大切なペットちゃんとの別れ。自分にとって大きな存在を失うことで悲しみや苦しみの感情に強く支配されてしまうのは仕方のないことです。そんな辛い状況から少しでも早く立ち直るため、ペットちゃんの供養のために墓石を手作りしてみるのはいかがでしょうか。
今回はペットちゃんの墓石を手作りするのに必要な材料や作り方をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
「墓石を手作りする」理由
遥か昔「使役動物」として飼われ始めた動物は、時を経て「愛玩動物」となり、現代では「伴侶動物(コンパニオンアニマル)」と呼ばれて大切な家族として人間と一緒に暮らしています。
獣医療の発達やフードの栄養価の向上、ペットサービスの多様化などによりペットちゃんたちの平均寿命は年々延びているとはいえ、多くの場合は私たちより先に旅立ってしまいます。
「私のもとに来てくれてありがとう」「一緒に過ごしてくれてありがとう」そんな感謝の思いや深い愛情を込めて墓石を手作りすることは、きっとペットちゃんへの供養になり、そして自分自身の心の整理にも繋がるのではないでしょうか。
もちろん供養の全てを専門業者に任せるのも良い選択だと思います。どちらが良い、ということではありませんが、手作りしている時間はペットちゃんとの思い出や自分の気持ちとじっくり向き合うことができるため、感情を整理してまた前を向くための手伝いをしてくれるはずです。
ペットロスってどんな風になるの?
ペットちゃんの存在は家族と同じく、私たちの心の拠り所となっています。
その分、いなくなった悲しみによって心身共に不調を抱えるペットロス状態に陥る人も増えています。
ペットロスの症状とは
<精神面> | <身体面> |
---|---|
・不安感 ・集中力の低下 ・ネガティブになる ・罪悪感を持つ ・孤独感に苛まれる ・パニックを起こす ・幻覚を見る |
・食欲不振、過食 ・不眠 ・腹痛、下痢、便秘 ・勝手に涙が出る ・吐き気、頭痛、めまい、身体のだるさ ・難聴 ・蕁麻疹 |
上記のような症状が出ることがあります。
これらの症状は時間が経てば治まっていくものですが、もしいつまでも症状が治まらなかったり、むしろ酷くなったりする場合には病院で診察を受けるかカウンセリングを受けるなど専門家に相談するようにしましょう。
ペットロスを乗り越えるために
愛するペットちゃんを亡くした悲しみを抑えるのは容易ではありません。
しかし、無理に感情を抑えることはペットロスを重症化させてしまう原因になることもあります。
悲しみを乗り越えるためには次の2つのことが必要だといわれています。
①ペットちゃんの死を受け入れる
ペットちゃんの死を上手に受け入れるには、自分の中で区切りをつけてしっかりと向き合うことが何よりも大切です。
人が亡くなった場合にはお通夜や葬儀、初七日、四十九日など法要があり、家族と親しい人たちが集い、共に故人を偲ぶ場があります。
このように悲しみや辛さを人と分かち合うことは故人の死を受け入れるための助けになりますが、ペットちゃんの場合はそういった過程も無く、分かち合う人も少ないため、なかなかその死を受け入れるのが難しいです。
ペットちゃんの墓石やお墓を作って、ペットちゃんが眠る場所やお参りできる場所を作ることが、お別れを受け入れる一歩となることも多いです。
②感情や生活の変化に上手く慣れていく
ペットちゃんがいなくなってしまうと今までの生活のリズムに変化が生じます。
ぽっかりと開いてしまった心の穴と生活の中の時間、これらを墓石や位牌の中にいるペットちゃんと過ごす時間にすることで、少しずつ生活の変化に慣れていくことができます。
そのためにもペットちゃんの墓石やお墓を用意することはとても有効です。
ペットの墓石作りに必要な材料は?
