ハムスターはそれほど寿命が長い動物ではないため、いずれお別れの時が来てしまいます。どんなに覚悟をしていても、ハムスターが亡くなった際は悲しく何も考えたくないという気持ちになると思います。しかし、ハムスターが安心して飼い主様の元から旅立てるように、しなくてはいけないことがいくつかあります。詳しく解説しますので、落ち着いて大切な家族を見送ってあげましょう。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
本当に亡くなっているか確認
ハムスターは寒くなると、エネルギーを消耗させないために低体温になり「疑似冬眠」をする動物です。亡くなったと思っていても、本当は疑似冬眠しているだけというケースもあります。まずは本当に亡くなっているか確認する必要があります。
確認方法
①息をしているか確認
まずは息をしているか確認してください。疑似冬眠の場合は息をしていますので、胸がかすかに上下に動いているかを見て判断することができます。
②温める
暖房器具などを使って部屋を温めてあげてください。この時直接ヒーターを当てて急激に温めてしまうと心臓に負担がかかります。焦らず、じんわりと温めてあげましょう。
目を覚ました場合
目が覚めて本当によかったです。しかし、疑似冬眠した場合は体に大きな負担がかかってしまうので、獣医師に診てもらうようにしてください。
亡くなっている場合
亡くなっている場合は遺体がどんどん固まり腐敗していきます。とても悲しいですが、綺麗な状態で送り出してあげるために安置してあげる必要があります。
遺体を安置する
ハムスターが亡くなっていることを確認した場合は、遺体を安置させてあげます。この章ではハムスターの遺体を安置する方法をご紹介します。愛するハムスターに愛情を伝えながら、落ち着いて行ってあげましょう。
準備するもの
・ハムスターが入るサイズの箱(棺)
・棺の底に敷くタオルや新聞紙など
・体を拭くタオル
・保冷剤やドライアイス
・保冷剤やドライアイスを包む布
①用意した棺にタオルや新聞紙などを敷く
②遺体から体液などが出ることもあるので優しく拭いてあげる
③箱にタオルで包んだ保冷剤を入れて遺体を冷やす
④涼しい部屋に置いて安置させる
供養する方法
ハムスターを供養する方法はいくつかあります。後悔しない供養をするためには、どのような供養方法があるかを知り自分に合った方法を選ぶことが大切です。この章ではハムスターを供養する方法をご紹介します。
私有地に埋葬
私有地であればそのままハムスターの遺体を埋葬しても法律上は問題ありません。しかし、庭などの私有地に埋葬する場合でも、害虫や異臭など近隣への迷惑になることがありますので気をつけましょう。他の動物が掘り起こすこともあるため、埋葬する場合はできるだけ深く掘るようにしてください。
プランター葬
プランター葬とは植木鉢の土にハムスターの遺体を埋葬する方法です。「自然に還してあげたいけど庭がない」という方に選ばれている供養方法です。この方法も害虫や異臭、他のペットが掘り起こすなどのデメリットがあります。
自治体に依頼
自治体に依頼すれば、ハムスターの遺体を引き取りに来てもらうことが可能です。しかし、地域によって対応は様々。一般的にゴミとして扱われることも多いため、直接どのような対応か確認し、納得した方法であれば依頼するようにしましょう。
火葬業者に依頼
最近はペットも家族という考え方が一般的になってきており、火葬して供養する方も増えています。家族同然のペットだから、人と同じように供養してあげたいという方におすすめの供養方法です。他の供養方法より費用がかかることがデメリットとなります。
遺骨を残す
「ハムスターの遺骨を残して供養してあげたい」という方も多いのではないでしょうか。ハムスターなどの小さな動物でも遺骨を残すことができます。この章ではどのような方法で供養すれば遺骨を残すことができるのか、また遺骨を残すとどのようなメリットがあるのかについてご紹介します。
遺骨を残す方法
遺骨を残す場合はまず依頼する火葬業者に確認が必要です。火葬業者によっては使用している火葬炉やプランによっては遺骨を残すことができない場合があります。「小さな動物でもきちんと遺骨を残すことができる火葬炉を使用しているか」「個別で遺骨を残すことができるプランがあるか」を確認してください。一般的には「合同火葬」と言われる複数のペットを一緒に火葬する方法では個別で遺骨を残すことができず、「個別火葬」と言われる一匹ずつ火葬する方法なら遺骨を残すことができます。
遺骨を残すとできること
遺骨を残すことでペットちゃんを自宅や手元に置いておくことができます。ペットの遺骨はお墓に埋葬しなくてはいけないという決まりはありませんので、様々な方法で遺骨を供養することができます。遺骨の供養方法を紹介しますので、ご自身に合った方法で供養を検討してみてください。
①そのまま自宅に置く
火葬業者から返却された状態のまま、自宅に置いて供養される方も少なくありません。
②ペット専用の仏壇
そのまま遺骨を置くことには抵抗があるという場合は、ペット専用の仏壇や収納ケースに入れて部屋に飾って供養する方もいます。遺骨と分からないお洒落なものもたくさん販売されています。
③手元供養
遺骨をペンダントやキーホルダーに入れて手元に置いておくという方もいます。常に大好きだったハムスターを感じていたいという方におすすめです。遺骨の一部だけ手元供養にするという方もいます。
④庭やプランターに埋葬
遺体をそのまま埋葬することは害虫や異臭など様々なデメリットがあるため、遺骨にしてから埋葬するという方もいます。遺体をそのまま埋葬するよりも土に還る時間が短くなるというメリットもあります。
⑤散骨
遺骨を粉状にして山や海などに散骨してくれるサービスもあります。自然に還してあげたいという方におすすめの方法です。ご自身で散骨する場合は許可が必要ですので、散骨する場所に許可を取るようにしましょう。
⑥お墓に埋葬
ペット専用のお墓を建てる方もいます。また、ペットと一緒に入ることができるお墓も増えてきており、そのようなお墓を探してご自身が亡くなるまで自宅に遺骨を置いておくという方もいます。
ペットロスが重症化しないために
大切な家族であるハムスターが亡くなったら、ペットロスになるという方もたくさんいます。ペットロスになること自体は悪いことではありませんが、重症化すると様々な病気になるリスクもあります。この章ではペットロスが重症化しないためにできることをご紹介します。
感情を素直に出す
ペットロスが重症化する方は、悲しいという感情を我慢してしまうことが多いです。泣きたい時は我慢せず思いっきり泣いて悲しみましょう。
人に話す
家族や友人などに話すことも大切です。どうしても話す相手がいない場合は日記に気持ちを書いたり、同じような経験をしているコミュニティを探してみるのもいいでしょう。
カウンセリングを受ける
ペットロス専用のカウンセリングもあります。プロに話を聞いてもらうことで気持ちが楽になります。
まとめ
どんなに覚悟をしていても、愛するハムスターが亡くなったら慌ててしまいます。しかし、「あの時きちんと供養してあげればよかった」と後悔してしまうことはペットロスが重症化してしまう原因にもなります。落ち着いて一つひとつやるべきことを確認して、送り出してあげてください。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。