いつか愛猫が自分より先に旅立つ日が来ると分かっていても、やはりお別れは辛く悲しいものです。
そのような状況でもやらなくてはいけないことが飼い主様にはあります。
後から「きちんと見送ってあげればよかった」と後悔しないためにも、慌てず一つひとつ進めていくことが大切です。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
死亡確認
自宅で息を引き取った場合は、飼い主様が死亡確認を行います。
この章では愛猫が本当に亡くなっているか確認するための方法をご紹介します。
どうしても自分だけでは判断ができない場合は動物病院に連絡するようにしましょう。
息をしているか
まずは呼吸をしているか身体の動きを見て確認しましょう。
胸部が動いているかどうかで確認することができます。
目が開いているか
目をつぶるためには筋肉が必要なので、亡くなった際は目を開けていることが多いです。
また、亡くなっている場合は普段より瞳孔が開いています。
心拍・脈はあるか
心拍は猫の胸に手を当てて確認します。
脈は後ろ足の付け根にある股動脈を触り確認します。
死後硬直はしているか
動物は亡くなると死後硬直が始まります。
体を触って固くなっていないか確認してください。
脈がなく、死後硬直を確認した場合は、悲しいですがお見送りの準備を整えてあげましょう。
遺体を安置する
猫が亡くなっていることを確認したら、死後硬直が進んでしまう前に遺体を安置させる必要があります。
安置はきれいな状態で送り出してあげるために大切な作業です。
今までたくさんの愛情をくれた猫に感謝の気持ちを伝えながら優しく安置していきましょう。
体勢を整える
手足を伸ばして亡くなっていることが多いため、寝ている時の体勢に整えてあげます。
また、目や口が開いている場合は優しく手で撫でて閉じてあげましょう。
体をきれいにする
軽く濡らしたタオルで体をきれいに拭いて、グルーミングもしてあげましょう。
口や耳、肛門などから体液が出てくることもあるため、綿やティッシュなどを詰めてあげましょう。
棺に寝かせる
ダンボールや専用の棺を用意して、底にタオルや新聞紙などを敷きます。
棺の準備ができたら、猫を寝かせてあげます。
体を冷やす
すぐに遺体を供養できない場合は、遺体の腐敗を遅らせるために体を冷やす必要があります。
保冷剤やドライアイスを用意して、頭やお腹を冷やしてあげましょう。
安置する期間と場所
安置できる期間は夏場なら1〜2日、冬場なら3〜4日程度です。
安置させる場所は夏場ならエアコンの効いた涼しい部屋、冬場なら暖房が効いていない部屋に安置させるようにしましょう。
遺体の供養
愛猫が亡くなったら、遺体を供養しなくてはいけません。
遺体を供養する方法は3つありますので、ご自身に合った方法で供養してあげましょう。
自宅へ埋葬
遺体を庭に埋葬して供養される方もいらっしゃいます。
遺体を埋葬する場合は必ず私有地で行うようにしましょう。
また、遺体を直接埋める場合は土に還るまで時間がかかるため、引っ越しの予定がある場合は注意が必要です。
庭に埋葬する際はできるだけ深く掘って埋めるようにしましょう。
自治体に依頼
自治体に連絡して遺体を引き取ってもらう方法もあります。
お住まいの地域によって対応は様々で、遺体を可燃ゴミとして扱うようなケースもあります。
必ずどのように対応してもらえるか確認してから依頼するようにしましょう。
業者に依頼
火葬をしてくれる業者に依頼して、遺体を供養する方法です。
火葬方法は大まかに個別で火葬する個別火葬と、複数のペットを一緒に火葬する合同火葬があります。
合同火葬では個別の遺骨を残すことができないため、遺骨を残したい場合は個別火葬を選びましょう。
遺骨の供養
最近はペットの遺骨を残して供養する方が増えてきています。
遺骨の供養方法はいくつかありますので、ご自身に合った方法で供養することができます。
自宅供養
遺骨をそのまま自宅に置いて供養される方やペット用仏壇などに遺骨を入れて供養される方もいらっしゃいます。
近年ではリビングに置いても仏壇と分からないお洒落なものもあるため、人気の供養方法です。
ご自宅でペットを感じることができるため、離れるのが寂しい方におすすめです。
手元供養
遺骨をペンダントやネックレス、ブレスレットなど身に付けるアクセサリーにして供養する方法もあります。
遺骨をダイヤモンドに加工するサービスなどもあるなど、ペットちゃんを身近に感じられる供養方法です。
お墓を立てる
人と同じようにお墓を建てて供養する方法です。
また、最近はペットと人が一緒に入ることができる霊園も増えてきています。
ペットと一緒のお墓を希望する場合は、遺骨を自宅で管理し、ご家族に遺言を残しておくといいでしょう。
散骨
遺骨をさらに粉状にして、散骨する供養方法です。
山や海などに散骨するサービスを取り扱う業者もあります。
ご自身で散骨することもできますが、私有地以外に散骨する場合は許可が必要になりますので気をつけましょう。
死を乗り越えるために
家族同然の愛猫が亡くなった際は、とても悲しく辛いものです。
そのためなかなか立ち直れずにペットロスになるという飼い主様も少なくありません。
ペットロス自体は悪いことではないですが、重症化すると心身に悪影響が出てくるケースもあるため注意が必要です。
思いっきり悲しむ
愛する家族が亡くなるということはとても寂しく悲しいことです。
愛猫と過ごした幸せな時間を思い出して、悲しい気持ちを素直に表現しましょう。
ペットロスは誰もが経験することで、決しておかしなことではありません。
思いっきり悲しむことで、気持ちを切り替えることきっかけにつながることもあります。
気持ちを誰かに話す
辛いときは家族や友人、同じ経験をした人などに話すことで気持ちが楽になることもあります。
どうしても身近な人で話を聞いてくれる人がいないという場合は、プロのカウンセラーに相談してみましょう。
きちんと供養する
きちんと愛猫を供養してあげることで、気持ちの整理がつきます。
人の場合もお葬式は故人とお別れをし、死を受け入れるために必要な儀式と考えられています。
家族のように過ごしてきた愛猫も同じです。しっかりと供養をして送り出してあげましょう。
供養後も繋がれる環境
きちんと葬儀などを行い供養した後も、急に寂しくなったり悲しくなることがあります。
そのような場合でもペットちゃんを感じることができるように、遺骨や写真を自宅に置いておくといいでしょう。
また、お墓がある場合は定期的に手を合わせにいくようにすると繋がりを感じることができます。
ペットの遺品供養
愛猫が使用していた遺品を整理すると、気持ちも一緒に整理できる場合もあります。
一緒に火葬できなかった遺品は、お寺などで供養してもらうのもおすすめです。
お寺によってはペットの遺品は供養してもらえないケースもあるので、事前に調べてからいくといいでしょう。
まとめ
毎日一緒に過ごした愛猫が亡くなった際は、慌てて何も考えられなくなることも多いと思います。
しかし、最後まできれいな状態で送り出してあげるために飼い主様にはしなくていけないことがあります。
愛する家族が安心して旅立てるように、落ち着いて対応してあげましょう。
もし、どうしても混乱してどうすればいいか分からない場合は、動物病院やペット葬儀業者などで対応方法を聞くことができることもありますので確認してみてください。