愛嬌のある顔と鮮やかな体の色が人気のカメレオン。
飼育は大変難しいですが、その分愛情をかけてお世話してあげることで様々な行動や仕草を観察することができます。
今回はカメレオンが死ぬ前に見せるサインや、死因に繋がりやすい病気についてご説明いたします。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
カメレオンの寿命は?
カメレオンの寿命は平均で5~8年程度です。けれども生きている餌しか食べず、ストレスで体を壊しやすいカメレオンは飼育が難しく、お迎えをして3年以内に命を落としてしまうことが多いと言われています。
10年以上長生きするカメレオンもいれば、ラボートカメレオンという種類のカメレオンは5カ月で寿命を迎えるなど、種類によって寿命は大きく異なるようです。
カメレオンが死ぬ直前に見せる行動とは?
死ぬ直前のカメレオンは健康なときよりも体の色がくすんでしまったり、暗い色に変色するため、体の色を見ることで死が近づいていることに気付くことができます。
また、死ぬ直前のカメレオンは握力が弱くなってしまい、木の枝や飼い主の手から落下してしまうことがあります。
目を閉じてじっと動かない場合も体調を崩しているサインです。長時間眠っているように目を閉じて動かない場合は、速やかに動物病院に連れていきましょう。
カメレオンの死因に繋がる怪我や病気とは?
カメレオンは極端な寒暖差に弱く、臆病な性格でストレスに弱いため、すぐに体調を崩してしまう生き物です。
また、自分で体の不調を知らせることができないため、飼い主がカメレオンの病気に気づかず、悪化させて死なせてしまうことも多いです。
落下
カメレオンは木の上でじっとしていることが多いですが、落下によって命を落とすことがあります。
カメレオンを手に乗せていたり、カメレオンが驚いてジャンプした瞬間に足を滑らせ、落下の衝撃で内臓を損傷する事故は少なくありません。
火傷
カメレオンにとって快適な室温を保つために、ケージの中に保温球を設置する必要がありますが、この保温球によってカメレオンが火傷をしてしまうことがあります。
保温球に金網やカバーを被せていても、カメレオンが足や尻尾をひっかけ、火傷を負ってしまうことがあります。
火傷をしていることに気付いたら、化膿する前にできるだけ早く獣医師に診てもらいましょう。火傷に気付かず放置をしていると、感染症を引き起こし命を落としてしまう恐れがあります。
マウスロット
カメレオンを含む爬虫類は生きたゴキブリやコオロギを食べるため、虫が暴れたことによって口が傷付き、口内炎を発症することがあります。この口内炎をマウスロットと呼びます。
マウスロットが直接死因となることはありませんが、口元が腫れたり壊死したりすることによって食欲を失い、餓死する原因になります。
人間の口内炎とは違い、カメレオンのマウスロットは自然治癒することは滅多にありません。獣医さんに診察してもらえれば治癒しやすい病気ですので、悪化しないように速やかに治療を受けましょう。
カルシウム不足
室内で飼育するカメレオンは日の光を十分に浴びることができず、カルシウムの吸収を促進するビタミンDを上手く生成できません。
そのため、骨が曲がったり、薄くなったりして骨折をおこしやすくなります。骨が折れて上手く歩けなくなったカメレオンは餌を上手く食べることができなくなり、栄養失調によって死んでしまいます。
カメレオンにカルシウムを摂取させるためには、日光浴や爬虫類専用のサプリメントを与える必要があります。
脱水症状
容器に入れられた水を飲まないカメレオンは、脱水症状によって命を落としてしまうことが多いです。
目が窪んでいたり、体重が急激に落ちている場合は脱水症状の可能性があります。
軽度の脱水症状であれば水を与えれば回復しますが、重度の場合は入院が必要になる場合があります。
カメレオンを長生きさせる方法は?
カメレオンを長生きさせるためには、飼育環境を整えてストレスを減らしてあげることが重要です。
動く餌、水を与える
カメレオンは動く餌にしか興味を持ちません。そのため、生きたコオロギやゴキブリなどを与える必要があります。
また、カメレオンは静止した水を飲まず、したたり落ちる滴や揺れる水面で水分補給をします。
そのため、水を飲ませるためには霧吹きをしたり、エアレーション機能のついた水入れで水を動かす必要があります。
水不足に陥ると上手く餌をとれず、栄養失調で死亡してしまうことが多いため、水が上手に飲める工夫は欠かせません。
適切な室温管理をする
熱帯に生息していたカメレオンは寒さに非常に弱いです。反対に高地で生息していたカメレオンもいるため、暑さに弱い種類も存在します。
日本の暑さや寒さには耐えられない種がほとんどですので、常にエアコンを稼働させて適切な室温を保ちましょう。
なるべく体に触らない
カメレオンはストレスに弱い動物です。犬や猫は触ってあげると喜んでくれますが、カメレオンにとってはストレスの原因となり、寿命を縮めてしまう恐れもあります。
大切に育てているカメレオンを撫でたり連れて歩きたくなることがあるかもしれませんが、ぐっと堪えて必要なとき以外はケージの外で見守るだけにしましょう。
カメレオンは火葬できる?
カメレオンやトカゲなど、爬虫類の火葬もペット火葬業者に依頼すれば対応してもらえます。ただし、合同火葬の場合は遺骨が返ってこないため、カメレオンは個別火葬でお別れをすることがおすすめです。
お住まいの地域に火葬場が無い場合は訪問火葬を利用し、ご自宅の近くまで火葬車に来てもらいましょう。
カメレオンの安置方法
火葬車が到着するまで、ご遺体はきれいな布やビニール袋で包み、保冷剤を使って体を冷やしてあげます。
カメレオンが大好きだった餌や植物を一緒に入れて火葬してもらうこともできますので、お棺の中に一緒に入れてあげましょう。
火葬以外の供養方法
小さなカメレオンであればご自宅でプランター葬をしてお別れをすることもできます。
プランター葬儀はいつでもペットのお墓参りができ、マンションにお住まいの方などご自宅にお庭が無い場合でも供養ができる埋葬方法です。
カメレオンの体がすっぽり収まるプランターを用意し、園芸用の土と腐葉土を混ぜて入れ、ご遺体を埋めてあげます。
しかし鳥やアライグマなどの動物に掘り起こされたり、異臭や虫が発生することがありますので、プランターに埋めた後は放置をせず、確認を兼ねて定期的にお墓参りをしてあげましょう。
まとめ
カメレオンはストレスや寒暖差に弱く、初めて飼育する方は長生きさせることができずに死なせてしまうことが多いようです。常にカメレオンが過ごしやすい飼育環境を保ち、色がくすんできたりじっと動かなくなった場合は速やかに動物病院に連れて行くようにしましょう。
また、獣医師や実際にカメレオンを飼育している人に長生きさせる方法について相談してみるのも良いでしょう。