小さくて愛らしいインコはペットとして人気の動物です。ペットとして迎え入れた大切なインコには少しでも長く生きてほしいですよね。今回はインコの平均寿命や長生きさせる秘訣、老化したインコにしてあげられることなどをご紹介します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
インコの種類別平均寿命
インコは様々な種類がありますが、種類によって寿命が違ってきます。5〜10年と短い種類もあれば、40〜50年と長生きするインコの種類もあり大幅に長さが異なります。この章ではインコの種類別の平均寿命についてご紹介します。
セキセイインコ
セキセイインコは最もメジャーで、初心者でも飼いやすいためペットとして飼っている方も多いです。性格は人懐っこく好奇心旺盛。寿命は約8〜12年です。
コザクラインコ
コザクラインコは「ラブバード」と呼ばれ、この人と決めた人には一途に愛情を注ぐインコです。一途な分嫉妬深く攻撃してくることも。寿命は約7〜12年です。
コガネメキシコインコ
カラフルな色が特徴的で、人懐っこく甘えん坊なインコです。人の声をかき消してしまうほど鳴き声が大きなインコですが、ペットとしては人気。寿命は約15〜20年です。
オオハナインコ
オオハナインコは体が大きなインコです。性格はオスが大人しくのんびり、メスは陽気で活発。寿命は40〜50年と他のインコに比べ長いです。
ヨウム
ヨウムはとても頭のいい大型のインコです。人の言葉を理解し、コミュニケーションを取ることができるため、ペットとしても人気が高いインコ。寿命は約40〜60年と、とても長生きなインコです。
かかりやすい病気
インコがかかりやすい病気やその原因を知ることが、結果として病気を防ぐことに繋がります。この章では一般的にインコがかかりやすい病気についてご紹介します。インコは病気を隠すため、何か異変に気付いたら獣医師に診てもらうようにしましょう。
そ嚢炎
そ嚢炎はそ嚢という消化器官に食べ物がつまり、細菌や原虫が侵入することで炎症を起こす病気です。飼育している衛生状況が悪いことや、エサの与えすぎが原因のことが多いため、ケージ内は清潔に保ちエサの与えすぎには気をつけましょう。
各種感染症
インコは様々な感染症にかかりやすい動物です。カビの仲間であるメガバクテリアに感染することで発症する「メガバクテリア症」、サーコウイルスに感染することで発症する「PBFD」、ラミジア・シッタシに感染することで発症する「クラミジア症」、マイコプラズマ菌に感染することで発症する「マイコプラズマ病」などが有名です。
ビタミンD欠乏症
ビタミンD欠乏症は幼鳥や産卵期の鳥に多く、体内のビタミンDが不足することで発症します。ビタミンDが不足すると腸管からカルシウム吸収ができなくなり、骨折や骨粗しょう症、骨軟化症などの病気になりやすくなります。ビタミンDは日光浴することで生成されますので、定期的に日光浴させてあげましょう。
痛風
痛風は人間でも有名な病気で、プリン体の代謝異常で痛風が起こる病気です。しかし、鳥の場合はタンパク質の過剰摂取や腎不全で痛風が起きます。痛風は腎不全によって起こるため、腎臓を保護することが大切です。
長生きさせる秘訣
大切なペットとして迎え入れたインコには、少しでも長生きしてほしいと思うのは飼い主なら当然のことです。この章で、インコを長生きさせる秘訣についてご紹介します。飼い主のお世話で寿命を伸ばすことができるため、ぜひ参考にしてください。
環境を整える
感染症にならないために、ケージ内を清潔に保ちましょう。また、与える水やエサも置きっぱなしにせず定期的に取り替えてあげてください。
温度調整
インコの適正温度は25度前後、湿度は60%程度です。急激な温度の変化に弱いため、エアコンや暖房などを使用して温度を保つようにしましょう。
バランスのいい食事
