
ハムスターが動かなくなったら、まずは死亡確認を行いましょう。
発見と処置が早ければ、蘇生させることができるかもしれません。
しかし、死亡していることがわかった場合は、お見送りの準備を進めましょう。
このページではハムスターの安置からお見送り方法の決め方までの手順と、悔いのないお別れ方法について紹介します。
この記事の監修者

高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ハムスターの死亡確認

ハムスターは体温が下がると、エネルギーの消耗を抑えるために「疑似冬眠」します。
そのため、亡くなったと思わせて、本当は疑似冬眠しているだけというケースもあります。
そのため、まずは本当に亡くなっているか確認する必要があります。

①部屋を暖める
ハムスターが疑似冬眠になる理由はケージ内の温度=室温が下がったことが原因です。
まずはハムスターにとって適温である20~26度程度に部屋を温めましょう。
②息をしているか確認し、手で温める
まずは息をしているか確認します。
疑似冬眠の場合は息をしているため、胸がかすかに動いていることが確認できるはずです。
生きていることがわかったら、体を温めます。
この際、ハムスターの体を急激に温めてしまうと心臓に負担がかかります。
タオルなどで体を包み、手のひらでゆっくりと温めてあげましょう。
③タオルで包んだカイロやヒーターで温める
まだ目を覚まさない場合はカイロやペット用ヒーターを使用して温めます。
この際はハムスターの体に直接当てるのではなくタオルなどで包んで間接的に熱を伝えるようにしましょう。
直接当てると急激な体温上昇で体に大きく負担を掛けてしまいます。
【経過観察】
ここまで終わったら、一旦ハムスターの様子を見ます。
・目を覚ました場合
目が覚めて本当によかったです。
しかし、疑似冬眠は体に大きな負担がかかるため、獣医師に診てもらうようにしてください。
その間に応急処置として砂糖水を飲ませ、ケージ内の気温の見直しを行ってください。
ハムスターの平熱より少しぬるめの35~36度ほどのお湯に砂糖やハチミツを解いたもの、または温かいミルクを作ります。
これをスプーンでハムスターの口元に持っていき飲ませてあげましょう。
・亡くなっていた場合
体力が尽きていた場合は、これらの工程を繰り返しても目を覚まさないこともあります。
また、呼吸が止まっていることがわかったら、早めに遺体を取り出してあげましょう。
放っておくとハムスターの遺体は死後硬直して、どんどん腐敗していきます。
きれいな状態で送り出してあげるために、丁寧に安置してあげましょう。
ハムスターの遺体を安置する

この章ではハムスターの遺体を安置する方法をご紹介します。

こちらの4ステップが遺体を安置するイメージです。
愛するハムスターのため、落ち着いて行ってあげましょう。
【①ハムスターの安置に必要な品】
まずは以下の品を用意してください。
・ハムスターが入るサイズの箱(棺)
・棺の底に敷くタオルや新聞紙など
・体を拭くタオル
・保冷剤やドライアイス
・保冷剤やドライアイスを包む布
必要な品を揃ったら、遺体の安置を進めます。
【②棺を作り、遺体を安置する】
ハムスターの遺体を安置する際は、遺体の手入れと棺の用意を同時進行で行います。
【遺体の手入れ】
ハムスターの体をウェットティッシュや固く絞ったタオルなどで拭きます。
汚れを落としきれいにしてあげることで、きれいな姿でお見送りできます。
体を拭き終わったら軽くブラッシングをして毛並みを整えましょう。
【棺の準備】
用意した箱にティッシュ・タオルを敷き、直射日光やエアコンの風が当たらない場所を選んで設置します。
【③遺体を安置して冷やす】
準備が整ったら、棺に遺体を寝かせます。
その後、遺体の周りにドライアイス・保冷剤を設置して冷やします。
この際、冷やす物はタオルを巻き、遺体が濡れないようにしましょう。
遺体をきちんと安置すれば、夏場なら1~2日、冬場でも2~3日はきれいな姿を保てます。
その間に、見送り方を考えてあげましょう。
【④棺を冷暗所に設置する】
日光やエアコンの風が直接当たらない涼しい部屋に棺を安置します。
生前好きだったおやつやお花などをお供えしてあげるのも良いでしょう。
また「保冷剤がとけていないか」「遺体が汚れていないか」など、定期的に様子を見てあげてください。
ハムスターの見送り方と供養方法

