熱帯魚が死ぬ前の予兆を見逃さないためには?病気や事故に注意

飼っている熱帯魚の様子がいつもと違うことに気付いたら、「病気ではないか」と不安に思うはず。

特に感染症の疑いがある場合は、水槽内の他の魚も心配になるのではないでしょうか。

このページでは熱帯魚がかかる病気の見分け方を紹介。

特に「体表に斑点のような模様が浮かんでいる」「ヒレやウロコがおかしい」など見た目に異変がある場合は要注意です。

取り返しがつかない事になる前に、治療・通院するための参考にしてください。

この記事の監修者

高間 健太郎(獣医師)

高間 健太郎
(獣医師)

大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。

熱帯魚が死ぬ前の予兆

熱帯魚が死ぬ前の予兆を見逃さないためには?病気や事故に注意

熱帯魚が死ぬ前には、見た目に変化が現れることも多いです。

「体の異常」「ヒレ・ウロコの変形」など見た目の変化

死ぬ前の熱帯魚には「体色の変化」「ヒレ・ウロコの変形」などの異常が現れることもあります。

【体異常ている】

体に白い斑点や粒のようなものが現れたら、白点病の恐れがあり、黄色っぽい斑点が細かく大量に付いている場合はコショウ病の可能性があります。

どちらも寄生虫の感染が原因のため、水槽内で広まっている可能性が高いです。

症状を確認したら早めの対策が必要です。

【ヒレの変化】

「ヒレが白く濁っている」「赤く充血している」場合は尾ぐされ病・口ぐされ病の疑いがあります。

症状が進むとヒレ全体や尻尾が白く濁り、裂けていきます。

【ウロコの変化】

「ウロコが逆立つ」「赤く充血して見える」場合は松かさ病・穴あき病の疑いがあります。

病気が進行するとウロコが抜け落ちて筋肉が露出します。

元気が無い

死ぬ前の熱帯魚は元気を無くして「動かなくなる」ほかに「エサを食べなくなってやせ細る」など見た目にも変化が現れることがあります。

【動かなくなる】

死ぬ前の熱帯魚は動かなくなることがほとんどです。

水葬の底でじっとしていることが増えたら、寿命が近づいているサインかもしれません。

【エサを食べなくなってやせ細る

寿命が近づくとエサを取るエネルギーも少なくなります。

そのため、死ぬ前の熱帯魚はエサを食べなくなることが多いです。

また、必要な栄養を取れなくなったことで痩せてしまったとも考えられます。

水槽内でのケンカなど、ストレスが原因である可能性も考えてみましょう。

ケガをしている

熱帯魚は水槽の中で事故にあってケガをすることもあります。

ケガした部分が原因で病気になる、最悪の場合はそのまま死ぬこともあるため注意が必要です。

【設備が原因の事故】

エアーポンプやレイアウトの石などに魚が挟まることが原因でケガに繋がることも。

また、魚の種類によっては水槽から飛び出すこともあり、発見が遅れると体が傷つくこともあります。

【他の魚とのケンカ】

1つの水槽で複数の魚を飼っている場合、魚同士がケンカしてお互いにケガをすることもあります。

ケガが原因で死んでしまうことに加えて、魚がストレスを抱えてエサを食べなくなることもあります。

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熱帯魚が死ぬ前の予兆を見つけた際の対策方法

熱帯魚の病気やケガに気付いた場合は、早めに対処してあげましょう。

