大切なペットちゃんとお別れをするのは悲しいもの。しかし、ペットちゃんとの別れを惜しみ、悲しみと向き合うのは、ペットロスを乗り越えるために大切な時間です。
今回は、ペットちゃんを自宅で供養する場合の祭壇を作る方法をご紹介します。祭壇を作って毎日供養をすることで気持ちを整理しやすくなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
祭壇を作るときに必要な物
祭壇を作る際に、必要な物が3点あります。ペットちゃんのために、きれいに飾り付けてあげましょう。
①好みの布
布は遺骨や写真を置くためのものですので、きれいなものを準備しましょう。一般的に白い布を使用しますが、ペットちゃんをイメージした布など好きな色を選んでも問題ありません。
②生花か造花か
花は生花でも造花でも、どちらでも構いません。取り替えるのが大変でなければ生花を、大変な方は造花を供えるといいでしょう。備える花も好みで選んで構いませんが、花の名前に似合わず、怖い意味の花言葉を持つ花もありますので、花言葉を気にする方は事前に調べておくようにしましょう。
③写真やおもちゃなどの思い出の品
写真は遺影、おもちゃは形見です。心の拠り所とするために、置いておくといいでしょう。また、写真やおもちゃだけではなく、ペットちゃんの好物や、ペットちゃんを連想するものを置いておくのもいいでしょう。
祭壇を手作りする方法
祭壇を置きたいところに布を一枚敷いて、その上に遺骨と写真を置けば簡易な祭壇になります。もう少し手を加えるのであれば、造花でアーチを作るなど、飼い主様の好みでアレンジしましょう。自分の好みに飾り付けるとオリジナル感が出るうえに、よく見える場所に飾れば生活に安らぎをあたえてくれます。
祭壇ではなく仏壇を自作したい方は、ホームセンターなどで売っているカラーボックスに、ネットで買える小さな扉を取り付け、その中に遺骨や写真、仏具などを置けば簡易的なものが作れます。
また、普段からDIYをしている方なら、ペットちゃんのためにイチから作ってあげるというのもペットちゃんと向き合ういい時間になるのではないでしょうか。何より、ペットちゃんをイメージした祭壇を作りたいのであれば、一から作るという手段はうってつけの方法と言えます。
祭壇の設置場所
祭壇の置き場所には、置くのに向いていない場所があります。できればその場所は避けましょう。ただし、ペットちゃんとの思い出の場所があるならば、下記に該当していても無理に囚われる必要はありません。あくまでも参考程度にしてください。
向いていない部屋
日光が直接差し込む場所や湿気の溜まりやすい場所は、絶対に避けましょう。日光が当たることによって祭壇が劣化する場合や、湿気が多い場所では温度差で遺骨にカビが生えてしまうことがあります。また、キッチンや玄関など調理後のゴミや外から入ってくる汚れなどで汚れる可能性があるような場所に置くことも避けるようにしましょう。お子様が小さい場合は、子供の手が届く場所も避けなければいけません。
また、風水を参考にする場合はトイレは不浄な気が出やすいとされているため、トイレのそばは避けるようにし、階段の下と就寝時に足が向く場所はペットちゃんを間接的に踏むことになりますので、できるだけ置かないようにしましょう。
そして何より、声の届かない場所や毎日顔が見られない部屋も避けるようにしてください。家族が集まらない、たまにしか入らない部屋は、ペットちゃんにとって家族を近くに感じず、寂しい気持ちになる場所だからです。
神棚との関係性を考える
祭壇を置くときは、神棚との関係性を考えておきましょう。
例えば、仏壇と神棚を向かい合わせになるように置くことは対立祀りと呼ばれ、手を合わせた時に、もう一方にお尻を向けてしまうことから避けることとされています。それに倣い、神棚に向き合うように仏壇を置くことは避けましょう。また、置き場所がなく、神棚の下に置かないといけない場合は、できれば位置を少しずらして置くようにします。これは、どちらに手を合わせているか分からないからなど、避けるべき事柄には必ず理由があります。置く前にきちんと確認しましょう。
適した場所
置くのに適した場所は、直射日光の当たらない、風通しのいい部屋ということになります。すなわち、人が集まり、声を掛けやすいリビングは祭壇を置くのに適しているといえるでしょう。また、和室に仏壇がある場合、その側に置いてもいいでしょう。昔ではよしとされていませんでしたが、最近ではペットちゃんも家族の一員として考えている方は多くいるので、仏壇近くに、ペットちゃんの祭壇を設置しても構いません。
作る際の注意点
祭壇を作る際には火災に注意しましょう。ろうそくや線香が倒れて火事になってしまったという事例は多くあるため、祭壇に置くときは「燃えやすいものを置かない」「火を点けっぱなしにしない」など注意しましょう。
ろうそくは倒れにくいように短めのものを使ったり、ろうそく立てを使ったりして、倒れないようにしましょう。できれば、電気式のろうそくにするほうが安全です。そして、線香は立てるのではなく寝かして焚くようにすると安心です。ちょっとした工夫で事故は未然に防げますので、安全な祭壇作りを心掛けましょう。
供養する
供養は特別なことをする必要はありません。供養で一番大切なことは「今までありがとう」という感謝の気持ちと、安らかに眠ってくれるように願う気持ちです。
日常の供養
日々供養をしなければいけないと気負う必要はありません。目が覚めてから、出かけるとき、帰宅したとき、就寝前など、普段家族と交わす挨拶をペットちゃんの祭壇に向けて、声をかけて手を合わせるだけでも供養になります。生前のペットちゃんに行っていたのと同じように声をかけてあげれば、ペットちゃんも寂しくないはず。また、水の交換やお花の交換もこまめに行いましょう。頻繁に交換ができないのであれば、お花はドライフラワーやプリザーブドフラワーなどでも構いません。
法要時の供養
四十九日やお盆といった法要のときは、普段よりもペットちゃんと向き合う時間をとりましょう。水やお茶などの飲み物、ペットちゃんの好物だったものをお供えすることも忘れずに。線香を焚いて、ろうそくを灯し、お経をあげる。もしくは、おりんを鳴らして手を合わせる。そうして、ペットちゃんとの思い出を思い起こし、安らかな眠りを願うことが大切です。
まとめ
祭壇と一言で言っても簡易なものから少し凝ったものまでいろいろ種類があります。祭壇を作るのはペットちゃんとの思い出を振り返る時間にもなりますし、ペットちゃんへの贈り物にもなります。ペットロスに苦しんでいる方や、ペットちゃんへ感謝の気持ちを込めて何かをしてあげたいと思っている方はぜひ、ご自身で祭壇を手作りしてペットちゃんを供養してあげてはいかがでしょうか。