ハムスターの見送り方には埋葬・火葬の2つの選択肢があります。
ハムスターの埋葬はお庭・プランターに行う
体の小さいハムスターは埋葬して土に還す選択肢もあります。
しかし、埋める場所は慎重に選びましょう。
・埋葬は必ず私有地で行う
法律上、動物の遺体は一般廃棄物扱いです。
そのため、私有地以外に埋葬すると不法投棄とみなされ罰せられます。
違反した場合は5年以上の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
また、遺体が自然に還る過程では、腐敗臭や野生動物に掘り起こされるリスクも伴います。
そのため、自分で責任を持って管理ができる私有地に埋葬することが必須条件です。
・お庭が無い場合はプランター葬
近年ではプランター(植木鉢)に埋葬する飼い主様も増えています。
住宅事情の変化で庭のない家や賃貸住まいが増えたことや、費用を抑えて行える手軽さがその理由のようです。
ペットちゃんの存在を身近に感じられることに加え、花を植えればペットちゃんのお世話をするようにお手入れできるのが特徴です。
また、お庭よりも管理・移動をしやすくなるのもポイントです。
ハムスターの火葬は遺骨の扱いで決める
ハムスターの火葬を依頼できるのは「自治体」「ペット霊園」「ペット火葬業者」です。
それぞれメリット・デメリットがありますが、特に注目なのは火葬後の遺骨の扱いです。
依頼先 | 遺骨の扱い |
自治体 | 返骨されず、そのまま処理される |
ペット霊園 | 火葬後は霊園に埋葬、希望に応じて返骨 |
ペット火葬業者 | 希望に応じて扱いを決められる |
自治体は遺体を引き取り、火葬してくれます。
また、ハムスターのような体の小さい動物なら、布で包んで燃えるゴミに出すことも選択肢の一つです。
しかし、お骨は他の燃えるゴミと一緒に埋め立てられるため、返ってきません。
対して霊園・ペット火葬業者では希望に応じて返骨してもらうこともできます。
遺骨が返ってくることで、希望通りのお見送りができるようになります。
遺骨を残した場合の供養の選択肢
お骨が手元に返ってくることで、供養方法の幅が広がります。
人間と同じように霊園・お墓に埋葬する以外にも、以下の方法で供養する方も増えています。
方法 | 概要 |
手元供養 | 遺骨をペンダントやキーホルダーに入れて手元に置いておく、決めた日まで骨壺を家で管理するなどの方法がある。 |
仏壇を作る | ペット専用の仏壇や収納ケースに入れて部屋に飾って供養する方法。インテリアにあわせてデザインも選べる |
散骨 | 遺骨を粉状にして山や海などに撒く方法。基本的には業者に依頼してプランニングしてもらう。 |
きちんと見送りたい場合は、遺骨を残す選択を
遺体を見送って火葬する点では自治体と霊園・火葬業者の違いはないように思えます。
しかし、遺骨を残して供養しないと後悔する可能性もあります。
ペットちゃんの存在が世界から消えてしまったように思えるためです。
そうならないように、遺骨を残して管理し「ここに来ればあの子に会える」と思えるような場所を作っておく必要があるのです。
お別れが寂しい方こそ、お骨が残る霊園・火葬業者でのお見送りを推奨します。
理想の供養方法からハムスターの見送りプランを決める