症状を把握し、自力で治療する

犬や猫と違い、熱帯魚は診察してくれる獣医さんが少ないです。

まずはお住まいの地域に熱帯魚を診てくれる動物病院があるか検索してみるのがおすすめです。

【病院が近くに無い場合は】

熱帯魚を診察してくれる病院が近くに無い場合は、症状を見て自力で治療するのもおすすめです。

まずは熱帯魚に現れている不調や症状を見て、ネットで検索してみましょう。

治療方法や市販の薬品を用いた治療の例などがたくさん見つかるはずです。

「原因がわからない」「どの薬が効くのかわからない」という場合は、写真を撮って熱帯魚専門店で治療方法のアドバイスを受けるなどの方法もおすすめです。

体に異常が出ている場合の対策方法

体に斑点が浮かび上がる「白点病」「コショウ病」の疑いがある場合は、寄生虫の対策が必要です。

【白点病の場合】

白点病の原因となる寄生虫は水温を少しづつ上げて、30℃ほどにすることで魚から離れていきます。

その後、水を半分程度取り換えて水槽内に治療薬を投入して、寄生虫を駆除します。

【コショウ病の場合】

コショウ病の原因となる寄生虫ウーディニウムに有効な治療薬を選び、薬浴※1させます。

※1 発症している魚を隔離して、薬を混ぜた水の中で数日ほど過ごさせること。

また、ウーディニウムには光合成する種類もいます。

薬浴後に太陽の光を当てないようにすることが効果的な場合もあります。

ヒレ・ウロコに異常が出ている場合の対策

水槽内への感染の拡大や魚への二次感染を防ぐために、早めに治療してあげましょう。

【ヒレの傷みの対策】

ヒレが傷んでいる「尾ぐされ病」「口ぐされ病」の対策にも薬浴が有効です。

しかし、発見と対処が遅れた場合、傷んだヒレや尾が再生しなくなる場合もあります。

症状を発見したら、すぐに対策してあげましょう。

【ウロコの傷みの対策】

ウロコが傷む「松かさ病」「穴あき病」の場合は水替えと薬浴で対策します。

また、症状が進んだ穴あき症はミズカビなどの二次感染を防ぐことも大切です。

必要に応じて薬を用意してあげましょう。

・原因に応じて水温を調整

症状とその原因によって対策方法が変わるため、よく確認するようにしましょう。

例えば、松かさ病の原因となるエロモナス・ハイドロフィラは25~30℃ほどの気温を好むため、22℃ほどの低温にすることが有効です。

対して、穴あき病の原因となるエロモナス・サルモニシダは低温を好むため、水温を30℃ほどに上げることが有効です。

魚の元気がない

魚が元気を無くして水槽の底に沈んでいる場合は、すでに寿命が近づいている場合も考えられます。

見た目に変化がないか、エサに興味を示すかを確認しましょう。

【お見送りの方法も意識しておく】

熱帯魚が体調を崩して回復が思わしくない場合は、お見送り方法を考えておくようにしましょう。

筆者が飼育していたスネークヘッドは、前触れなく突然死しました。

見送りの準備はしておらず、体長20cmほどの遺体をどうやって弔うか迷ったことを覚えています。

ペットちゃんとは必ず別れの日が来るもの。

筆者のように慌てないため、気持ちの余裕があるうちに見送り方も考えておくことをおすすめします。

熱帯魚の見送り方は「火葬」「埋葬」「プランター葬」がおすすめです。

次の章で詳しく紹介します。

熱帯魚が死んだ後にやること

熱帯魚が亡くなってしまったあとはどのように対応すればいいのでしょうか?

