家族のように過ごしてきた大切なペットちゃんを亡くしたとき「信頼できるところに火葬を頼みたい」と思うのは当然のことです。しかし、近年はペットちゃんの火葬を行う業者がたくさんあり、どこに依頼すればいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は自治体と葬儀業者の違い、信頼できる葬儀業者の見分け方などをご紹介します。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
自治体のペット火葬の対応
ペットちゃんが亡くなったとき、お住まいの地域の自治体によって遺体を引き取ってもらうことができます。お住まいの地域によって異なりますが、自治体での一般的なペット火葬の対応や流れをご紹介します。
※大阪市のホームページを参考にご紹介しますので、詳しくはお住まいの自治体のホームページでご確認ください。
亡くなったときの流れ
①申し込み
お住まいの地域の「環境事業センター」へ電話またはメールで申し込む
②遺体の引き取り
ペットちゃんの遺体を布で包みビニール袋に入れて引き渡す
③火葬
ご遺体を委託業者に引き渡し、合同焼却処理を行う
④埋め立て
高温で焼却するため骨は残らず灰になります。焼却後わずかに残った灰を委託業者が埋め立て地へ運ぶ
費用
体重 | 値段 |
5㎏未満 | 1,700円 |
5㎏以上10㎏未満 | 2,100円 |
10㎏以上 | 2,800円 |
受付
8:30~17:00
祝日を含む月曜日から土曜日
葬儀業者の対応
この章では葬儀業者に依頼した際の一般的な対応をご紹介します。葬儀業者にもたくさん種類がございますので、詳しくは依頼される業者にお問い合わせください。
葬儀業者に依頼した際の流れ
①葬儀業者に依頼
葬儀業者に依頼をし、担当者の指示に従って火葬日や火葬種類を決めます
②訪問または葬儀業者へ連れていく
出張火葬業者の場合はご自宅まで訪問してくれますが、葬儀業者によって火葬場まで飼い主様が連れていくこともあります。
③お見送り
プランによってはお清めやお焼香・お供えなどでペットちゃんをお見送りすることができます。
④火葬
火葬方法は複数のペットちゃんと一緒に火葬する「合同火葬」と、個別で一人ひとり火葬する「個別火葬」があります。
⑤遺骨の拾い上げ
「個別火葬」で立ち会いを希望される場合は、火葬後ご家族で遺骨を拾い上げ骨壺に入れていくことができます。
⑥遺骨の供養
希望される場合は葬儀業者の墓地などに埋葬、または遺骨を返却してもらって供養を行います。
費用
体重 | 値段 |
---|---|
5㎏未満 | 12,000円~25,000円 |
5㎏~10㎏未満 | 20,000円~35,000円 |
10㎏~25㎏未満 | 30,000円~45,000円 |
25㎏~40㎏未満 | 40,000円~55,000円 |
40㎏以上 | 50,000円~57,000円 |
※上記に加えて出張費や骨壺代・永代供養・埋葬費などのオプションが発生。 10,000円~20,000円程度プラスで掛かることが一般的です。 |
受付
葬儀業者によって異なりますが、24時間受付している葬儀業者も多くあります。
休日であっても相談してみるのがおすすめです。
自治体と葬儀業者の違い
自治体と葬儀業者は考え方の違いから、対応が大きく異なってきます。それぞれの違いを理解して、より飼い主様の考えやニーズに合った業者をお選びください。
考え方の違い
自治体では大切に飼っていたペットちゃんも、飼い主がいないような野生の動物の遺体も同じように「一般廃棄物」として処理され、焼却後はできるだけ廃棄物が残らないように焼却され埋め立てられます。つまり、火葬というよりは焼却処分といった扱いになります。
一方で葬儀業者は、家族同然のペットちゃんをゴミのように処分されることに嫌悪感を抱いていた飼い主様のニーズに応え、より人と同じように供養できるようにと立ち上がった団体です。そのため、飼い主様の気持ちに寄り添い、ペットちゃんを火葬して供養してもらうことができます。
火葬方法
自治体は引き取ったペットちゃんや野生動物の遺体と一緒に合同で焼却されます。自治体によっては動物専用ではなく、その他のゴミと一緒に焼却される場合もあります。
葬儀業者の場合は、複数のペットちゃんと一緒に火葬される「合同火葬」と個別で火葬する「個別火葬」など、希望によって火葬方法を選ぶことが可能です。
遺骨の有無
自治体は廃棄物をできるだけ減らすために、高温で焼却するため遺骨が残らず灰となります。
葬儀業者は適温できれいに火葬し、個別で火葬する際はペットちゃんの遺骨が残り、人と同じように遺骨の拾い上げの立ち会いや遺骨の返却をしてもらうことも可能です。
ただし、仙台市※1 のように希望する場合は返骨を行ってくれるうえ、少量であれば副葬品の受け入れもしてくれるなど、お住まいの地域によっては返骨してもらって供養できるケースもあるようです。
※1 参考サイト
受付時間
自治体の受付時間は市役所などの営業時間と同様に、日曜日や17時以降の対応はしてもらえないところがほとんどです。
一方で葬儀業者は、24時間受付しているところも多く、都合に合わせて対応してもらうことができます。
費用
自治体の場合は、葬儀業者に比べて費用を抑えることができます。
葬儀業者の場合は、業者やプランによって費用が変動します。当然ですがシンプルなプランは費用が安くなり、依頼することが多ければ高くなります。
結局どっちに依頼すればいいの?
