ザリガニの平均寿命は5~6年と長く、長い時間を一緒に過ごせます。
しかし、亡くなったザリガニをきちんと供養する方法を知っている方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、ザリガニが死ぬ前に見せる行動と、正しい見送り方を紹介します。
ザリガニを悔いなく見送るためには適切な環境を整えて体調管理をし、亡くなった後にはきちんと見送ってあげることが大切。
「ザリガニが体調を崩してしまった」「遺体はどうすればいい?」と迷っている方もご安心を。
これから紹介する方法で、ザリガニが幸せな生涯を送れるように優しくお世話してあげてください。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ザリガニの主な死因
飼育中のザリガニの主な死因は、おおまかに以下の4点が挙げられます。
酸欠
ザリガニはエラ呼吸をしているため、水中に十分な酸素が必要です。
こまめな掃除をしなかったりエアレーションなどで適切なろ過が行われない設備で飼育しているなどして、水中の酸素が少ない環境におかれるとザリガニの寿命は大幅に縮んでしまいます。
そのような状態でエネルギーを消費する脱皮を行った場合、そのまま力尽きることも多いです。
共食い
ザリガニの体の大きさが極端に違うと小さい個体が攻撃され、共食いされるリスクが高まります。
また、同じ水槽内に多くのザリガニを入れる事は共食いに加えて、酸欠に陥る可能性も高まります。
冬眠失敗
変温動物であるザリガニは水温がおよそ10度以下になると冬眠に入ります。
冬眠できる生き物であっても、冬眠に失敗することはよくあることです。
冬眠に失敗するとそのまま死んでしまうリスクが高いので、活動しやすい15~25度を保ってあげましょう。
脱皮失敗
脱皮を繰り返すことでザリガニは成長していきます。
しかし、この作業は体力を大幅に消費するため食事や栄養が足りていないと途中で力尽きる可能性があり、まだ固まっていない体を外敵に攻撃されることでダメージを負う可能性があったりと命がけの作業でもあります。
【脱皮のサポートは必要?】
脱皮の前兆として食事を摂らなくなるので、日頃からバランスよくエサを与えて健康状態を良好に保ちましょう。
ちなみに市販のザリガニ用のエサには必要な栄養が配合されているので、健康を保つためといって、特別な餌を用意する必要はありません。
ザリガニが死ぬ前に見せるサインは?
普段から観察して体調不良に気付くことができれば事前に対策できる可能性もあります。
では、ザリガニは死ぬ前にどのようなサインを見せるのでしょうか?
エサを食べなくなる
当然ながら、体が弱るとザリガニはエサを食べなくなってしまいます。
体が弱る主な原因には水温が適切でない、水質が悪い、酸素不足といった環境面の問題も多いです。
また、脱皮前や単にエサに飽きてしまっている場合でもザリガニの食欲が落ちることがあります。
いつもと違ったところはないか普段から様子をしっかりと見てあげることが大切です。
横たわっている
この「横たわっている」には二つの意味があります。
【手足を投げ出している】
一つは手足を投げ出してひっくり返って倒れているような状態。
この場合は体を支えられないほどに弱っている状態のため、死が迫っている可能性が高いです。
【水面で横向けになっている】
水面に向けて横向きになっている場合は、体に酸素を取り込むためにやっている場合もあります。
この場合は近づいた際に逃げる・隠れるなど元気な様子が確認できる場合も多いです。
しかし、頻繁にこの様子が確認できる場合は酸欠の可能性を疑い、対策を考えるのがおすすめです。
動かなくなった
ザリガニが動かなくなった場合は、まずその原因を考えてあげましょう。
【弱っている、もしくは瀕死の状態】
まったく動かない場合は、弱って動かない可能性を考えましょう。
ザリガニが弱ってしまう原因は水槽の中だけではなく、水槽の周りにある場合もあります。
ザリガニや魚類は殺虫剤に含まれる成分に弱いです。
そのため、水槽の近くで害虫駆除を行うことで水槽内に悪影響を与えることもあるようです。※1
※1 参考サイト
「「殺虫剤シュッ」で水槽の魚が全滅 蚊やハエ退治のはずが悲劇に」livedoor News
水温が適切ではない
水温がザリガニに適していないと、ザリガニの寿命を縮めてしまうこともあります。
【水温が低すぎる】
水温が10°以下になるとザリガニは冬眠状態になります。
一見すると死んでいるようにも見えますが、体の状態に問題がなければ心配ない場合も多いです。
冬眠しているとわかったら、水槽内の環境を整えながら見守ってあげましょう。
【水温が高すぎる場合は危険信号】
ザリガニは水温が30°を超えると急激に弱り、いずれ死に至ります。
水槽は直射日光を避けるのはもちろん、あまり水温が変化しない場所に置くようにしましょう。
ザリガニの元気が無い場合はどうすればいい?
原因を問わず、ザリガニが動かなくなったら「近づいた時に反応するか」を確認するのがおすすめ。
もし反応がない場合は持ち上げてみて、手足が力なくぶら下がっている場合は死が近づいています。
悲しいですが、お見送りの準備を進めてあげましょう。
ザリガニの見送り方はどうすればいい?
