金魚は見た目の優雅さだけでなく、他のペットちゃんと比べると飼育がしやすいことから家庭や学校、公共施設など様々な場所で飼育されている生き物です。
そして床や壁を汚される心配がないため、マンションやアパートにお住まいの方も飼育されていることが多いです。
しかし、お世話が簡単だといえども誤った飼育方法を続けてしまうことによって、金魚をお迎えしてからすぐに死なせてしまう方も少なくありません。
今回は金魚が死ぬ前に見せる行動や、金魚を長生きさせるための方法についてご紹介いたします。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
金魚が死ぬ前に見せる行動とは?
金魚を長生きさせるために一番大切なのは、死亡する前に金魚の異変に気付くことです。
そのためには、金魚が普段と違う行動をしていないか観察をすることがポイントになります。
水面に浮かぶ、ひっくり返る
水面に浮いたり沈んだりを繰り返す、あるいは時々お腹を上に向けて水中に漂っているなど、泳ぎ方がおかしい金魚は非常に衰弱しています。
転覆病という浮き袋が上手く機能しなくなる病気に罹っている可能性もありますので、水温調節や餌の変更など、何らかの処置を取らなければいけません。
餌を食べない
餌をあげても見向きもせず、水槽の底でじっとしているようであれば体調不良を起こしていたり、衰弱している可能性があります。
活動が鈍くなる冬場や、水槽を新しくするなどの環境変化によって食欲不振になることもありますが、何も思い当たらない場合は要注意です。
水槽内の酸性濃度が高まると食べなくなることもありますので、水替えをすることで食欲を取り戻すことがあります。
しかし、その場合は餌を食べる体力すらない程に衰弱しきっているケースも多いので、悲しいですが覚悟が必要です。
激しく泳ぎ出す
突然水槽内を上下左右に、暴れるように泳ぎ回るという行動も、前兆として挙げられます。
一時的に素早く泳ぐことは特に問題ありませんが、何度も激しい泳ぎを繰り返す場合はアンモニア中毒になっていたり、寄生虫が体についている白点病の可能性が高く、いずれにせよ早急な水質の改善が必要です。
このように普段と違う行動を見せる金魚は非常に衰弱している可能性が高いです。
応急処置として別の水槽に移し替え、水温調節や絶食などをさせる必要があります。
金魚が浮いている、もしくは沈んでいる理由
金魚が力なく浮いている、もしくは沈んでいる場合は体調を崩していないか確認しましょう。
「転覆病」にかかっている可能性や、泳ぐ元気を失うほどのダメージを負っている可能性があります。
また、死んでいるケースも考えられるので、よく確認してみましょう。
金魚の遺体は水面に浮かぶパターンと、水の底に沈んで倒れているパターンがあります。
この二つの状態の違いは、死亡してからの時間の経過にあります。
金魚は死んだ後に時間が経つと腐敗し、体内にガスが溜まります。
このガスによって遺体が水面に浮かぶようになるので、浮かんでいる場合は死亡後に時間が経っていて、沈んでいる場合は、それほど時間が経っていないと判断できます。
「他の金魚を避難させる必要があるか」などの指標になるため、遺体がどんな状態だったかも覚えておくのがおすすめです。
金魚が死んでいるか確認する方法は?
金魚が死んでいることを判断するためには、体の様子に注目してください。
金魚は口をパクパクさせたり、腹ビレやえらを動かしている場合は生きていますので問題ありません。
対して、すでに死んでしまった金魚は目が白く濁っていることがあります。
金魚が死んでいることに気づいた場合は、速やかに遺体を水槽から引き上げましょう。
そのまま放置していると水の中で腐敗化が進行し、他の金魚の健康にも害を及ぼしてしまうからです。
金魚が死んでしまう原因とは?
金魚は熱帯魚などに比べると、環境への適応能力が高く、丈夫で飼いやすい観賞魚です。
当然、金魚の品種によっては非常にデリケートな種類もいますし、丈夫な種類といえども、餌の量や水質を適切に管理しなければ短期間で死んでしまいます。
この章では、金魚の飼育で気を付けたいことをご紹介します。
餌のやりすぎ
金魚が食べきれないほどの餌を与えてしまうと食べ残しが発生し、排泄物が増えることで水質が悪化してしまいます。
食べ残しや排泄物を放置しているとアンモニアが発生します。
アンモニアが水槽に溜まると「アンモニア中毒」を引き起こしてしまいます。
金魚の食べ残しを発生させないためにも、餌は様子を見ながら少しずつ与えるようにしてください。
旅行や帰省の前にお腹が空かないようにと大量に餌を与えてしまうと、水が汚染され、反対に命を縮めてしまう可能性があります。
金魚は健康であれば1週間程度は断食をしても平気な生き物です。
長期間の外出をする場合は、普段の水替えを行い、水槽内に溜まっている汚れを取り除いておきましょう。
水質の悪化
水質の悪化は金魚に深刻なダメージを与えるため、特に注意が必要です。
水槽の掃除は定期的に行うようにしましょう。
また、バクテリアの数を増やし生物濾過の環境を整えることも水質を綺麗に保つ方法として有効です。
バクテリアが棲みやすいように砂利を敷いたり、酸素の供給を増やしましょう。
ストレス
水槽の中にたくさんの金魚を飼っている、あるいは大きな金魚が小さな金魚を追い回しているなど、金魚にとってストレスを感じるような飼育環境で飼育をしていると衰弱してしまうことがあります。
体の大きさによって飼育する水槽を分けるか、金魚が隠れやすいアクセサリーや水草を入れてあげましょう。
金魚は火葬してもらえる?
