モルモットは体調を崩して寿命が近づくと「体温低下」「呼吸が乱れる」などの症状を見せます。
大切なペットちゃんが苦しそうにしている様子を見ると気が動転してしまう方も多いはず。
しかし、モルモットが体調を崩したら、早めに診察を受けることがモルモットを長生きさせる秘訣。
いざその瞬間が訪れても慌てないためには、モルモットが死ぬ前に見せる症状やかかりやすい病気を把握しておくことが大切です。
このページではモルモットの体調不良の原因や病気を紹介します。
「モルモットと少しでも長い間一緒に過ごしたい」「見送り方を知りたい」と考えている方の参考になれば幸いです。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
モルモットの寿命・長生きの秘訣
モルモットの寿命は種類によって異なります。
この章では一般的なモルモットの寿命と長生きの秘訣をご紹介します。
寿命
モルモットの寿命は4~8年といわれており、中には10年生きる種類もいます。
生活習慣や飼育環境によって長生きさせることができるため、少しでも一緒に過ごせるように健康管理を気をつけてあげましょう。
長生きする秘訣
【食事】
食事はモルモットの寿命に大きく関係します。
草食動物であるモルモットは牧草や乾いた草が主食ですので、それらを中心にバランスのいい食事を心がけ、おやつの与えすぎにも気をつけましょう。
モルモットにとって牧草に含まれる「繊維質」は大切な栄養素です。
繊維質が豊富に含まれる牧草を与えないと腸内環境が崩れ病気にかかりやすくなる恐れがあります。
牧草には色々な種類がありますので、飽きないように数種類与えるとよいでしょう。
また、モルモットはビタミンCを体内で作ることができません。
ビタミンCを含む果物や野菜、ペレットを与えるようにしましょう。
ただし、果物には糖質も多く含まれているため与えすぎないように気をつけてください。
【ストレスを減らす】
モルモットは環境の変化に敏感な動物でもあります。
モルモットはストレスを感じると隠れたがるようになり、食欲不振、自分の毛や人を噛むなどの行動が見られるので日頃から観察することが大切です。
モルモットはストレスによって亡くなってしまうこともありますので、ストレスがかからないように環境を整えてあげましょう。
【ケージ内を過ごしやすくする】
モルモットは排せつ場所を選ばないため、ケージ内が汚れやすいです。
こまめに排泄していないか確認してゲージ内を清潔に保ってあげましょう。
【変化に気づく】
「毛並みが悪くボサボサになっている」「遊ばなくなって寝てばかりいる」などモルモットが普段と違う様子を見せている場合はよく様子を見ておくようにしましょう。
不正咬合やうっ滞などが原因で動けなくなっているなど、体調不良が原因の場合があるからです。
早めに病院に連れて行ってあげましょう。
モルモットが死ぬ前に見せる症状
この章では、モルモットが亡くなる前に見せる症状についてご紹介します。
もちろんすべてのモルモットが亡くなる前に同じ症状を見せるわけではなく、まったく症状がない場合もあるため、いつもと様子が違う時は必ず獣医師に相談するようにしましょう。
食欲低下
亡くなる前には急激に食欲がなくなってきます。
「おやつなど他のものは食べるか」「水は飲んでいるか」も確認するようにしましょう。
体重減少
死ぬ前は食欲や筋肉の低下が原因で体重が極端に減っていくことも多いです。
動かない
横たわって動かない状態が続くようになります。
体の下に布やクッションを敷いて、少しでも楽な姿勢にしてあげましょう。
下痢
モルモットは老化とともに内臓の働きが悪くなるので、食べ物を消化することが困難になって下痢をするようになります。
汚れた場所は速やかにきれいに拭き取ってあげましょう。
体温低下
死ぬ前は体温が下がって、震えるような症状を見せることもあります。
