愛するペットちゃんの最期は、愛情たっぷりに送り出してあげたいと思われていることと思います。しかし、実際にペットちゃんが亡くなったとき、どのように対応したらいいか分からないという方も多いのではないでしょうか?
今回はペットちゃんが死後硬直してしまう前に飼い主様ができることをご紹介します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
亡くなった後の遺体の変化
ペットちゃんが亡くなった後、遺体は様々な変化をします。事前にどのような変化があるのかを知っておくことで、スムーズに対応することができます。この章では亡くなった後の遺体の変化についてご紹介します。
死後硬直
死後硬直とは、亡くなってから身体の筋肉が硬化することを言います。ほとんどの動物で死後このような症状が見られ、人の場合は大体20時間で硬直が強くなります。ペットちゃんの大きさによって異なりますが、亡くなってから2~3時間後には死後硬直が始まってしまいますので、体勢は亡くなってからできるだけ早く変えなくてはいけません。
腐敗
ペットちゃんの遺体はそのままにしておくと数日程度で腐敗が始まります。また、遺体から体液や排泄物が流れ出てくることもあり、遺体が汚れると菌が繁殖して腐敗がさらに早く進んでしまうこともあります。
遺体の安置方法
遺体はそのままにしておくと、死後硬直や腐敗が始まっていきます。この章では、死後硬直や腐敗が始まる前に、飼い主様がペットちゃんにできることをご紹介します。ペットちゃんのために落ち着いて対応してあげましょう。
①体勢を整える
ペットちゃんによっては手や足を伸ばしたまま亡くなってしまうこともあります。ペットちゃんの死後硬直が始まってしまう前に、足や手を優しく曲げていつも寝ている時のように体勢を整えてあげましょう。また、目や口を開けたまま亡くなってしまうこともあります。可能であれば、目や口も優しく抑えて閉じてあげるといいでしょう。
②身体を清める
濡れたタオルなどで優しくペットちゃんの身体を拭いてあげましょう。口や耳・肛門などから体液や排泄物が流れてくることもあるため、こまめに確認し、汚れていたら拭いてあげましょう。どうしても気になる場合はコットンやティッシュを詰めるのも手です。
③腐敗を遅らせる
すぐに火葬できない場合は、少しでも腐敗を遅らせるために遺体を冷やしてあげます。ペットちゃんが入る大きさの箱にペットシートやタオルなどを敷いて、その上にペットちゃんを寝かせます。
ペットちゃんの体の周りには布で保冷剤を包みお腹や頭の場所に入れてあげましょう。こうすることで腐敗を遅らせることができ、夏場なら2、3日、冬場なら4、5日安置することができます。
ドライアイスを使用する場合は、さらに長く安置させることが可能です。
詳しいやり方は、ペットの安置・保存方法を4ステップで解説 の記事をご参照ください。
遺体の供養方法
遺体を安置させたら、腐敗してしまう前に火葬または埋葬しなくてはいけません。ここでは、ペットちゃんの供養方法をご紹介します。ペットちゃんの供養はとくに決まった方法はありませんので、ご自身が納得できる方法で供養してあげましょう。
自治体で引き取ってもらう
お住まいの自治体にてペットちゃんを引き取ってもらうことができます。しかし、自治体ではペットちゃんを一般廃棄物として扱うことがほとんどで、ペットちゃんの遺体は焼却後、埋め立てられます。
ご自宅の庭へ埋葬
ご自宅の庭でペットちゃんを埋葬される方もいらっしゃいます。しかし、ご自宅が私有地でない場合は、不法投棄となり法律違反となってしまうので注意しましょう。また、浅いところに埋めてしまうと野生の動物に掘り起こされたり、異臭や害虫の原因になったりすることもあります。
ペットちゃんの大きさにもよりますが、穴の大きさは大体1~2メートルほどが理想です。また、土に還るまでは数十年かかるため、引っ越しする予定はないかなど充分に検討してから埋葬しましょう。
プランター葬
最近はご自宅に庭がない場合も多く、プランターにペットちゃんを埋葬するプランター葬も増えてきております。とくにハムスターやインコなどの小さなペットちゃんの供養に多い方法です。ベランダや玄関などに置くことができますが、近隣の迷惑にならないように気をつけましょう。
火葬業者にて火葬
ペットちゃんを家族の一員として大切に飼われている人も多く、最近は人と同じように火葬業者に依頼して供養する方法も一般的となっています。
火葬方法は複数のペットちゃんと一緒に火葬する「合同火葬」と個別にペットちゃんを火葬する「個別火葬」があり、火葬から埋葬まで一任できるプランや、火葬に立ち会いお見送りや遺骨の拾い上げができるプランなどがあります。
遺骨の供養方法
火葬業者で個別にペットちゃんを火葬してもらった場合は、遺骨を返却してもらうことが可能です。そして、そのまま墓地や納骨堂にて納骨してもらうことができる場合もあります。この章では、火葬後の遺骨の供養方法についてご紹介します。
墓地に埋葬
火葬業者によっては火葬後、そのまま墓地に埋葬してもらうことが可能な場合がありますが、個別でお墓を建てる場合は、霊園探しは自力で行う必要があります。
納骨堂に納骨
遺骨を納骨堂に納骨される飼い主様も多くいらっしゃいます。納骨堂の場合は個別でペットちゃんの遺骨を収めることができ、個別でお墓を建てるよりも費用を抑えることが可能です。
庭やプランターに納骨
ペットちゃんの遺体をそのまま庭やプランターに埋葬することもできますが、異臭や害虫発生のリスクもあります。とくに犬や猫などの大きなペットちゃんを埋葬することはリスクが高いため、遺骨にしてから埋葬するのがおすすめです。
骨壺のまま安置
火葬してもらった遺骨は、骨壺に入った状態で返却してもらうことがほとんどです。ペットちゃんの場合は、そのまま骨壺をご自宅に安置して手元供養する選択肢もあります。また、小さな骨壺やお洒落な骨壺も販売されているので入れ替えて安置される方もいらっしゃいます。
手元供養
オブジェやミニ仏壇、ぬいぐるみなどご自宅に置いて供養することも人気です。また、ネックレスやブレスレットなど身に付けられるアクセサリータイプのものもあり、いつもペットちゃんを身近に感じることができます。
散骨
散骨とは遺骨をパウダー状にして海や山などに撒いて、自然に還すことです。散骨する場合は遺骨が残らないため、分骨して一部を手元供養されるケースもあります。
後悔のないお別れのために
とても残念なことですが、「もっと考えて供養してあげればよかった」などと後悔をして、ご自身を責めてしまう飼い主様もいらっしゃいます。そのようなことになれば、きっとペットちゃんも悲しいはずです。
また、ペットちゃんとのお別れは突然訪れることもあり「どんな供養方法があるのか知らなかった」「急なことで慌ててしまった」とお別れを後悔してしまうケースもあります。
そのようなことを防ぐためにも、ペットちゃんが元気なうちに最期のことや供養方法を家族で話し合うことが大切です。
まとめ
ペットちゃんの遺体は死後硬直や腐敗によって傷んでいきます。最後まで綺麗な姿で送り出してあげるためには、死後硬直を始める前に体勢を整え、腐敗を防ぐために身体を冷やして安置することが大切です。
また、ペットちゃんとのお別れが悲しい思い出となってしまわないように、お別れの方法や供養方法などを考えて家族で話し合っておきましょう。