脂肪分が多いエサの与えすぎに注意し、栄養バランスのいい食事を与えるようにしましょう。
体重管理
肥満は短命に繋がります。エサの与えすぎや運動不足に気をつけ、体重が増えすぎたり減りすぎたりしないようにしましょう。
中毒に気を付ける
インコは様々な中毒に気をつけなくてはいけません。食べ物ならアボカドや玉ねぎ、にんにく、りんご、チョコレートを与えないようにしましょう。また鉛・亜鉛・銅などの金属中毒にも注意が必要です。
日光浴させる
インコは日光浴することでビタミンDが作られ、カルシウムを効率的に吸収することができます。週4〜、10時間程度、日光浴させてあげるようにしましょう。
ストレスを溜めない
インコがストレスと感じることをしないことが長生きに繋がります。おもちゃで遊ばせてあげる、放鳥してあげるなどストレスを解消してあげましょう。
鳥専門の病院を探しておく
犬や猫を診てくれる動物病院は多いですが、鳥を専門で診てくれる病院は少ないです。近所に鳥を診てくれる病院を探しておくといいでしょう。
病気の早期発見
食事、排泄物、体重、体を日々チェックして、異変があったらすぐ気付けるようにしましょう。また、定期的に検診を受けることも大切です。
老化したインコにしてあげられること
寿命が近づいてくるにつれて、インコは老化していきます。今までは当たり前にできていたことができなくなったり、ストレスになったりすることもあります。この章では老化したインコに飼い主がしてあげられることについてご紹介します。
止まり木を低くする
インコは年齢とともに足も老化していきます。以前よりも動きが鈍くなってきたと感じたら、ケージの中の止まり木やおもちゃの位置を低くしてあげましょう。しかし、一気に環境を変えてしまったり、止まり木をなくしてしまうことは返ってストレスになるため気をつけてあげてください。
エサを見直す
年齢とともにくちばしに力が入りづらくこれまでの食事ができなくなることもあります。そのような場合は、食べやすい食事に変えてあげましょう。また、高齢になるとビタミンやミネラルが不足しがちになるため、エサの栄養を見直し、必要であればサプリなどで栄養を補うようにしましょう。
寒さ対策
高齢のインコは寒さに弱く、体調を崩しやすくなります。冬場はもちろん、気温の低い日はしっかりと保温してあげましょう。暖房やヒーターを使って部屋を温めたり、ケージにカバーをかけて隙間風を防ぐことも効果的です。
亡くなる前に見せる症状
インコの寿命が近づくにつれて、いつインコが亡くなるのか不安という方も多いのではないでしょうか。インコは突然亡くなる突然死が多い動物ですが、老衰や病気で亡くなる場合は、前兆が現れるケースもあります。今回はインコが亡くなる前に見せる症状についてご紹介します。
甘えてくる
いつも甘えてこないインコが無性に甘えてくるような場合は、助けを求めていたり死を悟っているサインかも知れません。
羽が乱れてくる
インコは綺麗好きな性格なため、日々羽の毛繕いを欠かさずしています。しかし、羽がパサパサになっていたり乱れている場合は、羽の御手入れをする余裕がないというサインです。
食欲がない
高齢になるとだんだんと食欲が落ちていきます。しかし、急激に食欲がなくなったという場合は死が迫っているというサインかもしれません。
下痢や嘔吐
亡くなる直前に下痢や嘔吐をするというケースも少なくありません。下痢や嘔吐をした場合は、綺麗に拭き取ってあげましょう。
動かない
いつもはケージに近づくと寄ってくるのに、全く動かない、反応がないといった場合は死が迫っているサインかもしれません。
まとめ
インコは種類や体の大きさによって寿命が大きく異なります。飼っているインコまたは、今後飼おうとしているインコの寿命を知り、少しでも長く生きてペットと幸せな日々を過ごせるように努めてあげましょう。また、日々健康を観察し少しでも気になることがあれば、すぐに獣医師に診てもらうようにしましょう。