ハムスターの見送り方は、返骨される霊園・ペット火葬業者と、返骨されない自治体の2つの選択肢があります。
迷ったら「大切なハムスターをどのように供養したいか」で判断することをおすすめします。
【メリット・デメリットを比較する】
お庭に埋葬することは「ペットちゃんを身近に感じられる」というメリットがある事に対して「土に還るまでの数年間、管理を続ける必要がある」というデメリットがあります。
手元供養の場合は「掃除や納骨のタイミングなど、必要なことはすべて自分で行う必要がある」というデメリットがありますが、捉え方を変えると周囲や期日に縛られずにペットちゃんを弔える方法でもあります。
このように、それぞれの供養方法のメリット・デメリットを比較して、ピッタリな方法を探すのがおすすめです。
【理想の供養方法を実現してくれる場所に依頼する】
ペットちゃんの供養方法を決めたら、その実現をサポートしてくれる場所を探します。
例として「お骨にしてお庭に埋葬したい」と考える場合は火葬業者・霊園に火葬してもらって返骨してもらうことなどです。
関連して「どこまでサポートしてもらえるか」を確認するのもおすすめです。
霊園によっては納骨後に永代供養をしてくれる所もあり、火葬業者によっては火葬後に提携している霊園を紹介してくれる所もあります。
このように、理想を実現するためのサポートをしてくれる所を探すのもポイントです。
ハピネスでは飼い主様の事情に寄り添い、最適なお見送りプランのご提案に努めています。
ご相談は無料で承りますので、まずはご相談ください。
ペットロスが重症化しないために

大切なハムスターとのお別れは飼い主様の心に深い悲しみと痛みを残します。
通常であればペットちゃんの不在に慣れて少しずつ喪失感は薄れていきます。
しかし、ペットちゃんの死を受け入れられず、悲しみを抱えたままだと「ペットロス」と呼ばれる状態に陥ってしまう飼い主様もいます。
【ペットロスの症状】
ペットロスの症状は精神面だけではなく、体にも現れます。
精神面 | ・不安 ・集中力の低下 ・ネガティブ思考 ・罪悪感を持つ ・孤独感を感じる ・パニック症状 ・幻覚を見る など |
体 | ・食欲不振、過食 ・不眠 ・腹痛、下痢、便秘 ・吐き気、頭痛、めまい、だるさ ・難聴 ・蕁麻疹 ・涙が出る など |
ペットロスは大人だけではなく、子供も陥る可能性があります。
特にハムスターは子供やペット初心者でも飼いやすい種類のため、子供にとって初めての家族との別れの経験となることもあります。
きちんと心のケアをしてあげましょう。
ペットロスと向き合う方法
ペットロスは特別な症状ではなく、誰でも陥る可能性があります。
旅立ったハムスターのためにも、飼い主様は心身ともに健康でありたいもの。
ペットロスと向き合い、克服するために大切なことを紹介します。
【無理をせずに休む】
ペットちゃんとのお別れは体感時間ではあっと言う間に済んでしまいます。
しかし、その間には安置の準備や業者との打ち合わせなど様々な工程があり、自覚はしていなくてもかなりの疲労が溜まっている可能性があります。
そのため、お見送りが一段落したらしっかりと休みましょう。
業種によっては有給休暇を取り、少しの期間体と心を休める期間を作るのもおすすめです。
【感情を素直に出す】
ペットロスが重症化する方は、悲しいという感情を我慢してしまうことが多いです。
泣きたい時は我慢せずに泣きましょう。
後悔していることがあればペットちゃんの写真に伝えたいことを語りかけるなど、胸の中にあることをすべて吐き出すのが解決方法になることもあります。
【人に話す】
抱えている気持ちを家族や友人などに話すことも大切です。
どうしても話す相手がいない場合は日記に気持ちを書いたり、ペットロスに関するコミュニティを探してみるのもいいでしょう。
【専門家に相談する】
自分だけで抱えきれない心の痛みはお医者さんやカウンセラーに相談するようにしましょう。
「自分は一人ではない」と感じられることで、気持ちが楽になることもあります。
まとめ
ハムスターの死亡を確認した場合は、まずは遺体をきれいにして棺に納め、安置してあげてください。
その後に「お見送り方法」を決めることになりますが、その際は「お骨の扱い」「供養方法」なども加味して考えることをおすすめします。
「火葬のみ済ませたいので自治体」「手元供養したいので、火葬と返骨ができる火葬業者」のように、候補を絞ることができます。
ペットちゃんとのお別れはとても辛く、心身に影響を受けることもあります。
お別れが寂しいからこそ、悔いの残らない方法でしっかりと送り出してあげてください。