飼い主様の中には「ペットちゃんと同じお墓に入りたい」と考える方も多いのではないでしょうか。そのニーズに応えて、ペットちゃんの埋葬方法にもたくさんの選択肢が増えています。
その中でも、樹木葬は「霊園での埋葬に比べて費用が抑えられる」と注目を集めています。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
樹木葬とは
樹木葬は人間の供養でも注目を集めている供養方法です。
この章では樹木葬の特徴とお墓との違いをご紹介します。
墓石の代わり
従来のお墓は埋葬した後、墓石を建てお墓を作りますが樹木葬の場合は樹木がお墓になります。目印となるものは、花や草木・芝生などもあり霊園によってスタイルは様々です。
一代限り
樹木葬のほとんどは、一代限りの個人墓となります。継承の必要もありません。
樹木葬の種類
一口に樹木葬と言ってもいくつか種類があります。この章では樹木葬の種類をご紹介します。
お墓の種類
樹木葬の種類は大きく分けて三つに分かれます。また、ペットを埋葬してくれることができる施設では、オプションとしてペットと一緒に入れてもらうことも可能です。ペットと一緒に眠りたい方にとって嬉しいサービスと言えます。
公園型
公園型は人工的に自然を再現しており、アクセスのいい都会の中に施設があることが多いです。自宅から通いやすい場所に埋葬したいと考えられている方に選ばれています。
里山型
里山型は自然に還すという意味で、自然と一体になるように埋葬されます。山林など自然を活かした場所にある霊園やお寺が多いです。そのため、都心から離れた場所にあることも多いですが、環境のいいところにゆっくりと眠らせてあげたいと選ばれている方におすすめです。
ガーデン型
ガーデン樹木葬は個別に墓石を建てて、その周りに緑やお花を植えるというタイプです。墓石を建てるタイプになりますので、墓石代が必要になる場合もあります。
飼い主と一緒に入る
飼い主様と一緒に入ることができるオプションがある霊園もあります。
ただし、飼い主様と一緒に入るお墓は基本的に一家族のみとなる事に加えて、埋葬場所の規約も確認するようにしましょう。
埋葬方法
埋葬方法は三つの種類があります。それぞれ詳しく説明していきます。
埋葬する穴は個別に与えられる場合と、複数のお骨と混ぜる場合の2通りありますが、取り出すことができないところも多いことを覚えておきましょう。
個別型
ペットちゃんを個別で埋葬する方法です。家族ごと(1区画ごと)にシンボルツリーが植えられます。
集合型
区分け型とも呼ばれ、一本の木を中心にプレートなどで明確に区間が分けられていることが特徴です。
合祀型
他のペットちゃんや他の人と一緒に、シンボルツリーの根元に埋葬されます。
メリットとデメリットについて
樹木葬は従来のお墓とどのような違いがあるのでしょうか。この章ではメリットとデメリットについて詳しくご紹介します。
メリット
費用が抑えられる
お墓を建てる場合は墓石を購入しないといけませんが、樹木葬の場合は墓石や工事等の費用が不要です。種類によってはプレートなどを購入しないといけない場合もありますが、お墓を建てる場合に比べて費用は安くなります。
永代供養ができる
樹木葬は永代供養がついていることがほとんでです。
そのため「お墓を見てくれる人がいない」と管理について心配な場合でも安心です。
宗教・宗派を問わない
基本的にどの宗教でも問題なく利用できるため、無宗教の方も安心して埋葬することが可能です。
自然に還すことができる
ペットちゃんが生きた証を残しつつも、自然に還してあげたいという飼い主様に向いています。
デメリット
遺骨を取り出せない
基本的に後から遺骨を取り出すことはできません。家族で相談しよく検討してから納骨しましょう。
管理ができない
樹木葬の場合、樹木やお花の管理は個人ではなく管理人がしてくれることが多いです。ご自身での手入れや、お花を変えたりすることはできないため、どのような手入れをしているのか事前に確認しましょう。
一般的な供養ができないことも
樹木葬の場合は線香やろうそくなどの火を使うものや、野生の動物に荒らされないよう食べ物のお供えができないなど、お供えに制限があることもあります。お供えに関する規定を事前に確認しておきましょう。
交通が不便なことも
ペットちゃんの樹木葬を行っている場所は、都会から離れた自然が多い場所にあることも多いです。ご自宅から離れ交通が不便な場合もあるため、定期的にお参りしたい場合はできるだけ通いやすい場所を選ぶといいでしょう。
樹木葬の費用相場
費用は従来のお墓に比べ抑えられると紹介しましたが、実際はどのような費用が発生するのでしょうか。この章では、樹木葬にかかる費用の項目についてそれぞれ詳しく解説します。
埋葬・工事
遺骨を埋葬する際にかかる費用です。墓石を建てる場合は工事費などもかかります。
樹木・プレートなど
遺骨を納骨した際に目印としておく樹木やプレートの費用がかかります。
霊園使用料
その名の通り霊園を使用する料金です。霊園や樹木の手入れ費用も含まれます。
永代供養代
遺骨の供養を行ってくれる費用です。
個別型の場合でも一定の期間が過ぎると合祀され、永代供養されることがほとんどです。
自宅で樹木葬をする方法
ここまで樹木葬について詳しくご紹介し、ある程度理解してもらえたのではないでしょうか。
この章では「自宅で樹木葬をしたい」いう方のために、自宅で供養する方法についてご紹介します。
①ペットちゃんを火葬
ご自身でペットちゃんの遺体を火葬することは法律で禁止されています。火葬する際は必ず火葬業者に依頼しましょう。また、合同火葬の場合は遺骨が返ってこないため、個別火葬を依頼して遺骨を返却してもらう必要があります。
②遺骨を土に埋める
掘った穴に遺骨を入れて、少し山になるように高めに土を被せます。
遺骨を埋葬する場所は日当たりがいい場所を選びましょう。
③種・苗を植える
戻した山を避けて、周辺に種・苗を植えます。
芽が出たらわかるように、石や木などの目印を置きます。
まとめ
樹木葬は「ペットちゃんと一緒のお墓に入りたい」「費用を抑えてきちんと供養したい」「後継者がいない」といったご要望がある飼い主様にピッタリな供養方法です。
ただし、霊園によっては対応が異なることもありますので、細かな対応は霊園に確認するようにしましょう。また、一度埋葬してもらうと取り出せないことも多いため、きちんと家族と話し合って後悔のない供養にしてください。