この章では熱帯魚が亡くなってしまったあとに、してあげられることを順番にご紹介します。

安置までにすること

熱帯魚が亡くなっていることに気付いたら、まずは水槽から遺体を取り出しましょう。

①水槽から遺体を引き上げる

熱帯魚の遺体は死後、水中で少しづつ分解されていきます。

その際には水槽内の環境が悪化して水槽内の他の魚や水草に悪影響を与えるだけではなく、遺体がボロボロに崩れてしまいます。

そうなる前に、遺体の早めの回収が大切です。

②遺体を安置する

熱帯魚の遺体は乾燥しないように、濡らしたキッチンペーパーやタオルなどで包みます。

手入れが終わったら、棺に遺体を安置します。

サイズ次第ですが、タッパーなど防水性がある入れ物を棺代わりにするのがおすすめです。

供養方法を考える

遺体の安置が完了したら、供養方法を考えます。

熱帯魚の供養方法は「お庭への埋葬」「プランター葬」「火葬」の3つが挙げられます。

選ぶ際は熱帯魚の種類や体のサイズに応じて判断するのがおすすめです。

【お庭への埋葬】

お庭など所有している土地に遺体を埋葬する供養方法です。

ペットちゃんを身近に感じられる方法ですが、不法投棄の罪に問われないように、必ず所有している土地で行いましょう

体の小さいネオンテトラやコリドラスはもちろん、準備に手間は掛かりますがアロワナなど大型の熱帯魚の供養にも向いています。

【プランター葬】

遺体をプランターに埋める供養方法です。

庭が無くても埋葬できる方法として、マンション暮らしの方にもおすすめできます。

特に、アカヒレやグッピーなど小型の熱帯魚の供養方法に向いています。

【火葬】

人間と同じように火葬する供養方法です。

サイズを問わず依頼できるうえ、返骨してもらってお骨の状態で埋葬するなど、希望する供養方法のサポートにもつながります。

熱帯魚の火葬には「火葬業者への依頼」の他に「燃えるゴミに出す」方法もあります。

詳しい解説はこちらのコラムで行っています。

もう一度熱帯魚を迎える場合の注意点

熱帯魚は生活に潤いと癒しを与えてくれます。

もし魚のいない生活が寂しくなったら、以下のポイントに注意して新しい出会いを探してみるのもおすすめです。

【水槽の環境見直す

熱帯魚の種類に合わせて、水温や水質を安定させてからお迎えしましょう

特に松かさ病や尾ぐされ病などの病気が流行した水槽は注意が必要です。

魚がすべていなくなった場合は、一度水槽内の水や設備をすべて抜いて整備し、水槽の環境をリセットしてもう一度立ち上げることも検討しましょう。

【飼育環境見直す

新しく魚を迎える前に、水槽の置き場を考え直すのもおすすめです。

特に、以下のような場所に水槽を設置していた場合は、この機会に設置場所を見直してみましょう。

水槽の置き場所に向かない場所理由
直射日光が当たる場所コケの原因になる
ドアのそばや振動が伝わる場所魚のストレスになる
本棚など強度の無い台の上台の破損で思わぬ事故が起こることがある
災害の際に危険な場所水漏れや倒壊の危険がある

新しく出会った魚が快適に暮らせるように、まずは環境を整えてあげてください。

熱帯魚の平均寿命

熱帯魚の種類によっては10年以上生きる種類もいます。

きちんと面倒を見て、最期を迎えた際にはしっかりと見送ってあげられるようにしましょう。

新しい家族として熱帯魚を迎え入れる際はこちらの平均寿命を確認して、ライフスタイルにあった種類を選ぶのがおすすめです。

熱帯魚の種類寿命
・グッピー
・ネオンテトラ 
・アカヒレ
1~2年程度
・ベタ
・アベニ―パファー
・コリドラス
3~4年程度
・エンゼルフィッシュ(5~7年)
・カクレクマノミ(5~10年)  
・プレコ(5~10年)
・アロワナ(10~30年)
5年以上

まとめ

熱帯魚にいつもと違う様子が見られたら、病気や体調不良を疑いましょう。

特に「体に白、もしくは黄色い斑点が浮かんでいる」「ヒレやウロコが傷んでボロボロになっている」場合は要注意です。

ご自身で治療してあげるか、熱帯魚を診てくれる病院で診察を受けることをおすすめします。

また、寄生虫が原因の病気だと判明した場合は、水槽内で感染が拡大していることも考えて、他の魚の様子もしっかりと見てあげましょう。

この記事の執筆者

執筆者

ペット火葬
ハピネス 編集部 J・N

愛するペットちゃんとのお別れによって心に深い悲しみと不安を抱えた飼い主様を支えられるような、わかりやすく正確な記事作成を心掛けています。自分のこと以上に大切な家族を思いやることができる優しい心を持った飼い主様の力になれるように努めます。

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