インコの寿命はペットフードや医療の向上などにより延びていますが、人間ほど長くありません。
たとえば、セキセイインコの平均寿命は5~10年ほどと言われています。
オカメインコでは15~20年、ヨウムのような大型インコでは30年以上生きることもありますが、それでも人間と比べれば短命です。
また、鳥類は健康状態の変化を隠す習性があり、突然死してしまうことも少なくありません。
本記事では、愛するインコがもしもの時を迎えた際に、慌てず最良の形で送り出せるよう、インコの寿命や死の兆候、供養の方法について解説します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
インコの寿命や長生きのコツ
インコの寿命は種類や飼い主様の飼い方によって異なります。
大切な家族であるインコちゃんには少しでも長生きしてほしいものです。
この章ではインコの寿命や長生きするためのコツについてご紹介します。
【種類別】インコの寿命
下記は種類別のインコの平均的な寿命になります。飼育環境や健康管理によって大きく変わることもありますので、あくまで目安としてご参考ください。
インコの種類 | 平均的な寿命 |
セキセイインコ | 5~10年 |
オカメインコ | 15~20年 |
コザクラインコ | 10~15年 |
サザナミインコ | 10~15年 |
マメルリハ | 10~15年 |
ヨウム | 30~70年 |
オキナインコ | 20~30年 |
コガネメキシコインコ | 20~30年 |
モモイロインコ | 40~50年 |
コンゴウインコ | 50~70年 |
オオハナインコ | 50~60年 |
インコの長生きのコツ
インコちゃんが長生きするかどうかはもともとの身体が丈夫かどうかだけでなく、食生活や運動などによっても異なります。
ギネスに登録されているセキセイインコの寿命は29歳2か月で、飼い主様の飼い方などによっても大きく寿命が異なるということがわかります。
Charlie born in April 1948 was looked after by, J Dinsey, of Stonebridge, London. UK, until 20 June 1977, when he died aged 29 years and 2 months.
引用:https://www.guinnessworldrecords.com/world-records/70897-oldest-caged-budgerigar
日本語訳:チャーリーは1948年4月に生まれ、イギリス・ロンドンのストーンブリッジに住むJ・ディンズィーによって世話をされていました。彼は1977年6月20日に29歳と2か月で亡くなりました。
長生きのコツとしては「太らせず痩せすぎずの食事制限」「何度も産卵の負担を与えない」「突然死などの事故を防ぐ」「メガバクテリアなどの感染症や体調不良がないか定期的に病院に診てもらう」「睡眠や運動など規則正しい生活」「適度な温度管理」などがあります。
また、インコには、弱っている姿を仲間に見せないという習性があります。
これはインコが元々群れをつくる動物であることから由来しています。というのも、自然界で弱っていることを隠さずにいると、当然外敵に狙われやすくなり、仲間にも危害が及ぶ可能性が高くなるためです。
そのため、飼い主様の前では体調が悪くても元気に振る舞うことが多く、その結果病気の発見が遅れてしまうこともあります。
普段から気にかけて観察するのはもちろん、たまには離れたところからも様子を見てあげましょう。
また、当記事でこれからご紹介する症状を飼い主様に見せた場合は、弱っていることを隠す余裕がないほど危険な状態かもしれません。
なるべく早く獣医師に診てもらいましょう。
インコが突然死する原因
インコちゃんは突然死することが多い動物です。突然愛するインコちゃんが亡くなれば、気持ちがついていけずなかなか立ち直れないということもあるでしょう。
愛するインコちゃんが突然死してしまわないように、原因についてご紹介します。
熱中症
人も熱中症で亡くなってしまうケースが最近は増えていますが、インコちゃんも同様に熱中症で亡くなってしまうことがあります。
日光浴のためにとインコちゃんを炎天下の中に出しっぱなしにしたり、気温が上がる車や物置などの中に置きっぱなしにしたりしないように注意しましょう。
ぐったりする、呼吸が乱れる、羽を浮かせて体温調節するようなしぐさが見られたら、すぐ涼しい場所や日陰に移動させ、病院で診てもらいましょう。
温度
インコちゃんは気温の急激な変化に弱く、寒さで亡くなってしまうこともあります。
夜に気温が下がって、朝起きて見てみると亡くなっていたというケースも多いため、特に冬は気をつけなくてはいけません。
気温が急激に下がらないように、ケージに毛布やバスタオルを被せたりペット用のヒーターを置いたりして対策するようにしましょう。
また、夏も気温が高くなりすぎないように注意し、幼鳥は25~30℃、成鳥は20~25℃、病気の鳥は30℃の気温が保つようにしましょう。
フッ素ガス
あまり知られていませんが、オーブンレンジを加熱した際に発生するフッ素ガスでインコちゃんが亡くなってしまうこともあります。
またオーブンレンジだけでなく、フライパンやホットプレート等のテフロン加工(フッ素樹脂加工)製品を高温加熱した際にフッ素ガスが発生することもあります。
キッチンでインコちゃんを飼うことや、料理中に連れてくることは危険なのでしないようにしましょう。
アロマ
癒しのアロマが、成分によってインコちゃんには悪影響を与えてしまうこともあります。
寝室やリビングなどにアロマディフューザーを置いているご家庭も多いと思います。