金魚は火葬ができる生き物ですので、業者などに依頼すれば人間と同じようにお見送りができます。
しかし、体の小さな金魚は、火葬をした際、骨がきれいに残らない可能性が高いです。
逆に、しっかりとした骨格を持っていたり、大きい金魚の場合は骨がしっかりと残る場合があります。
大切な金魚の返骨を希望される場合は、拾骨できる「個別火葬」がおすすめ。
お見送りも大切な思い出になるためです。
火葬以外の金魚の供養方法
もし火葬にこだわらないのであれば、お庭やプランターの土の中に埋葬する方法がおすすめです。
しかし、私有地以外の場所で動物の遺体を埋葬することは法律違反です。
公共の場である公園や私有地以外の場所に埋めるのは避けましょう。
供養するのが難しい場合は?
自宅に庭がない、植物の世話が難しいなど、どうしても自宅で埋葬することが難しい場合は、可燃ゴミに出しても問題ありません。
愛するペットちゃんをゴミとして出すことに罪悪感を感じるかもしれませんが、しっかりとお別れをしてあげることが大切なのです。
金魚の亡骸をガーゼやキッチンペーパーなどできれいに包み、ビニール袋で二重に包んだ後にしっかりと袋の口を閉じてください。
金魚を長生きさせる方法は?
金魚を長生きさせるためには餌を欠かさず与えることよりも、水質管理に気を配ることが重要です。
購入した金魚をすぐ水槽に入れない
購入した金魚を水槽に放し、翌日様子を見ると金魚が死んでいた、という経験をされる方が非常に多いです。
これは金魚が水槽内の室温や水質に体を慣らすことができず、体調を崩してしまうことが死因になっています。
金魚を水槽の水に移す方法
金魚をペットショップで購入すると、袋の中に水と酸素を注入してくれます。
①:水温に慣らしてあげる
自宅に持ち帰った後は、すぐに金魚を水槽に入れずに袋のまま30分~1時間程度、水槽の水の中に浸けておきましょう。
お祭りの金魚すくいで持ち帰った金魚も同様に、ビニール袋をそのまま水槽に浸け、まずは水温を馴染ませます。
②:少しづつ水槽の水に馴染ませていく
水温が馴染んできたところで、金魚をバケツなどの別の容器に移します。
その際に、元から袋に入っていた水を1/3ほど捨てます。
そして捨てた分量と同じくらいの水槽の水を金魚のいる容器に移し、10分ほど馴染ませます。
馴染ませたら先程と同じように、「容器の水を1/3ほど捨てる、水槽の水を移す、馴染ませる」を繰り返します。そうすることで、徐々に水槽の水に金魚が慣れていきます。
③:水槽に移動させる
最後に、網などを使い金魚を水槽に移してあげれば完了です。
飼ってきた金魚が泳いでいた水には普段使用していない薬剤や寄生虫が含まれていることがあり、そのまま移し替えてしまうと水槽内の水質を汚染してしまう恐れがあります。
袋の水や馴染ませるために使用した容器の水は、極力水槽に入れないように気を付けましょう。
水換えを欠かさず行う
水替えは定期的に行いましょう。
金魚が水の中で排泄や排尿をすることで、水の中にアンモニアが溜まります。
このアンモニアには毒素が含まれていますので、そのまま放置をしていると金魚が体調を崩す原因に繋がってしまいます。
・水替えの頻度
「2週間に1回」が目安です。
ただし、水替えが必要な状況は金魚の数や水槽の大きさ、季節によって変わってきます。
飼い主様が直接観察をして調節してください。
・交換する水の量
「水槽に対して1/3程度」にしましょう。
全ての水を新しいものに換えてあげたいと思われるかもしれませんが、急激な水質変化は金魚にとってはダメージになります。
気になる場合は高性能のフィルターを取り付けるのも有効です。
しかし、それでも水中全ての毒素は濾過できないため、水替えは引き続き行う必要があります。
大きな水槽で飼う
金魚の大きさや数に対して少し大きな水槽で飼育することで、水中の毒素の濃度が上がりにくくなります。
金魚が泳ぎ回れるスペースも確保できるので、金魚同士がぶつかってストレスを溜める心配もありません。
しかし、あまりにも大きな水槽だと水替えや掃除が大変になりますので、ご自身の扱いやすい大きさの水槽を選ぶようにしてください。
まとめ
初心者でも飼育がしやすいといわれる金魚ですが、水質管理を怠るとお迎えしてから1週間も経たずに命を落としてしまうことがあります。
反対に上手に飼育すれば10年以上長生きしてくれることがあります。
特に「餌のやりすぎ」「水質の悪化」など、飼育環境に注意してお世話をすることが金魚を長生きさせるためのポイントになります。