小動物用のペットヒーターで暖めてあげましょう。
呼吸が乱れる
短い時間呼吸が止まることに加え、浅くて回数の多い呼吸や深く回数の少ない呼吸を繰り返すなど、呼吸に乱れが出ることがあります。
モルモットがかかりやすい病気
この章ではモルモットがかかりやすい病気についてご紹介します。
かかりやすい病気について知っておけば、早期発見と素早い対策に繋がります。
症状と病名はあくまで目安です。
ペットちゃんの様子がおかしいと思ったら、早めに病院に行くことが大切です。
不正咬合
モルモットの歯はすべて伸び続けており、食事をするときに削られ適切な長さになります。
本来は牧草を食べることで顎を水平に動かし歯がすり減っていきます。
しかし、牧草以外のお菓子や野菜などは水平ではなく縦噛みになるため、歯が伸び続け口の中を傷つけてしまいます。
妊娠中毒
モルモットは妊娠中毒を起こしやすい動物です。
特に出産1~2回目かつ妊娠後期のモルモットは注意が必要です。
発病した場合は呼吸困難による昏睡やけいれんが起こり、2~3日ほどで亡くなります。
食欲不振のような軽い症状から一気に悪化するため気づきにくく、前触れなく亡くなってしまうケースも多いです。
皮膚炎
ダニやカビなどが原因でフケが出たり、かゆくなったりすることがあります。
体を掻きむしることによって炎症を起こし、脱毛することもあります。
ケージや小屋などの備品を掃除し、原因を取り除くことが大切です。
消化器疾患・うっ滞
ストレス・不正咬合などが原因で、消化器の動きが悪くなり病気になることもあります。
他にも部屋の中を散歩中に何かを誤飲しているケースもあります。
食欲不振やお腹の張り、便秘や下痢などの症状が見られたら獣医師に診てもらいましょう。
熱中症
モルモットは暑さや湿気に弱い動物です。
お留守番させるときなどは気温が上がらないように気をつけてあげましょう。
人が暑いと感じていなくても、モルモットにとっては暑いこともあるため、適温を保つようにしてあげてください。
ビタミンC欠乏症
モルモットは自分でビタミンCを作ることができません。
ビタミンCが不足しないように、ペットフードやサプリメントなどで栄養を補うようにしましょう。
ビタミンCが不足すると、「食欲や元気がなくなる」「毛並みの艶がなくなる」「関節が腫れる」などの症状が出ることもあります。
尿石症
尿道に尿石がつまる病気で、遺伝やカルシウムやビタミンDの多い食事・水分の摂取不足・細胞感染などが原因と考えられています。
痛みを感じてトイレの際に鳴き声をあげることもあります。
かかりつけ動物病院の選び方
ペット保険会社のSBIプリズム少額短期保険株式会社が行った「ペットの健康管理について」のアンケートの「かかりつけの動物病院はどのような基準で選んでいますか?」という質問に対して最も多かった回答は「家から近い」ことでした。
モルモットは妊娠中毒など生死に関わる病気にかかる可能性も高いため、病院の近さは最も重視すべきポイントですが、小動物であるモルモットは診てくれる獣医さんが限られます。
お住まいの場所によってはモルモットを診てくれる病院が近くにない可能性もあります。
近隣にモルモットを見てくれる病院があるかどうかを事前に調べておくのがおすすめです。
【その他の病院選びのポイント】
アンケートの回答には「口コミを見て」と回答された方もいますが、こちらはモルモットの病院選びに役立つ要素です。
モルモットをよく診ている病院には「症例」やそれに対する病院の「対応方法」などが口コミからわかるケースもあるため、動物病院を選ぶ際は距離と口コミの両方を確認するのがおすすめです。
※参考サイト
「ペットの健康管理について」SBIプリズム少額短期保険株式会社
モルモットの最期にできること
ペットちゃんの死が近づくと「何かできることはないだろうか」と落ち着かない気持ちになるはず。
