
フェレットの寿命は5~8年程度と、人間よりも早く年を取って旅立っていきます。
その生涯が快適で楽しいものであるよう、フェレットの体調不良に注意してあげてください。
人間と同じく、フェレットはストレスや加齢に伴い病気やケガのリスクが高まります。
まずは環境を整え、体調を崩した際には適切に対処できるようにしてください。
この記事の監修者

高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
フェレットの元気が無い理由は?

フェレットがいつもと違う行動を取っている場合は、体調を崩していないか確認しましょう。
フェレットが死ぬ前や体力が尽きかけている際には食事・水分を取らない、ぐったりしているなどの症状を見せることがあります。
それ以外にも気になる行動を取っている場合は、注意深く様子を見てあげましょう。
【ケガをしている可能性もある】
じっとしていて、いつもの元気を感じられない場合は、ケガをした可能性があります。
高いところから落ちたことによる骨折や、爪をひっかけるなどの理由が考えられます。
お部屋、ケージの環境を見直してください。
・ケージの外に出したら目を離さない
・引っかからないように爪を切る。
・怪我をしたらすぐに手当てをする
【寝てばかりの場合はいつもより気にかける】
フェレットの平均睡眠時間は18時間程度。
3~4時間ほど寝て、目覚めたらエサを食べたり遊んだりして、また3時間ほど眠るといったようなルーティンで生活している子が多いです。
そのため飼い主の目から見れば「寝てばかりいる」「体調が悪いのではないか」と思うこともありますが、よく眠っていることは健康な証であると言えます。
しかし、睡眠時間が急に伸びる、他にも体調不良のサインが見られる場合は要注意です。
体調不良のサインが出ている場合は病院へ
【老化のサインには要注意】
「食事・水分摂取量の減少」「運動量の低下」「睡眠時間の増加」「毛並みが薄くなる」などは老化のサインです。
・お別れに向けて心の準備をする
・ケガ防止のためにケージ内のレイアウトを変える。(段差を無くす、足を滑らせないようにマットを敷く)
フェレットがかかる病気と不調の原因

病気や体調不良の場合、早期発見してすぐに対処すれば回復できるかもしれません。
フェレットの様子に異変を感じたら早めに診察を受け、飼育環境を見直しましょう。
【フェレットに多い病気と症状】
フェレットが調子を崩した場合は、すぐに動物病院で治療を受けましょう。
特にフィラリア症は、症状が現れた時にはすでに重篤な状態のため、予防が重要です。
症状 | 考えられる病気 |
鼻水、くしゃみ、咳、発熱、食欲不振、下痢など | インフルエンザ・風邪 |
感染から数年はほぼ無症状(軽い咳をする場合がある) 数年経過すると咳が増え、食欲不振、体重減少、呼吸困難、腹水がたまるなどの深刻な症状が出る | フィラリア症 |
尾から背中にかけて左右対称性の脱毛症状 メスの場合は外陰部の腫瘍や乳頭肥大、オスの場合も乳頭肥大が見られる | 副腎腫瘍(副腎皮質機能亢進症) |
低血糖を起こす、寝ている時間の増加、意識の低下、よだれを垂らすなど | インスリノーマ |
突然の激しいおう吐 | 消化管内異物 |
黒褐色~茶褐色の耳垢、痒がる場合もある | 耳ダニ感染症 |
病名を把握することも大切です。
しかし、繰り返しになりますが、一番大切なのは早めに病院で診察を受けることです。
【病気以外に原因がある不調】
フェレットが調子を崩すのは、病気に加えて飼育環境に原因がある場合があります。
症状 | 考えられる原因 |
触れると悲鳴をあげる | 病気・ケガの可能性がある |
便秘・下痢 | エサがあわない、アレルギーや病気の初期症状 |
被毛にツヤがない | 皮膚トラブルや病気の初期症状の可能性がある |
歯ぎしりをする | ストレスを感じている、遊びや運動が足りていない可能性がある |
震える | 寒い・ストレスを感じている |
威嚇、攻撃的になる | ストレスを感じている |
隠れる、逃げる | 体調不良を隠そうとしている |
フェレットの変化はストレスなく、快適に過ごせる環境を作るためのヒントになります。
不調を起こす前に気付いてあげるのが理想ですが、フェレットが調子を崩したら早めに治療し、環境を改善してあげましょう。
【突然死にも注意する】
病気で弱っていた場合だけではなく、急に意識を失い、亡くなることもあるようです。
原因はフィラリア病やインスリノーマなどの病気にある場合が多いため、健康診断や、違和感を抱えた際の診察で防げることもあります。
大切なペットちゃんとのふれあいの中で、よく観察して対処してあげましょう。
*参考サイト
都内病院におけるフェレット198症例の疾病の発生状況(日本中医師会:2009年)
フェレットが死んでしまった後にすること一覧

フェレットが旅立った後は、きちんとお見送りしてあげましょう。
今回は火葬してお見送りすると仮定して、お見送りまでの工程をご紹介します。
【まずは遺体をきれいにして安置する】
火葬を依頼する場合、時間帯や曜日によってはすぐに依頼できないケースも多いです。
そのため、遺体が傷まないように手入れして安置しましょう。
①濡れタオルなどで汚れを拭き取り、ブラッシングをして毛並みを整える
②手足を軽く曲げて、寝ているような楽な体勢にする
③ダンボール箱など棺となるものを用意し、新聞紙やペットシーツ、タオルなどを敷く
④遺体を棺の中に寝かせる
⑤保冷剤やドライアイスをガーゼなどに包み遺体の周りに置いて冷やす
⑥直射日光の当たらない、涼しく静かな場所に安置する
注意点として、保冷剤は溶けきる前に取り換えること、ドライアイスを使う場合は箱を密閉しないことが挙げられます。
【火葬を依頼する】
フェレットの火葬は自治体とペット火葬業者に依頼できます。
それぞれ、以下のような特徴があります。
・自治体での火葬は費用が安い
住んでいる地域の役所や保健所へ申し込めば、安価でペットちゃんの火葬を行ってくれます。
ただし、立ち会いでの火葬や拾骨、返骨には対応していないところがほとんどです。
ペットちゃんの遺骨・遺灰は焼却された他の廃棄物と一緒に埋め立てて処理されます。
まとめると、安価で依頼できる代わりに葬儀や拾骨などのお見送りに立ち会うことは出来ず、お骨も返ってこない火葬方法です。
・ペット火葬業者なら飼い主様の思うように見送れる
火葬業者に依頼するメリットは、火葬車で指定の場所まで来てもらえることです。
遺体の運搬手段がない場合や、高齢者や小さいお子さんがいても安心して任せられます。
また、要望を伝えれば立ち会いの有無や場所、お骨の扱いなど、お見送りに必要なあらゆることをサポートしてもらえます。
大切な家族のお見送りと供養をきちんと行いたい場合は、火葬業者に依頼するのが一番です。
フェレットのお見送りについて詳しく手順を確認したい場合は、以下のページを参考にしてください。
まとめ
フェレットが弱っている場合は、なぜ体調を崩しているかを確認するようにしてください。
体調不良の主な原因には「老化」「ケガ」「病気」などが考えられます。
ケージ内の寒さやストレスから来る変化など、ケージ内のレイアウトを変えることで対処できるものを除いて、フェレットが不調を抱えている場合は早めに病院で診てもらいましょう。
病院なら治療だけではなく、フェレットが快適に過ごせるようにアドバイスもしてもらえます。
大切なフェレットが幸せで快適に生涯を過ごせるように、できる限りのことをしてあげてください。