが落ち着いて仕事に復帰するころが一番悲しみを感じやすい時期です。
また、見送ってすぐに気持ちが切り替えられない場合もあります。
気持ちが沈んだままでは判断力が鈍って仕事にならないことも考えられますし、周囲にも心配を掛けてしまうので、その場合は我慢せずに有給・半休を申請して休むことも検討しましょう。
しかし、家に帰って一人悲しい気持ちと向き合うよりも、仕事に没頭している方が悲しさが紛れるという考え方もあります。
まずはご自身の心と向き合い、どう対処するのがいいか考えてみるのはいかがでしょうか。
どうしても休めないとき
職業や時期によっては、どうしても急に仕事を休めないという方も多いと思います。そのような場合でも、大切なペットちゃんをきちんと見送ってあげたいものですよね。
そこでこの章では、どうしても仕事をお休みできない方のためのお見送り方法をご紹介します。
火葬日を遅らせる
仕事をお休みできない場合は、ご遺体を安置して都合の良い日まで待つ方法もあります。
ゆっくりと休みが取れる日にお別れをすることで、落ち着いた気持ちで送り出すことができるのではないでしょうか。
ご遺体を保冷剤などで冷やし、涼しい部屋へ安置させてあげましょう。
ペットちゃんの大きさにもよりますが、夏場なら1~2日、冬場なら2~3日ほど安置させることができます。
また、体が小さく、腐敗しやすい種類のペットちゃんの遺体を安置する際は、遺体を冷凍保存するという手もあります。
方法や注意点は下記ブログで紹介していますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
24時間対応の火葬業者
どうしても休みが取れないという場合は、24時間対応してくれるペット火葬業者を利用するのもいいでしょう。
筆者が実家で飼っていた犬は夜中に亡くなったため、急遽24時間受付の訪問火葬業者に火葬を依頼し、朝一番で火葬してもらったことがありました。
筆者を含む家族全員が1日外せない用事があったことに加えて、あまりに突然のことだったため、遺体を安置するための準備が一切整っていなかったという事情があったためです。
このように、急ぎで火葬してあげたい事情がある場合はもちろん「1日一緒に過ごした後の夕方から火葬してもらいたい」のような見送り方法に関して要望がある場合でも対応してもらえます。
ご自宅の周辺に24時間体制で火葬を受け付けてくれる業者がないか調べておくと良いでしょう。
家族に見送ってもらう
どうしても仕事でお休みが取れない場合は、ご家族に代わりに見送ってもらうという方もいらっしゃいます。
立ち会うことができなくても、大事なのは送り出す気持ちです。
火葬業者によっては手紙を一緒に火葬してくれる場合もあるため、ペットちゃんへの感謝の気持ちを手紙に書くなどして送り出してあげるのもいいでしょう。
また、ペットちゃんの葬儀は人間の場合と違って写真撮影をしてもマナー違反ではありません。
家族に頼んで、大切なペットちゃんの最期の姿を撮ってもらうのもおすすめです。
ペットちゃんを見送れなかったことが心残りな場合は納得できる方法で供養するのがおすすめです。
手元供養をするなど、ペットちゃんを身近に感じられる方法を選びましょう。
まとめ
大切な家族であるペットちゃんが亡くなった際は、できるだけゆっくりと偲んであげたいと思うのは飼い主様として当然であり、「ペットは家族」という考え方は日本でも一般的な考え方となりつつあります。
しかし、まだまだ理解できないという方が多いため、ペットが亡くなった理由で仕事を休む行為は賛否両論あるのが現実です。
「嘘をつくのはイヤ」「ペットのことを悪く言われる可能性があるのなら、嘘をついた方が楽」など考え方は人それぞれのため、ご自身の気持ちが楽になる方法が正解です。
「有給休暇を取得」「理由は伏せて休む」「家族に見送りを任せる」など、選択肢は無数にあります。
ゆっくり考えて、後悔のないようにペットちゃんを見送りましょう。