近年はペットちゃんを家族の一員として迎え入れているご家庭も多く、亡くなったときは「人と同じようにお墓に埋葬して供養をする」という需要が高まっております。ペットのお墓と一口に言っても様々な種類があり、どのようなお墓に埋葬すればいいか迷われている飼い主様も多いのではないでしょうか。今回はお墓の選び方やお墓の種類などをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ペット火葬の種類
ペットちゃんをお墓に埋葬する前は、ペットちゃんを火葬することがほとんどです。火葬方法によっては希望のお墓に入れることができない場合もあります。ペットちゃんがお墓に入るまでの流れを知っておくことも大切ですので、この章ではそれぞれの火葬方法をご紹介します。
①合同火葬
複数のペットちゃんを一緒に火葬する方法です。複数のペットちゃんの遺骨が混合してしまうため、そのまま合同墓地などに埋葬されることがほとんどです。そのため、個別でお墓を建てたいと思われている飼い主様には向いていない火葬方法となります。
②一任個別火葬
個別でペットちゃんを火葬する方法です。個別で火葬するためペットちゃんの遺骨を残すことができます。しかし、葬儀業者にすべて一任しているため、遺骨の返却があるかどうかは依頼する葬儀業者によって異なります。お墓を別で建てる際には、遺骨が必要ですので事前に確認しておきましょう。
③立会個別火葬
個別でペットちゃんを火葬する方法に、家族が立ち会うことができるプランです。家族で遺骨を拾い上げすることができ、そのまま遺骨を持ち帰ることができます。人の葬儀と一番近い火葬方法です。
自宅の庭にお墓を建てる
私有地であればご自宅の庭に、お墓を建てることができます。遺体をそのまま埋葬する場合は、火葬後の遺骨を埋葬してお墓を建てる方もいらっしゃいます。この章では、ご自宅の庭にお墓を建てる手順をご紹介します。
遺体のまま埋葬してお墓を建てる
①穴を掘る
そのまま遺体を埋める場合は、ペットちゃんの大きさによって異なりますが大体1~2メートルの深い穴を掘ります。遺体をそのまま供養する場合は、異臭や害虫などが発生するリスクもありますので、できるだけ深く掘るようにしましょう。
②石炭などを穴の底に置く
ペットちゃんが土に還りやすいように、腐食しやすいものを穴の底に置きます。腐食しやすいものの中でも石炭は、有害物質を抑える作用もあるのでおすすめです。
③ペットちゃんを布に包み寝かせる
木綿など自然素材のタオルなどでペットちゃんを包み、穴の中にそっと寝かせます。ペットちゃんに直接土がかかりそうであれば、もう一枚タオルをかけてあげてください。
④穴に土を戻す
ペットちゃんを寝かせたら、上から土を戻していきます。この際は30㎝ほど高くなるように戻すようにしましょう。
⑤墓石などを置く
購入した墓石や海や川などで見つけてきた石に名前を掘ったりして置いてもいいでしょう。
遺骨を埋葬してお墓を建てる
①穴を掘る
火葬後の遺骨を埋葬する場合は、30㎝ほどの穴を掘ります。
②布で包んだ遺骨を置く
骨壺のまま埋めると土に還るまで時間がかかってしまいます。骨壺から出して木綿など自然素材の布で遺骨を包み、堀った穴に入れてください。
③穴に土を戻す
遺骨を置いたら、穴に土を戻していきます。
④墓石などを置く
購入した墓石や海や川などで見つけてきた石に名前を掘って置いてもいいですね。
ペット専用のお墓の種類
ペット専用のお墓の需要が高まったことから、お墓の種類も豊富になっています。ここでは様々なお墓の種類をご紹介しますので、ご自身に合ったお墓があるか参考にしてみてください。
合同墓
他のペットちゃんと一緒に埋葬される合同のお墓です。個別でお墓を持つよりも費用は抑えられ、ペットちゃんに寂しい思いをさせたくないという飼い主様に人気の種類です。
個別墓
個別墓は、ペットちゃんを一人ずつ個別で埋葬されます。個別でお墓を購入する費用がかかりますが、その分ゆっくりとペットちゃんを寝かせてあげることができます。
人と一緒に入ることができるお墓
「我が子のように可愛いペットちゃんと一緒に眠りにつきたい」という飼い主様の要望に応え、最近は人とペットちゃんが一緒に入ることができるお墓も増えてきております。墓石を購入して建てる「一般墓」、墓石の代わりに樹木を植える「樹墓」、墓石は立てず建物の専用スペースに遺骨を置いておける「納骨堂」などの方法があります。
ペットのお墓選びのポイント
ペットのお墓の種類をご紹介しましたが、どのようなお墓を建てて供養してあげればいいか分からないという方も多いと思います。そこでこの章では、お墓を選ぶ際のポイントをご紹介します。
予算
費用を決めていないと「相談しているうちに、とてつもない金額になってしまった」ということも少なくありません。 まずペットちゃんのお墓にいくらの費用をかけることができるか、決めておくようにしましょう。
宗教上の問題はないか
お寺が管理している仏教の霊園や、宗教不問の墓地などがあります。どのような形式で供養したいか宗教上問題ないかなどを考えて選ぶことも大切です。とくに、ペットちゃんと一緒に入るお墓は宗教上禁止となっている可能性もありますので、確認しておきましょう。
火葬や葬儀も一緒にするか否か
火葬、葬儀からお墓への埋葬まで対応している葬儀業者や霊園もありますので、どこまで依頼するかを決めておくといいでしょう。火葬は出張火葬業者などに依頼して、後日霊園にお墓のみ依頼するというケースも少なくありません。
自宅からの通いやすさ
大好きなペットちゃんとはすぐに会いたくなります。どんなに条件が気に入った霊園でも、通いにくい場所や距離にある場合はその場所でも本当にいいのか考えて決めるようにしましょう。
お墓参りにいける時間
ペット霊園には、お墓参りにいける時間帯が決まっている場合もあります。毎日会いに行きたいと思っていても、閉園時間によっては都合のいい時間に入れない場合もあるので、お参りにいける時間帯が自分に合っているかも確認しておいたほうがいいでしょう。
お墓以外の供養方法
お墓を建てて供養してあげたいと思っていたけれど、予算や周囲の反対など様々なご事情でお墓を建てることができない場合もあると思います。この章では、お墓を建てることができなくてもきちんとペットちゃんを供養することができる方法をご紹介します。
海や山などに散骨する
遺骨をパウダー状に砕いて、海や山などに散骨して供養するという方法もございます。お墓を購入する費用や維持費などもかからないため費用を抑え、自然に還すことができます。
樹木葬
お墓の代わりに樹木を植えるという樹木葬も、人気の供養方法です。お墓を購入する費用を抑えることができ、最近は人と一緒に入ることができる樹木葬墓地などもあります。
納骨堂
お墓に遺骨を埋葬するのではなく、骨壺に入れた遺骨を建物に安置する納骨堂という供養方法もあります。こちらもお墓を建てる費用を抑え、永代供養してもらえる場合もあります。
ご自宅・手元供養
骨壺に入れたままご自宅で安置されている方もいらっしゃいます。また、最近はお洒落でコンパクトな供養が人気で、遺骨を入れることができるアクセサリーやぬいぐるみ・オブジェなども幅広く販売されています。
まとめ
今回はペットちゃんのお墓についてご紹介いたしました。ペットちゃんのお墓は絶対に建てなくてはいけないという決まりはありません。ご自身の予算やご事情に合わせて供養することが、何よりペットちゃんの供養になります。大切なことですから、じっくり検討して最良の形でペットちゃんを供養してあげてください。