実際に墓石を手作りするために必要なものについてお話ししていきます。
どのようなお墓を作るかによっても材料は変わってきます。
こちらではいくつかの例をご紹介しますので参考にしてみてください。
木碑(もくひ)
木で作られた墓石のことです。
材料:木片(好みのもの)・油性のマーカーなど・コート剤(油性ニスなど)
木で作るので加工しやすいのがメリットです。
ペットちゃんの名前や亡くなった日付を油性ペンで書き込む以外にも、彫刻刀などを使い彫り込むこともできます。
しかし庭などの屋外に埋葬する場合、経年劣化が早いというデメリットもあります。
石碑(せきひ)
石で作られた墓石のことです。
材料:表面が平らな石・油性のマーカーなど・コート剤(油性ニスなど)
削る・掘るなどの加工は難しいですが、庭などの屋外にお墓を作っても劣化しにくいのが特徴です。
石像型墓石
ペットちゃんの造形など形を自由に作れる墓石です。
材料:石粉粘土(・必要なら絵具など)・コート剤(水性ウレタンニスなど)
石粉粘土は石を細かい粉末状にしたものに接着剤のような薬品を混ぜたものです。紙粘土のように自由に造形できる上に、乾燥すると硬くなって削ることもできます。また紙粘土よりも固く、少し重さがあり、衝撃に強いのが特徴です。
ペットちゃんの姿や連想するものの形に自由に造形ができ、好みで色付けなどもできます。室内用に向いています。
金属・クリスタル墓石
金属やクリスタルに文字を刻んだ墓石です。
材料:金属またはクリスタル・レーザー彫刻機など
室内に置いてもオシャレなインテリアのように見えるので、人目を気にする必要がありません。
しかし、レーザー彫刻機などの専門機器は高価なのでコストが掛かります。もし作るなら市販の刻印サービスがあるものを購入するほうが良いかもしれません。
ペットのお墓の作り方
ペットのお墓作りに正解・不正解はありませんが、気を付けておきたいポイントはいくつかあるので、作り方と合わせてご紹介します。
庭などの屋外にお墓を作る場合
1:土葬場所を決める
自分や家族名義の土地であれば庭などに埋葬することができます。その際には小型の動物ならそのままの姿で埋葬できますが、大型の動物になるとまず火葬してから埋葬することが望ましいです。
ただし、賃貸やマンションにあるお庭は他人の土地になるので土葬できないことを覚えておきましょう。
2:庭のどこにお墓を作るか決める
大切なペットちゃんのお墓なので、人が通らない場所を選びましょう。また水はけの良い場所にすることで雨水が溜まったりしてお墓が荒れてしまうのを防げます。
土葬の場合、穴は最低でも1mくらい、お骨の場合は30~50㎝ほど掘りましょう。
これは他の生き物が掘り起こしてしまうことを防ぐため、また土に還っていく過程での臭いの問題を防ぐためです。
3:埋葬するときの注意
土葬をするときには土に還りやすいようにペットちゃんを綿や絹などの自然素材のタオルや布で包んであげて、火葬の場合も遺骨は骨壺から出して埋めてあげるようにしてください。
どちらの場合も土を高めに盛るようにしましょう。これはペットの遺体や遺骨が土に還っていく中で、穴を掘った部分がへこまないようにするためです。
4:墓石を用意する
ペットちゃんを埋葬した場所に墓石を置きます。こだわりたい方は線香立てや花瓶なども用意すると良いでしょう。
屋内にお墓を用意する場合
1:火葬する
ペット火葬の専門業者に依頼してペットちゃんを火葬してもらいましょう。
遺骨を返却してもらえるかはプランや業者によっても違うので事前に確認しましょう。
2:墓石を用意する
骨壺のまま、墓石と一緒に置いて仏壇代わりにすることもできますし、市販のペット用の仏壇も購入することができます。
その他の方法
・マンションに住んでいるなどの理由からベランダでペットちゃんの供養をしたい場合にはプランター葬もおすすめです。遺骨をパウダー状にして土と混ぜ、お花を植えて供養するのです。そこにペットちゃんの墓石を置いてあげましょう。
・常に身近にペットちゃんの存在を感じていたい人は遺骨をパウダー状にしてペンダントに入れて身につけるなど手元供養も手です。
まとめ
ペットロスの症状と悲しみを受け入れて、立ち直る方法として墓石を手作りすることの有効性をご紹介しました。
いつかは必ず訪れる、愛するペットちゃんとの別れ。だからこそ、きちんとした形で供養し、ペットちゃんの生きた証を作ると共に、自分自身も癒す術として心に留めておいてください。