大切な家族であるペットちゃんが亡くなった際は、「ペット火葬をして天国へ送り出してあげたい」とお考えの飼い主様も多いと思います。しかし、ペットちゃんとのお別れは何度も経験することではないため、不安や疑問を抱えられているのではないでしょうか?今回はそのように不安を抱えられている飼い主様のために、ペットの火葬場について詳しくご紹介します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ペットの火葬場の背景
これまで飼っていたペットちゃんが亡くなったときは、ご自宅の庭に埋めて供養することが一般的でした。しかし近年は、マンションなどの集合住宅が増えたことにより、埋葬する場所がないという家庭が増えてきました。
さらに、ペットちゃんを家族の一員として迎え入れている家庭が増えており、人と同じように火葬し供養してくれる「ペットの火葬場」の需要が高まっています。
ペットの火葬場は自治体が管理する公営の施設や、葬儀業者や霊園などが運営している民営の施設があります。需要の高まりとともにペットの火葬も多様化していますので、ご自身に合った火葬場を選ぶことができるようになりました。
ペットの火葬方法
ペットの火葬方法は、大きく分けると「合同火葬」と「個別火葬」の二種類です。さらに「個別火葬」には「一任個別火葬」と「立会個別火葬」の二つに分かれ、全部で3つの火葬方法があります。一つずつ詳しく説明していきます。
合同火葬
複数のペットちゃんを一緒に火葬する方法です。火葬後は遺骨が混同するため、そのまま合同墓地などに埋葬してもらい供養されます。
一任個別火葬
ペットちゃんを一人ずつ個別に火葬する方法です。火葬業者に火葬を一任するため、遺骨の拾い上げなどはありません。業者によっては火葬後の遺骨を後日返却してもらえる場合もあります。
立会個別火葬
ペットちゃんを一人ずつ個別に火葬する際に、家族で立ち会うことができます。火葬後、遺骨の拾い上げをして、遺骨を持ち帰ることが可能です。
ペットの火葬場の種類
ペットの火葬場は、自治体が運営する「公営火葬場」と、民営の業者が運営する「民営火葬場」の二種類があります。自治体や業者によって異なりますが、それぞれの一般的なサービスをご紹介します。
公営火葬場
お住まいの地域の自治体に依頼すれば、公営の火葬場にてペットちゃんの火葬を依頼することが可能です。ただし、合同火葬のみの対応しかしてもらえない火葬場もありますので、希望通りの火葬ができないこともあります。火葬費用は民営の火葬場よりも安いことが多く、相場は500円~20,000円程度の金額です。
民営の葬儀業者と違い、飼い主様の希望通りの対応をしてもらえないこともありますが、自治体が運営しているため悪徳業者にあたる心配がなく費用が抑えられるということがメリットです。
民営火葬場
民営が提供している葬儀業者の火葬場にて、ペットちゃんを火葬してもらうことが可能です。希望に合った火葬方法を選ぶことができ、お客様目線に立ったサービスが充実しています。火葬費用は、「合同火葬」で12,000円~50,000円、「一任個別火葬」で17,000円~55,000円、「立会個別火葬」で19,000円~57,000円。さらに、出張費や永代供養、骨壺代などの費用10,000円~20,000円のオプション費用がかかる場合もあります。
公営の火葬場に比べ火葬費用は高くなりますが、希望の日時や希望の火葬方法を選ぶことが可能です。さらに、24時間自宅まで訪問し自宅付近にて火葬する出張移動サービスなども充実しており、飼い主様の都合に合わせてペット火葬を行えるのが公営の葬儀業者のメリットです。
公営火葬場と民営火葬場の違い
ペットちゃんを火葬する際は、公営と民営どちらがいいのでしょうか?自分に合った火葬場を選び、大切なペットちゃんと最良の形でお別れにしたいと悩まれている方も多いと思います。この章では公営火葬場と民営火葬場の違いをご紹介します。
考え方の違い
ペットちゃんを家族の一員として飼われている飼い主様が多い中、公営の火葬場ではペットちゃんの遺体を「一般廃棄物」として、自治体の環境課でゴミと同じように焼却されるケースもあります。一方で民営の火葬場では、ペットちゃんを人と同じように丁寧に供養するといった理念のもと運営している業者が多く、そもそもの考え方に違いがあります。
費用の違い
民営の火葬場は、公営の火葬場に比べ費用は抑えることができます。公営の火葬場は様々なプランから希望を選びことができるため、手厚いプランになれば費用が高くなることもあります。
遺骨の返却
公営の火葬場は高温で灰になるまで火葬して灰を埋め立てる自治体や、合同火葬しか対応していない自治体も多く、遺骨の返却がないことがあります。民営の場合は、返却のあるプランを選択すれば返骨してもらうことが可能です。
対応の時間
公営の火葬場は月~土曜日の9:00~17:00前後のみの対応が多いですが、民営の火葬場は365日24時間対応してもらえる葬儀業者も多くあります。
火葬後の供養
公営の火葬場は「合同火葬」の場合、灰になってしまうことがありますが、民営の火葬場は葬儀業者が墓地を持っていることも多く遺骨を合同墓地に供養してもらうことが可能です。合同火葬でもきちんと遺骨を供養してあげたいと思っている飼い主様は、民営の火葬場にて火葬してもらうほうがいいでしょう。
火葬の流れ
実際にペットちゃんの火葬を依頼する際は、どのような流れになるのでしょうか。この章では、公営の火葬場と民営の火葬場の一般的な流れをご紹介します。詳しい流れは、依頼する際に確認するようにしましょう。
公営火葬場
ここでは一般的な例として、大阪市の火葬場の流れを参考にしてご紹介します。
①地域の環境事業センターへ連絡
お住まいの地域の環境事業センターへ電話またはメールでペットの火葬を依頼する。
②遺体の引き取り
ペットちゃんの遺体を布で包みビニール袋に入れて引き取ってもらう。この際、首輪などの燃えないものは一緒に入れないようにする。
③合同焼却処理
大阪市の場合は火葬ではなく、動物専門の委託業者にて廃棄物と同じように合同焼却処理となります。
④埋め立て
高温で焼却されるため灰となり、わずかに残った灰を埋め立て地に運ばれる。
民営火葬場
①依頼の連絡をする
民営の葬儀業者へ電話またはメールで依頼の連絡をする。担当者の指示に従い、火葬日や火葬プランなどを決める。
②指定した日に自宅訪問または火葬場へ
出張火葬の場合や訪問対応している葬儀業者の場合は、自宅まで訪問しに来てくれます。火葬場へペットちゃんを連れて行かなくてはいけない葬儀業者もありますので、事前に確認するようにしましょう。
③火葬
「合同火葬」は複数のペットちゃんを一緒に火葬、「個別火葬」の場合は個別にペットちゃんを火葬してもらう。「立会個別火葬」の場合は火葬に立ち会うことができます。
④遺骨の拾い上げ
「立会個別火葬」の場合は、火葬後に家族で遺骨の拾い上げをすることができます。拾い上げした遺骨は持ち帰ることができ、お墓や手元供養などご自身の希望とする供養をすることが可能です。
まとめ
今回はペットの火葬場についてご紹介しました。火葬場には公営と民営があり、それぞれに考え方や対応に違いがあります。飼い主様の考え方も様々ですので、どの火葬場に依頼することが正しいといったことはありません。ご自身の考えにより近く、納得する方法でペットちゃんを送り出してあげることが何よりも大切です。様々な供養方法を参考にして、最良の形でペットちゃんを送り出してあげましょう。