火葬だけ済ませたい場合は自治体で、供養のために返骨してほしい場合は業者と考えれば問題ありません。
それに加えてお見送りに使える時間や遺体の搬送方法の有無など、ご自身が置かれている状況をあわせて考えれば、依頼する方がイメージしやすくなると思います。
ペットは火葬した方が良い?
ここまで自治体と業者のどちらに依頼するかを比較してきましたが、ペットちゃんを火葬する理由は何なのでしょうか。
お骨にした方が管理しやすい
ペットちゃんの遺体の取り扱いは人間のように法律や条例で決まっていないので、火葬せずお庭にそのまま埋葬すること(土葬)もできます。しかし、遺体が土に還るまでは2~30年程度と長い年月がかかるうえ、遺体の腐敗に伴って悪臭や害虫の発生などの問題が発生することもあります。
そのため、ペットちゃんの遺体と飼い主様の生活を守るために、土葬前に火葬してお骨の状態にする方も多いです。
火葬することは供養の意味合いだけではなく、管理しやすくする狙いもあるのです。
気持ちに区切りをつけられる
火葬前には亡くなったペットちゃんを家から送り出す必要があります。
お見送りは寂しいですが準備のために手を動かせば気が紛れますし、火葬を終われば気持ちに一区切りつけられます。
悲しみを思い出が癒してくれるまでは時間がかかるかもしれませんが、ペットちゃんを家から送り出して火葬することは悲しみと向き合うことであり、とても大切な工程なのです。
本当に火葬のみで大丈夫?
筆者が飼っていた犬が亡くなった後、悲しさや寂しさがピークに達した瞬間は埋葬したタイミングでした。
遺体を見て火葬を見送った際も悲しかったですが「あの子はもう世界のどこにもいない」と感覚で理解できたのが、家から離れた場所に埋葬されたそのタイミングだったのです。
業者ではなく自治体に火葬のみ依頼しようとしている方には「時間が無い」「料金を安くしたい」など様々な事情があるはずですが、火葬後には遺骨を含めたその子の痕跡が無くなってしまうことは覚えておいてください。
いなくなった後も寂しくないよう、毛や羽根など「その子」をそばに感じられる遺品を残すのもおすすめです。
遺骨の供養方法
繰り返しになりますが、火葬だけ済ませたい場合は自治体、返骨してほしい場合は業者への依頼がおすすめです。
ただし、供養方法についても選択肢があるため、ライフスタイルから最適な方法を判断するようにしてください。
火葬後、葬儀業者によって供養
墓地などを運営している葬儀業者も多く、火葬後そのまま合同墓地に埋葬してもらうことが可能です。
遺骨返却後ご自身で供養
葬儀業者でペットちゃんの遺体を火葬してもらったら、遺骨を返却してもらうことができるプランもあります。最近は返却してもらった遺骨を「骨壺のまま自宅で供養」「ペット専用のお墓に埋葬する」「遺骨を入れたアクセサリーやオブジェにして手元供養」など様々な供養方法があります。ご自身に合った方法でペットちゃんを最後まで供養してあげましょう。
自宅の庭に埋葬
「庭にペットちゃんの体(遺骨)が十分に収まるスペースがある」「ペットちゃんを身近に感じたい」という場合は自宅の庭に埋葬するのもおすすめです。
野生動物や風雨に掘り起こされないように深く穴を掘る必要はありますが、これまでと同じようにペットちゃんと一緒に日々を過ごせるメリットがあります。
法要をする
ペットちゃんの命日にあわせて法要を営むことも大切な供養です。
ペットちゃんの場合は人間と違って僧侶による読経や参列者の招待は必須ではないため、セレモニーとして法要を行う飼い主様は少ないかもしれませんが、節目の日に家族でペットちゃんのことを思い出してあげれば、その子もきっと喜ぶはずです。
まとめ
今回は自治体と葬儀業者の違いや、ペットちゃんを供養する方法などをご紹介しました。大切にペットちゃんを供養したいのであれば、自治体より葬儀業者に依頼することがおすすめです。
しかし、まずは飼い主様の気持ちと生活を優先して決断するのがポイントです。真剣に考え決断したのであれば、どのような方法であってもペットちゃんに気持ちは届くはず。ご自身に合った供養を選び、納得いく方法で見送ってあげてください。