小さくて可愛いハムスター。見た目が可愛いのはもちろんですが、飼いやすい動物のためペットとしても人気です。しかし、犬や猫などの動物に比べて寿命が短い傾向にあります。ハムスターを家族として迎え入れたなら、少しでも長生きしてほしいと飼い主なら思うことと思います。今回はハムスターの平均寿命や長生きする秘訣について詳しくご紹介します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ハムスターの寿命について
ハムスターの平均寿命は2〜3年と言われていますが、ギネス記録には4年半も生きたハムスターがいるようです。人間の年齢で換算すると生後10日でおよそ1歳になります。その後、1カ月で5歳、2カ月で18歳と、生後から早いスピードで大人まで成長していきます。そしてその後は穏やかに成長し1年で30歳、1年半で56歳になりシニア期に入ります。シニア期に入れば徐々に老化が始まっていきます。
ハムスターがかかりやすい病気
ハムスターは本能的に体が弱っていることを隠そうとする特性があるため、病気にかかっていても飼い主が気づきにくい傾向があります。しかし、かかりやすい病気やその症状を知っていることが早期発見に繋がります。この章ではハムスターがかかりやすい病気と症状について詳しくご紹介します。
腫瘍
ハムスターの死因となることがかなり多いと言われているのが腫瘍です。特に1歳を過ぎた頃に、死に至るような腫瘍が見つかることが多いとされています。腫瘍には悪性と良性がありますが、良性の場合でもハムスターの命に関わるケースもあります。ハムスターの体にしこりができているなど、気になる症状があればすぐに獣医師に診てもらうようにしましょう。
子宮蓄膿症
高齢のメスのハムスターに多い病気です。病気が原因で卵巣や子宮が大きくなりお腹が膨らんでいるように見える症状があれば、子宮蓄膿症または卵巣嚢腫の可能性があります。また、尿に膿や血が混じる症状が出ることもあります。
皮膚病
ハムスターは皮膚病になりやすい動物で、特に「ニキビダニ症」「真菌性皮膚炎」「アレルギー性皮膚炎」にかかることが多いです。脱毛や皮膚が赤くなる、痒そうにしている、フケが出るなどの症状が出たら、皮膚病の可能性があるので獣医師に診てもらうようにしましょう。
不正咬合
ハムスターは歯の噛み合わせが悪くなって、エサを食べられなくなる「不正咬合」という病気になりやすい動物です。原因はケージなどの固いものを齧りすぎたことで、歯が折れてしまったり、破損してしまい歯が曲がって伸びてしまうことが多いです。
病気以外でハムスターが亡くなる原因
ハムスターが亡くなる原因は病気だけではありません。小さな動物なので様々な危険がいっぱいです。病気以外でハムスターが亡くなる原因を知り、大切な命を守ってあげましょう。
先天性による原因
健康なハムスターをペットショップで購入しても、原因が分からずすぐに突然死してしまったということは少なくありません。多くの原因は心臓や肺などに先天性な病気があったというケースが多いです。先天性の病気があることは事前には分かりにくく、医師でも判断が難しいため原因が分からず自分を責めてしまう飼い主もいます。
ストレス
ハムスターはストレスが原因で亡くなることも少なくありません。ストレスを感じると心拍数が上がります。心拍数が上がることで寿命が短くなるということが考えられていますので、気をつけなくてはいけません。また、ストレスを感じることで下痢、風邪、ウイルス、心臓病や呼吸器系の疾患などの病気になる危険も多くあります。
圧死
ケージの外に出していると「家族が誤って踏んでしまった」「家具や家電に隠れていたのに気付かずに圧死させてしまった」という危険もあります。圧死はハムスターが亡くなる原因で多いですが、飼い主が気をつけることで防ぐことができます。ケージの外で遊ばせる時はきちんと見ておくようにしましょう。また、ケージの中でも多頭飼いしている場合は他のハムスターに踏まれて圧死するというケースもありますので、多頭飼いする場合は気をつけましょう。
中毒
ハムスターはアボカド、チョコレート、玉ねぎ、ネギなどの食べ物で中毒症状を起こし、亡くなってしまうこともあります。また、アサガオやチューリップ、スイセンなどのお花を口に入れることによって毒が回り危険な状態になってしまうこともありますので、ハムスターにとって害となる物を調べて置かないようにしましょう。
疑似冬眠
ハムスターは寒さに弱い動物です。気温が10度になれば動きが鈍くなり、5度以下になると生命の危険を感じ眠ってエネルギーをセーブする状態になります。これを疑似冬眠と言います。疑似冬眠をそのままにしておくと、危険な状態になりそのまま命を落とすこともあります。温度管理に気をつけ、万が一疑似冬眠してしまった場合はすぐに対応することが大切です。
ハムスターが長生きする秘訣
寿命が短いハムスターですが、大切な家族として迎え入れたハムスターには少しでも長く生きてほしいと思うものですよね。ハムスターが長生きするために飼い主ができることはたくさんあります。この章ではハムスターが長生きする秘訣について詳しくご紹介します。
バランスのいい食事
栄養のバランスを考えてエサを与えてあげることが長生きに繋がります。ハムスターに必要なタンパク質やビタミンを補う食べ物を適度に与え、高カロリーなひまわりの種などはあげすぎないようにしましょう。
適度な運動
適度な運動は肥満解消やストレス発散になり、長生きに繋がります。ケージに運動できるおもちゃを置いたり、定期的にお部屋に出して散歩させたりして運動させてあげましょう。部屋をお散歩させる場合は、ケガをしないように見ておくようにしてください。
環境を整える・ストレスを与えない
ハムスターは綺麗好きな動物ですので、汚れた環境はストレスや病気の原因になります。エサや水を取り替える、ケージを掃除するなどケージの環境を整えてあげましょう。また、雑音や光などもストレスの原因になりますので気をつけましょう。
温度管理
ハムスターにとっての適温は20〜26度と言われています。暑さにも寒さにも弱いハムスターのために夏はエアコン、冬は暖房やヒーターをつけて適温を保つようにしてあげましょう。
定期検診
ハムスターは私たちの何倍もの早さで成長します。数カ月に一度のペース程度で健康診断を受けることで病気を早期発見できます。また、日々異変がないか観察することも大切です。
日々の健康チェック
ハムスターを長生きさせるためには食事や運動、環境を整えることが大事ですが、病気を早期発見できるように日々の健康チェックも大切です。特にハムスターは病気を隠す習性があるため、細かく観察し少しでも異変を感じたら獣医師に診てもらうようにしましょう。この章では日々の健康チェックのポイントをご紹介します。
・食欲はあるか
・排泄物に異変はないか
・動きが鈍くないか
・目・耳・口・鼻・足・お腹など体に異変ないか
・毛並みはいいか、脱毛していないか
まとめ
今回はハムスターの寿命や長生きする秘訣などについてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。ハムスターは寿命が短い動物ですが、少しでも長生きしてもらうために飼い主ができることはたくさんあります。ハムスターと幸せな日々を1日でも過ごせるように、ハムスターの健康に気をつけ環境を整えてあげましょう。