どれほど手を尽くしても仕方のない場合もあります。
その際にはきちんと供養してあげましょう。
やってはいけない見送り方
ザリガニを見送る際は「私有地以外に埋める」「川に流す」ことの2つはNGです。
動物の遺体は廃棄物として扱われるため、不法投棄で罰せられる可能性があります。 ※2
【埋める場合は私有地で行う】
公園や他人の土地に動物の遺体を埋めるのは法律違反です。
埋めてあげたい場合は、私有地で行うようにしましょう。
筆者は幼少期の頃ザリガニが好きで、捕まえてきたザリガニを家で飼育し、亡くなったザリガニは庭の花壇に埋葬していました。
このように、お庭がある場合はそこに埋めてあげるのがおすすめです。
【川・池などに流すのもNG】
川に流すことも「不法投棄」として法律違反になります。
また、川にザリガニの遺体を流すことは、その遺体に付いていた寄生虫や病気を自然にばらまくことにもつながります。
環境保全のためにも、飼育していたザリガニは別の方法で見送ってあげるようにしましょう。
※2 参考サイト
昭和四十五年法律第百三十七号 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
ザリガニの正しい見送り方
ザリガニを見送る際は「自然に悪影響を及ぼさない」「法律違反をしない」という2点が重要です。
その条件を満たすのは「ゴミとして出す」「火葬してもらう」ことの2点です。
【ゴミとして出す】
少し心が傷みますが、自然に悪影響を及ぼすことなくお見送りできる方法の一つです。
特に庭がないマンションや集合住宅で暮らしている方には有効な選択肢です。
ザリガニが安らかに眠れるようにお祈りしてから、布などに包んでゴミに出してあげましょう。
【火葬してもらう】
ペット火葬業者に依頼すれば、犬や猫と同じようにザリガニを火葬してもらうこともできます。
業者の中には火葬に加えて読経やメモリアルグッズの作成など、供養までサポートしてくれます。
ゴミとして出す事に抵抗がある場合や、きちんと弔ってあげたい場合に有効な選択肢です。
ザリガニは火葬できる?
結論から言えば可能ですが、哺乳類のように骨は残らず、そのまま灰になってしまいます。
それでも火葬で供養してあげたい場合は「自力での火葬」「ペット火葬業者への依頼」の2種類が選択肢として挙げられます。
自力での火葬
自力で火葬する場合は安全に高火力が出せる設備が必要ですが、ご家庭に焼却炉を設置するには事前に自治体への申請が必要です。
また、法定基準を満たして製造されたものでなければならないため、設備がない方のほうが多いです。
何より発生する臭いや舞い散った灰が周辺の敷地に拡散してトラブルに発展する可能性を考えれば、自宅での火葬はやはり難しいものがあると言えます。
ペット火葬業者への依頼
ペット火葬業者はおよそ1,000度の火力が出る専用の火葬炉を用いて火葬します。
その際に発生する有害物質・臭いを含む煙も高熱で分解して無煙・無臭にして排出されます。
このように、安全性と確実さを両立できる方法と言えます。
また、火葬日時を自由に指定できるのもポイント。
ザリガニの遺体は傷むと悪臭を放つため、早めに火葬できると安心です。
ザリガニを安全に火葬するには?
火葬での供養を望まれる場合は専門のペット火葬業者に依頼するのがおすすめ。
ペット火葬サービスは犬や猫、鳥類など大型の動物専門と思われがちですが、業者によっては熱帯魚・ヤドカリなど小型の水生生物の火葬に対応してくれるところもあります。
ザリガニも対象に含まれるか質問してみるのも一つの手です。
ザリガニを長生きさせるための工夫とは?
ザリガニは生命力が強い生き物ですが、長生きしてもらうためには飼育方法にも工夫が必要です。
新しいザリガニを迎える方や、今飼っているザリガニをより長生きさせたい方も参考にしてください。
足場を作っておく
ザリガニは水中の酸素が少なくなると水面に浮きあがって酸素を取り込む習性があります。
足場を作り、水面まで自力で上がれるようにしておかないと溺れて死んでしまう可能性があります。
しかし、水中に酸素が足りていればいいので、エアレーションなどの設備があるなら心配は無用です。
フタをする
ザリガニは水槽の設備をよじ登って脱出することも多いです。
その後発見が遅れると水に戻してもそのまま死んでしまうケースが多いため、脱出できないようにフタをしておくと安全です。
水槽を分ける
ザリガニに長生きしてほしいなら、ひとつの水槽で複数のザリガニを飼うのは避けましょう。
ひとつの水槽につき1匹という環境にすることで、「エサの取り合い」「弱っている時(脱皮前後など)の衝突や攻撃」「共食い」といったトラブルを防ぐことができます。
日頃からよく見ておく
ザリガニは物陰に隠れるのが好きな習性があります。
犬のようになついてこちらを視認すると出てくるといったようなこともしないため、姿が見えなくても別に気にすることはありません。
しかし、あまりに長い間姿が見えないという場合には「どこか具合でも悪いのではないか」と心配してあげるのも大切です。
ペットとして大切に飼育している以上は当然のことではありますが、異変に早く気付いてあげられればザリガニの寿命は大幅に伸びるのは確かです。
また、背中と尾の境に白い筋が見られるなど、脱皮の兆候が見られたら水槽内で混泳している生物に邪魔されないように水槽内で仕切りを作って隔離してやるなど、状態に合わせて適切に対処してあげましょう。
まとめ
ザリガニが死ぬ前は「エサを食べない」「動かない」など、体調を崩していることがわかる場合も多いです。
そのため、ザリガニが調子を崩している場合は、水温の調整など飼育環境を見直すようにしましょう。
そして、残念ながら亡くなってしまった場合はお見送りの準備を整えてあげましょう。
その際は遺体を私有地以外の場所に埋めたり、川に流したりしないようにしましょう。
周囲の環境に悪影響を与えたり、不法投棄として罰せられる可能性があるためです。
ザリガニを見送る際にはこれまでの感謝を込めて「業者に依頼して火葬」「お祈りしてからゴミに出す」など、遺体を自然に出さない方法を選びましょう。