この章では、モルモットのために最期にしてあげられることをご紹介します。
そばで見守る
大切なモルモットが死ぬ前には、不安な気持ちになると思います。
しかし、ペットちゃん自身も不安な気持ちを抱えているはず。
できる限りそばにいて、心の支えになってあげましょう。
【声をかける】
意識がもうろうとしている状態でも、飼い主様の声を聞けばペットちゃんも安心するはず。
いつものように話しかけてあげて、悲しくて言葉が出ない場合は名前を呼んであげるだけでも励みになるはずです。
【口元を濡らしてあげる】
モルモットが死ぬ前には、水を飲む体力も残っていない場合が多いです。
湿ったガーゼなどで口元を濡らしてあげて、水を含ませてあげるのもあげましょう。
モルモットが寿命を迎えたら
モルモットとのお別れはとても辛いですが、家族として最後まで送り出してあげましょう。
この章ではモルモットとお別れする際の準備についてご紹介します。
遺体の安置とお別れの準備
モルモットが亡くなったら、まずは遺体を安置してあげましょう。
1:遺体が死後硬直する前に楽な姿勢に整える
2:ドライアイス・保冷剤を入れた箱に納める
遺体を安置した後は、火葬までがモルモットちゃんと過ごせる最後の時間です。
たくさん声をかけてあげてください。
【形見を残すのも忘れずに】
形見に毛を残したい場合は安置したタイミングで少し分けてもらうようにしましょう。
筆者の実家に居た犬は旅立った後すぐに火葬したため、形見の品を確保することを失念していました。
写真や一緒に過ごした思い出は残っていますが「あの子の毛並みが今では世界のどこにも残っていない」と思うととても寂しい気持ちになります。
モルモットのようなふれあいができるペットちゃんの場合は、毛並みに思い入れがある方は多いはず。
後悔しないように、形見もきちんと残ししましょう。
供養方法を決める
モルモットを供養する方法を決めます。
「自治体・業者に依頼して火葬」「庭で埋葬」「プランター葬」が主なモルモットの供養方法です。
火葬:返骨してもらえば理想通りの葬儀ができる
埋葬:身近な場所でペットちゃんが眠っているのは安心
プランター葬:埋葬よりも管理しやすい
それぞれメリットがありますが、大切なのは飼い主様がどうしてあげたいかという気持ちです。
これまでたくさんの癒しと笑顔をくれたモルモットをどのように送り出してあげたいかを一番に考えたうえで、時間・予算などの要素を加味して最適な方法を選びましょう。
火葬後は大切なモルモットちゃんをきちんと供養
ペットちゃんが旅立った後は、大切なその子を偲ぶ時間も大切です。
火葬後の供養方法は「霊園・お庭に埋葬」「手元供養」など様々な方法があります。
きちんと供養すれば「あの子はあの場所で眠っている」と寂しい気持ちを紛らわせることができます。
【自分にピッタリな供養方法の選び方】
ペットちゃんをより丁寧に供養したい方は、返骨してもらえる火葬方法を選ぶのがおすすめです。
火葬に立ち会えない場合は一任個別火葬を依頼、都合が付かない場合は遺体の安置方法を工夫して数日後に火葬するなど、最適な方法を探ってみましょう。
自分で判断できない場合は「経験者に話を聞く」「火葬業者など専門知識を体得した人に相談」なども検討しましょう。
まとめ
モルモットが死ぬ前には呼吸の乱れや下痢など、普段とは違う様子を見せることが多いです。
しかし、病気や不正咬合などが原因の体調不良は「体重の減少」「普段より元気がない」など目に見えない症状が出る場合もあります。
そのため、モルモットを長生きさせるためには普段から様子をよく見て、不安なら病院で診察を受けることが大切です。
モルモットが寿命を迎えたら、丁寧にお見送りしてあげてください。
返骨してもらえる火葬や埋葬・プランター葬など、旅立ったペットちゃんの存在が身近に感じられる方法を選んで供養してあげましょう。