しかし、インコちゃんのケージの近くでアロマを使用するのはできるだけ避けましょう。
食べ物
人が食べるものの中には、インコちゃんにとっては猛毒になるものもあります。
特に、以下の食品には注意が必要です。
カフェインの入ったコーヒー・チョコレートや塩分や糖質が多いスナック菓子・ご飯・パン・麺・アボカド・ネギ・ニラ・にんにく
また、これらを食べた後はうがいや歯磨きをしてからインコちゃんと接するようにし、調理している際はキッチンにインコちゃんを入れないようにしましょう。
衝撃
窓ガラスや壁などに衝突するなど、衝撃を受けることによって亡くなってしまうこともあります。
ガラスが見えなくてぶつかってしまうこともありますので、カーテンをするなどわかるようにしてあげましょう。
部屋に出すときは充分に気をつけるようにしてください。
誤飲
インコちゃんは物をついばむ力が強く、紙やプラスチック、布製品を破ったり、アクセサリー類のメッキや木を削り取ってしまうこともあります。
放鳥させる前に部屋の物を片づけ、動かせないケーブル類は布をかけて隠しましょう。
その上で、放鳥中も目を離さずに注意して見てあげてください。
また、ケージ内にも誤飲の危険は潜んでいます。
おもちゃや止まり木の破片を誤飲する可能性がありますので、日頃からケージ内を確認し、おもちゃなどが摩耗してきたら取り替えるなど気にかけてあげましょう。
インコが死ぬ前に見せる症状
この章では、インコちゃんが死ぬ前に見せる症状についてご紹介します。
もし、インコちゃんに死ぬ前の症状が見えたら、慌てず獣医師に相談しましょう。
甘えてくる
死ぬ直前になると甘えてくるという症状を見せるペットちゃんもいます。
いつもは甘えてこないインコちゃんが必要以上に甘えてくるという場合は、助けを求めている、何かを悟っているというようなサインかも知れません。
他に気になる変化はないかなど確認してあげましょう。
羽が乱れる
インコはきれい好きな動物で、毎日欠かさず毛繕いをしています。
そのため、羽がパサパサになっているなど羽にみだれがある場合は、病気のサインかも知れません。
死ぬ直前のインコちゃんは毛繕いする余裕もなく、羽がパサパサになってしまうため、気にして観察するようにしましょう。
食欲がない
高齢になると消化機能も衰え、徐々に食欲が落ちることがありますが、急激な食欲低下は病気や死の兆候かもしれません。
餌を残す量や食事の仕方をよく観察しましょう。
動かない
鳥かごに近づくと「遊んで」と言わんばかりに近づいてきたインコちゃんですが、近づいても動かないというような場合は、病気や死ぬ前のサインかもしれません。
麻痺のような症状が現れる
インコの寿命が近づくと、体力の低下や神経系の問題が原因で、脚力が衰えたり、止まり木に掴まれなくなることがあります。このような状態は、麻痺のように見えることがあります。
嘔吐や下痢
死ぬ直前、嘔吐や下痢などの症状が見られることもあります。身体が汚れた場合は、きれいに拭いてあげましょう。
インコが亡くなったあとの安置方法
インコちゃんが亡くなったときは、そのままにしておくと腐敗してしまいます。
火葬や埋葬する前の安置方法をご紹介します。
きれいな姿でお別れできるようにできるだけ早く安置してあげましょう。
①インコの身体をきれいにする
インコちゃんは死ぬ直前に嘔吐や下痢などをすることもあり、身体が汚れていることもあります。
濡れたタオルなどでインコちゃんの身体をきれいに拭いてあげましょう。
②遺体の安置
インコちゃんが入る箱を用意し、その上にティッシュや布を敷きます。
箱の上にインコちゃんを優しく寝かせ、布で包んだ保冷剤を入れて身体を冷やします。
遺体の安置が終わったら、次は供養方法を決めてあげましょう。
インコの供養方法
インコちゃんが亡くなったときには、どのように供養すればいいのでしょうか?
この章では飼い主様の気持ちが伝わるインコちゃんの供養方法をご紹介します。
決まった方法はないため、ご自身に合った供養方法を選ぶことが大切です。
火葬
火葬する場合はご自身では行わず、必ずペット火葬業者や自治体に依頼するようにしましょう。
火葬業者の中には、遺骨を返却してもらえたり、提携墓地に埋葬できるサービスを行っているところもあります。
インコちゃんの供養を考える際は選択肢に入れるのもよいでしょう。
業者によって行っているサービスは多種多様なので、サイトに目を通したり、わからないことがあれば問い合わせることをおすすめします。
自宅に埋める
ご自宅が私有地の場合は庭に埋葬することが可能です。
とはいえ、遺体が土に還るまでは、インコちゃんでも10年程度かかることもあります。
その間に、異臭や害虫が発生するリスクもあるので、土葬は慎重に検討しましょう。
詳しい方法は下記の記事に詳しくご紹介しております。
プランター葬
庭がない方はプランター葬の選択肢もあります。プランター(植木鉢)にインコちゃんを埋葬し、植物を育てることで、愛鳥との思い出をいつでも身近に感じることができます。
プランター葬の手順や注意点については、以下のリンク先で詳しくご紹介しています。
まとめ
インコちゃんは死ぬ前に様々なサインを出します。
そのサインにいち早く気付き、インコちゃんとの最期を後悔なく過ごしたいものですよね。
そのためには、食欲はあるか、下痢や嘔吐はしていないかなど日々の健康管理が大切です。
また、私たちにとっては生活の一部であるアロマやコーヒー・パンなどの日用品が病気の原因や、悪い場合には死因につながることもあります。
大切なインコちゃんの寿命を伸ばして少しでも長い時間を一緒に過ごせるように、まずはやってはいけないことや、突然死につながる原因を知っておくことが大切です。
しかし、それでもお別れの時間は必ず訪れるもの。
亡くなった後は、これまでの感謝の気持ちを込めて、丁寧に送り出してあげましょう。